第470話 届かない近況
アルジが国を出てまだ一期も過ぎてはいない。
それでも霜柱は全て砕け散り、地の影響は我が『蒼鱗樹海』が支配する。『魂極邂逅』も一期影響を与えるかと聞けば『不要でございます』とぽこぽこ蹴られた。
我ら三迷宮をもってカシリ殿と迷宮競闘を行った。お互いの迷宮に『攻略役』と『守備役』を配して攻防を競う遊びだそうだ。
『攻略役』の主力は蛙と屍達。
『守備役』の主力は我の眷属たる蛇どもと蛭。
対するカシリ殿の迷宮からは。
『守備役』に火蜥蜴。そして火蛇。
『攻略役』に火焔魚と影海月。
影海月と蛭が食い合い、火焔魚に焼かれながらその身を締め潰す蛇だったので、実に芸のない闘いになってしまったと思う。
気がついた『天水峡連』が『守備役』に大顎をよこしたので損害は低かったと思われる。
普段、戦うことのない形状の敵との戦闘は我ら迷宮にとって有益だったと思われる。
白い大顎は鈍らな剣では打ち切ることもできない装甲におおわれた巨体で流れの中に棲み『天水峡連』の内部を徘徊しているとのこと。
『天水峡連』は傷が残った大顎を眺めて『良個性』などとしょうしていた。
ニンゲン達の迷宮探索も安定して二階層を彷徨っている。
柔土のエリアを燃やし、『テッコウハガネ』をあぶり出して集団で叩く。そんな戦闘が今の流行りである。
『テッコウハガネ』のドロップ品、『白い肉』『鉄』『銅』『黒鉄の鱗』『毒爪』スキルギフト『守護』『火耐性』ニンゲン達に人気なのは金属と肉らしい。
『テッコウハガネ』をあぶり出せる炎の使い手は少なく二階層自体の攻略は遅々として進んではいないことも好ましい。
我、この得た魔力と経験で迷宮増強策を講じるのみである。
ニンゲン、肉と金属が好き。
ところで、一階層、また葛まみれである。
地上、大丈夫か?
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