第461話 ティカちゃん理不尽
気合い一発目を開けたらティカちゃんがローベリアさんとなんかバチバチしてるんですけど、何事ですか?
「あ、落ち着いた。ネア」
エイルさんが春の旬菜サラダなるものを作成し、差し出してくれます。あの謎のバチバチは止めなくていいと言われてサラダを喰むネア・マーカス十一歳の春です。
「確かに兄は愚かな判断と行動をとったし、これから学ぶ私が学も教養足りてないのもそうだけど、なら、関わってこないでくれません? お互いに不快でしょう」
「危険を危惧する大人であれば犯罪者の挙動は気になりますし、子供を危険から遠ざけておきたいと思うものですよ。……貴女は自ら危険の可能性を引き入れたようですけど」
「私、家族を信じてるので。間違った行動をとったとしても理由は聞きたいし、どう思っているのかも知りたい。それで、どーしてもダメなら。ねぇディ兄」
ローベリアさんにむけて言い返していたティカちゃんがくるんとディスお兄さんに顔をむけて微笑みます。
スッと『笑顔は威嚇』と誰かが言っていた言葉を思い出します。
「俺は妹たちにはいつだって無抵抗だよ」
「どうだか! 迷惑をかけた分の賠償も家族で払うし行動規制も当然よね。あと、他所様に迷惑をかけるのはよくないのよ」
でも、ティカちゃんちはほーふくはしそうです。行動が不当であるか正当であるかあるべきカタチであるかの基準がナーフさんちにはあると思うんですよね。
だから私や弟くんからの食材提供を良しとしない訳ですし。
つまり、ナーフさんちのおうち規則、不当であるとみなしたら家族内だからこそ厳しいんじゃないかなぁと思います。
「生きてたら誰だって迷惑かけてますよ。どっかに」
「ネア、そのせいぞんじょーの迷惑は横に置いておいてちょーだい。今はそれ以上の迷惑のおはなしなの」
あ。はい。ごめんなさい。
あ、この葉っぱちょっと苦い。でもよく噛むとじんわりおいしい……気もする?
「なかなかに太いね」
エイルさんがぼそりとこぼしますよ。
食べるには問題のない太さの茎ですよねこの葉っぱの茎。ちょっとしがしがしちゃいますが。
「エイルさんはディスお兄さんご存知の上で依頼受けてるんですよね?」
「もちろん。個人も知っているし、冒険者ギルドが提示した情報も承認している」
ふむ。
「で、私はティカちゃんが問題ないと思っているなら問題ないと判断しますね。ローベリアさんは外から見て『心配である状況』を教えてくださったんですよね。ありがとうございます」
今の状況だと私が守るべきと思うものは『私』とティカちゃんですね。エイルさんは自己判断自己責任の範疇でしょうし。
誰かがなにかを起こしたとしたら、もちろん私は防衛に動く訳です。誰かが言ってたじゃないですか。
証拠が残らなければなにもないんだ。って。
迷宮はステータスカードを改竄することを無造作に行うんですよね。
認識にも潜在意識にも作用させる手段があるんですよね。
そんな能力を忖度で使用されたら堪りませんが、できることは認識していますから、その前に自力回避しておきたいところなんですよね。
すこし、困った表情のローベリアさんですよ。敵意はないんですよね。私が一番小さいからですかね!? 違うんですからね?
「私もワンフロアなら燃やし尽くす実力のある冒険者です。ちゃんと対処できますのでご安心を」
ええ。
ネアはちゃんと対処できる冒険者ですよ。
「いや、燃やし尽くしちゃダメでしょ。ネア」
ティカちゃんに何故かダメ出しされましたよ?
あ、ディスお兄さんが二歩分距離をとりましたよ?
なんかちょっと理不尽では?
どーしてローベリアさんだけでなくエイルさんまで「不安しかない」みたいな表情なんですか?
ちゃんと火力調整もできるんですからね。その後の消火だって問題ないんですからね!?
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