第502話 問題はたくさんありますとも!
私の拠点はケモノの森(けっこう広い)とティクサー薬草園を中心としたアドレンス王国となります。
アドレンス王国にも、ケモノの森(地上は荒れ地)にも迷宮神子は存在しないため(ケモノの森はもともと無人)『人の意向』は迷宮には届かないという形になるのですが、迷宮管理者は迷宮神子と迷宮主の良いとこどりをした感じの上位者でもある為、頑張れば、権力者の意向を拾うことも近々に住まう冒険者の愚痴や不満を聞き取ることも可能なのです。
対応策を行使するかどうかは別ですが。
おかげでマオちゃんの動向は確認できるんですけどね。
バティ園長が天水ちゃんにやり方を習い、『マオちゃん観察ちゃんねる』をつくってくださいましたから!
天職の声さんに『監視もほどほどに』と酷いこと言われましたよ。確かに同じことされたら……気持ち悪いので頻度は減らそうと思います。
少し気の重いやるべきこととしてマコモおかあさんとのおはなしがあります。
なんと言いますか、お互いに利用し合った利害関係ではあると思うのですが、マコモおかあさんの方はどういった心算なのか、マコモおかあさんにあらぬ私にはわかりかねるので。ええ。気が重いのです。
ティカちゃんの奪還。なんだかんだでマコモおかあさんもロサの夫人も手伝ってくださったんですよね。おかげでおふたりとも無事とは言えませんが。
ロサの夫人……おかあさまはティカちゃんを『娘のお友達ですもの』と微笑んでマコモおかあさん巻き込んで奪還手伝ってくださったんですよ。主体はロサのおかあさまでした。ええ。ちょっとこわいです。ダメージをメインで受けたのが、ロサのおかあさまではなくマコモおかあさんであったあたりにも妙な闇を感じますよね。
ウチのコワイヒトたちは『母の愛は時に狂愛と語られますね』などとほざいておりましたね。
私は残念ながら物心ついた頃から私に冷たかった叔母を実母だと誤認していたため、そういった親子関係に伴う感情に疎いと言えます。
幼児はかわいいと感じますが、自分が実子をこの腕に抱くと考えた時に感じるのは憧れや優しさではなく、ゾッとする寒気と拒否感、漠然とした恐怖です。
だから、マコモおかあさんに反感を抱く『私』をそのままに、きっと必要な刺激すら排除して私の制御内にあると思える家族ごっこに浸った。
きっとそう、マオちゃんとグレックおとうさんはちゃんと家族になろうとしてくれてた気はします。
マオちゃんもグレックおとうさんもマコモおかあさんと違う方向性の壁はありますがお互い様でしたしね。やっぱり。
グレックおとうさんがマオちゃんの様子をみながら、謎の負傷をしたマコモおかあさんを看る生活はやさしいものとは言い難く、ティカちゃんちのおばさんとおじさんが時々様子見にきてくれてなんとか生活している感すらある状況です。
ええ。
私、ほんとにグレックおとうさんにはしあわせでいて欲しいんです。
グレックおとうさんがどこまで異質さを感じてどこまでを受け入れてくださっていたのかはわかりませんが、おかあさんとおとうさんのいる家庭を私と『私』にくれていたことは変わらないんですよね。
敵性魔獣をぶちのめして横転した荷台から圧死しそうだったマコモおかあさんと私を助け出して、襲いくる魔獣の攻撃を自身の身で受けたグレックおとうさんはマコモおかあさんとはちょっと違って打算なき助け手だったんです。
私的にはマコモおかあさんもいろいろ抱えているものはあれど救い手であったことには変わらないんですけどね。
『私』は助けてくれないと嫌っていましたが、私的には助けられない状況だったんだろうと思うんです。
集団のリーダーが『獲物』を狩り出す時、作り出す周囲の空気。簡単に『自分』が『獲物』になり変わりかねないと感じさせる空気の作り方を知っていれば動けないこともわかるんですよね。
それ以前に『隷属』の呪法に囚われていた荷台の商品にはなにもできないことが当たり前です。
だって、『私』だって魔力放出して抵抗することができたでしょうに思いつくことすらなかったんですから。
抑え込まれて従うことしか動けないことは否定しませんが、抑えつけたわけでもない相手への他責はちょっとよくないかなと分離前に感じたんですよね。
そのあたりも踏まえて『私』対策もおかあさんたち対策も考えていかないといけませんね。
正直、めんどくさいです。
そりゃ、私も『私』も対応対策に問題があるかと聞かれれば返事は『あるに決まっている』一択ですけどね。
仕組みが世界の維持仕組みならそこは不問。
ですが、
ええ。
ですが!
ロサの大人たちの行動は問題しかないんじゃないでしょうかね?
すべきだと思うメモにロサの大人(男性陣)はとりあえず殴っていいと書き込んでおきます。
ロサのおとうさま?
生命を賭して『弟くん』を召喚したそうですから、……殴りたかったかも知れません。弟くん、情報不足そうでしたし。
死霊でいいので殴れませんかね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます