第474話 なぜですかね?
「このような作業をもって人頭税、迷宮貢献費の未払い分の支払い、および違反行為から発生する罰則金の支払いに充てられる。本日のあなた方の労務対価は適性評価表と共に学生ギルドに納入される。ここで滞在費、および授業料、講座斡旋費に充てられる。滞納金がもしあるようなら今回の労務対価がそこに充てられるだろう。学生ギルドからもし、労務所奉仕に行くように言われたなら未払い金、滞納金が発生している可能性があるので早めに来ることを推奨である」
ベーゲさんが長々と最後のお言葉をくださいましたよ。
屋台で美味しい物を買い食いして帰ろうと心に決めているネア・マーカス十一歳ですよ。
「ネア!」
男の子の声に振り返れば、コッツくんとケールくんが手を振って寄ってきているところでしたよ。
「どうしました?」
「あたたかい水、ありがと。で、コッツと相談してたんだけどさ」
相談?
ケールくんが小鼻を軽く掻いてからちょっと照れくさそうに笑いましたよ。
「あそこでもらったあたたかい水分の代金には足りないと思うんだけど」
「うんうん、カンキョーでモノの値段上がっもんな」
「だからさ、おれらおすすめの屋台でおやつ奢らせろ。恩は早めに返すもんだからな」
ほぇ?
「自分で買うつもりだったんだけど?」
「うん。そう見えたから慌てて声かけたんだ」
んー。
「またの機会でもいいのに」
「っばっか。受講できる講座が有用スキル持ちとそれ以外でかぶる訳ねーだろ」
「それに今なら屋台で奢るくらいできるけど、いつまであるかわかんないから恩は返せるうちに、ね」
すごい勢いでまくしたてられました。
「学生ギルドか冒険者ギルドでクエスト受注すればいいのでは?」
日常的なクエスト、つまり危険の少ないモノもあるはずですし、適性がわかってくれば斡旋してくれたりもあるっぽいですよ。特に学生ギルド。
「あー、なんつーの? クエストの内容読めない時があってさ」
コッツくんが屋台に向かいながら呟いてます。
「……それはクエストの内容は読めるようになるべきではなくて?」
!?
不意の声に振り返ればイマース嬢がおりましたよ?
びっくりしました。
「あ、僕は、いちおう読めるけど、時々わかんないとこがあるから見てるうちにとられることが多いんだ」
んー。
「課題に写本は出なかったの?」
同じ作業してたんじゃないんだ。
コッツくんとケールくんで目配せしてますね。時々、イマース嬢を気にしながら。誘ってませんもんね。
「お、ネア!」
この声はウェイカー君ですね。グウェンさんがウェイカー君の腕を掴んで引きとめてますよ。イマース嬢がいますからでしょう。アトマちゃんの苦笑いが見えました。
……なるほど。
アトマちゃんのお迎えですか。
お姫さまですもんね。
「カラベラ様、動かないでくださいよ」
別方向からメイドさん出没です。イマース嬢のお迎えですね。
コッツくんとケールくんが萎縮してきてるんですが?
「あまりよく知らない子についていくのは良くないわよ」
グウェンさんがお姉さんらしく注意してくれましたよ。
コッツくんとケールくんは、そうですね。よく知らない子ですがお礼って言われましたし?
少し考えたらしいグウェンさん付き添いのもとでコッツくんとケールくんおすすめの屋台でおやつを奢ってもらいましたよ。
少ない油で表面を揚げたパンだと思うんですが、なかなか美味しかったですね。
お礼を言いあって解散ですよ。
グウェンさんが「ガジェスに頼みましょ」と言いながら少年二人をさらって行ったんですがなんなんでしょうね?
赤煉瓦帰宅後、「あまり知らない方にのこのこついていかないんですよ」と迷宮達からなぜか叱られましたよ?
あれ?
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