第534話 だって、わがままなんです
リリーお姉ちゃんに「強くなってね」と送り出されたアッファスお兄ちゃんとみなぞこの国に帰国するというエイルさんと合流したのは渓谷の国でした。
『回遊海原』は結局、日を改めての二十五階層までの到達記録となり、私にはガジェスくんという雑用係兼護衛対象がついてくることになりました。
渓谷の国では刻倉君がお出迎えで迷宮管理空間にお呼ばれした迷宮管理者ネアです。
刻倉くんがお出迎えしてくれた理由は『ちゃんねるの視聴権が欲しい』という理由でしたが。
『公共料金を払う感覚を思い出せば、そのくらいの魔力流出は惜しくない。環境ビデオも討論番組も嫌いではなかったしね』
とのことですがバングミ? ビデオ?
刻倉くんもよくわからない呪文を唱えますよね。
要約すると暇なので安全な娯楽は歓迎だそうです。
まぁ、魔力という出費はありますがなんか『あーかいぶ』とやらいう過去記録もあって好きな時に見れるので楽しいのかも知れません。
……問題があるとすれば消滅の危機がある最中でも暇と言い切れる危機感の無さでしょうか。
『管理者権限を持つ者の争いだからね。一迷宮としてはどの管理者につくかだけど、強制されれば魔力量でゴリ押されるしどーしよーもないね』
なんて投げやりというか達観した答えが返ってきました。
『ロサの問題はロサが始末するだろうし、子守り期間を終えたんだから好きに動けばいいんじゃないかな。君は今ただのネアなんだし。いやまぁ迷宮管理者の資格は保有してるけど』
まぁいろいろごちょごちょ言ってた気もしますね。
アッファスお兄ちゃんとエイルさんとの合流を勧めてくれたのも刻倉くんでした。
海を渡るなら水臣族が一緒の方が便利だと。
エイルさんは刻倉くんがまだ迷宮主になる前のお知り合いだそうです。
ハール王家で顔合わせしてあっさり同行が決まったんですよ。学都での交流でエイルさんはアッファスお兄ちゃんを同伴していましたよ。
リリーお姉ちゃんに「強くなってね。そして素材を各地から送ってね」とおねだりされたとのことです。アッファスお兄ちゃんデレデレですね。エイルさんが呆れてましたよ?
みなぞこの国へ行く方法を確認した上で後日家族旅行か夫婦旅行するんでしょうね。
イイなぁ。って思っちゃいます。
こういう素敵案件を守りたいから大陸ごと沈めよーっていう大技使いそうな相手は、適切に対応する必要があるんですよね。
っていうか、ティカちゃんの存在は一度集めてどうするか本人まじえておはなしあいが必要だと思っているんですよ。
ここ、ティカちゃん本人の意思を省いちゃいけない奴だと感じています。
知らないなら知らないでしかたないと言えるのかも知れませんが、ソレは気持ち的に難しいのです。
私の抑えきれない罪悪感であり、知らない方がティカちゃんのためかも知れません。
すべてを知るべきだ。なんて私も思えません。
だから、ティカちゃんにちゃんと聞きたいんです。
私がティカちゃんに何もできないにしてもティカちゃんの気持ちを聞きたいんです。
きっと、それはわがままで傲慢なんだと思うんですけどね。
「ところで、公共料金ってなんですか? 刻倉くん」
「え。自分では支払っていなかったクチ? 未成年だった? 電気代とか水道代とか電話代とか、公共放送受信料とか住民税に保険料、固定資産税……あ、思い出したくない車検とかいろいろあるんだけどさ。いきなり実地で情報を処理しろって言われるやつね」
ぅうん。
よくわからないですが国に納める税金って感じですか?
人頭税や物流にかかる税とか名称が多岐にわたっている感じと理解しておきます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます