第477話 ティカちゃんと定期お食事会

 ティカちゃんとお食事処でごはんしながら雑談です。ティカちゃんとは三日から五日くらいに一度は一緒にお茶やお食事(新しいお店に行きます)をしたり、次に一緒に行く迷宮について予定をすり合わせているんですよね。ティカちゃん、しばらくは土地勘育成のための雑務依頼に集中するつもりらしいです。私もそうしようかなぁと呟けば、各ギルドで水と清浄のクエストは常にあるそうです。私の清浄スキルなら生活水路の清掃クエストが土地勘育成にはいいんじゃないと助言も貰いましたよ。

「水路清掃クエストですか」

 誰でもできそうで人気では?と思ってしまうネア・マーカス十一歳ですよ。

「街の水路掃除は不人気クエストだから喜ばれるわ。あと、ネアは楽都の商業ギルドにいい印象持ってないでしょ。最低限でいいんじゃないかしら?」

「不人気なんですか?」

 つるりとした食感のお肉はさっぱりしていて食べやすいです。茹でた葉物に包まれていて掘り出す感じも楽しいですよ。

「人が多い分、排水の始末がスライムで間に合わないみたいだし、主要な排水路にスライムは集中しているみたいだから人力で定期的な清掃が必須みたいね。排水路や水路は時々支配迷宮が変わるらしくてスライム配備も変動するんですって。ややこしいわよね」

 ティカちゃん、なんだかすごく学都事情通になっていませんか?

「兄に聞いた情報も多いもの。私は学費とか滞在費は治療スキルで診療所で研修クエストすれば問題ないんだけど、それじゃ世間知らずになっちゃいそうだからいろいろしてみたいわ」

「ティカちゃんなら卒なくこなしそうです。すごぉい」

「できればいいんだけどね。ネアは無理せずにまずなにはなくともまわりをよく見るようにね」

 ちゃんと買い物もできますし、貴族系にはあんまり関わらないようにはしてますし、やっぱりまずは体力ですよね。あと迷子にならないように土地勘。うんうん。

 照れくさそうに笑うティカちゃんはとてもかわいいと思います。ちなみにお兄さんは労務所で労働中だそうです。

 学都内区画が多いのでよく行くであろう区画中心でいいとは思うんですが、区画によって雰囲気ががらりと変わるので主要路は見ておきたい気もしますね。

 四番街五番街は学舎に行くのも大変だという話ですからね。大通りに入り口がないそうです。

 ひとつの貴族領としては小さく狭いとも言われていますが、国内迷宮含むなのでなんとも言えないと言われているらしいですよ。難しいことはわかんないというティカちゃんは十分難しいことわかってると思います。

「このお肉葉っぱと一緒に茹でてあるのかしら? それとも蒸してあるのかしら? ちょっと物足りない気もするけど、美味しいわね」

 うんうん。わかりますよ。美味しいです。

「あら、物足りないないならここに添えてある果汁をつけてみてね。ちょっとずつね!」

 通りかかった店のお姉さんが浅いお皿に入れてあるちょっと酸っぱい匂いの液体をすすめてきましたよ。味変ってヤツですよね。やってみます。

 酸味を足すと美味しい?

「あ」

 ティカちゃんの声が聞こえましたよ。

「ネア、それ、ちょっとじゃ、なくない?」

 ほえ?

 半分くらいかけてしまいましたね。

 美味しいなら大丈夫では?

 お皿にまだ半分残ってますし。




 ええ。

 酸味にのたうちました。

「お店のお姉さん、ちゃんと少しずつって教えてくれてたでしょ! あ。甘めの飲み物ひとつください!」

 ティカちゃんにお世話されてました。

 半分くらいだったのにぃ!

「んもう! おバカ!」

 ティカちゃんにおバカって言われたぁああ。




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