第466話 女三人姦しい?
私とアトマちゃんを含めて今回の労務所実習参加者は十人ほど。少ないのか多いのかはわかりませんが、男子学生が多いですね。
「同行を許可してさしあげますわ」
いきなり扇で指されて宣言されましたよ。
数少ない女子学生仲間ですね。女子学生は私達含めて三人であとは男子学生ですね。
「あ。ご辞退しますね。別行動で」
サクッと断ると睨まれたネア・マーカスです。なぜ睨まれましたか。
「魔力の高さで囲い込まれるなら草の国の末席姫より帝国貴族であるわたくしの方がよい環境をつくってさしあげれてよ」
えー?
末席姫なの?
迷宮神子って別権力なかったっけ?
それ以前に。
「私、囲い込まれてるの?」
アトマちゃんに聞いてみましょう。
「……私の子飼い、つまり囲い込んでいると言えるのはウェイカー達で残念ながらネアは違うかしら」
この対応に扇を握ってぷるぷるしている帝国貴族女児は我慢が苦手そうですね。
そうですよね。アトマちゃんが側近、従者として囲い込んでいる相手はウェイカー君たち三人ですよね。同じ講座受けないでいいんですかね? え。金銭感覚も犯罪後の末路も彼らは知っているから問題ない? 確かにそんな感じですよね。
「そこ、女子三人。労務官ベーゲの指示に従うこと」
げ。
まとめられた。労務官のお偉いさんぽい人にまとめられてしまいましたよ。十人を三チームに分けたようです。基本が女児チームと男児チームって混合チームじゃないんですね。
「わたくし、カラベラ・イマースですわ。そして十一歳ですから貴女方よりお姉さんですの。頼るといいですわ」
ぁあ!?
「ん。アトマとお呼びくださいね」
あ、呼ばれたい名前だけでいいんだ。ところでアトマちゃん、なんか遮るかのような自己紹介でしたね。一応私も名乗っておきますか。
「ネアも十一歳ですから貴女とは同じ年ですね」
私にイマース嬢を頼るつもりなんてありませんからね!
むしろ、アトマちゃんの方が頼りになるのでは?
アトマちゃんがちらりと周囲を見回してからこっそり息を吐きましたね。どうしました?
「ネア、イマース様、労務官のベーゲ様が困ってらっしゃいます」
あ。
ちょっと周りの人にチラチラ見られているのもありますね。こういう目立ち方は良くないですね。
「あー。労務官のベーゲだ。アトマ嬢、様は不要だ」
かっちりめの黒服に板を抱えた大人というには駆け出しっぽく、子供と言うには幼さはどこかにいった感じのおにーさんですね。
タガネさんより若く、アッファスお兄ちゃんより上っぽいですよね。
「で、ネア嬢にカラベラ嬢。間違いなく?」
「はい。ベーゲさん。ネアです」
「わたくしがカラベラでしてよ」
「では、指示に従ってくださいね。まずは労務所専用のクエストカードを受け取ってください。ここに記入された名前であなた方は呼ばれます。わかりましたか?」
ベーゲさんは丁寧に確認してくださいます。カードの記名は『ネア』ですよ。
「ええ。わかりましたわ。それでこのカードは今回限りのものですの?」
イマース嬢が確認していますよ。
「いいえ。帝国内で税の未納、犯罪、及び加害事故による賠償時の労務刑時に使用されます。より適性の高い作業で返済期間を短縮する必要がありますから」
その時に適性が変わっていても未経験より、経験済みの方がいいって判断かな?
私とイマース嬢は「ふぅん」と言ううっすい反応で揃いました。ちょっとイヤですね。
「つまり、効率性を求めるか、罰則的役割を求めるかも考慮なされるんですね」
ふんふんとばかりにアトマちゃんは頷いていますよ。
基本、罰則では?
「わかりましたわ! 気持ちよく成果が出れば罰則効果が薄くなる。罰するなら努力に成果が追いつかないものの方がよいのですわね」
イマース嬢、アトマちゃんの言葉で思いついたらしいですよ。
ベーゲさんが咳払いをひとつして「こちらにどうぞ」と案内してくださいますよ。
ああ、この先は。
アトマちゃんと視線を交わします。
ええ。
労務所実習は迷宮の中で行うようです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます