第456話 確認大事ですね

『腐海瀑布』

 第一の段階である『偽丘陵公園』春の丘陵地と夏の丘陵地は私とティカちゃんは攻略しているのですが、エイルフィールさんとティカちゃんの上のお兄さんディリシャ・ナーフ、ディスお兄さんははじめての侵入なので周回しなくてはなりません。

 つまり、入り口潜ったら出ることが不可能になりましたよ。確認したのはエイルさんです。

「出入りしているのは確認されているから、一度入ったら条件攻略しないと出ることもできない系の迷宮か」

 その通りですね。

 いわゆる魔力よこせってヤツですよね。

「四つ、人数分の試練をこなせば出入り自由みたいですよ?」

 リリーお姉ちゃんは二周目の時に出入りができないことを確認してその後、三周目でソロ探索する時に出入り自由を確認したそうです。しばらく入り浸っているとすれ違うこともあるフェンネルさんやオリバーさんに教えてもらいました。

「なるほど。巡り方とかは?」

 エイルさんに聞かれて、ただ四つ回れば帰れて、八つ全部巡れば夏の丘陵地への扉が開くことを説明したネア・マーカスです。

「了解。私は回復士で水スキルと格闘スキル持ち。ナーフは基本戦士職。ティルケも回復士寄りの棍使い。ネア、貴女は?」

「私?」

 どう説明すればいいのでしょうか?

「……えーっと、ワンフロア完全燃焼系魔力系スキル特化の薬草採集者?」

 こう表現するとまるで破壊者ですね。

「採集者はフロアごと燃やすものじゃないかな。魔力過多でそこに依存している感じなら、その魔力は身体強化系にまわすといいよ。それだけ魔力が有り余っているのなら身体強化系のスキルギフトをギルドで買えるだけの予算もあるでしょ。あと、もし手に入れたならひとつひとつ慣れていくことを勧めておく」

 エイルさん、親切なヒトでした。

 視線に気がついたのか、エイルさんが自身の耳の位置にあるキラキラに手を当てますね。

「ん? 気になる?」

「ケモノ系や翼系のヒトたちには会っていますが、その形状のお耳の方ははじめてです」

 そう、エイルさんの耳の位置にあるものは魚の鰭のようなものでしたから。

「海底迷宮系の影響範囲の住人には多い特徴かな。よく言われる言葉はメスを食い物にする鳥人。オスを食い物にする水女(みずびと)ってね」

 あー。物理で食べるんですね。オスを。

 え?

「鳥の人はメスを食べるんですか!?」

 アヤちゃん、食べられちゃう!?

「鳥の人は献身さを男の人に利用されやすいって聞いてるわね」

 ティカちゃんがちょっと修正してくれましたよ。

 あー、キウさんクイモノにされてましたね。鳥の人のオスにじゃないですけど、オスに。

「鳥の人の女の子は男対策要注意ですね」

 ぐっと握り拳固めていたらエイルさんに笑われましたよ。

「気になるのそっちか」

「物理でも利用でも、そういうものという情報が流れているのならそれなりに同意済みなら別に実害なさそうだなぁって」

 それともメスも喰うんだろうか?

 んー。

「ティカちゃん、味見しちゃダメですよ? 味見されかけたら私は、ほら。全力でせいとーぼーえーですよ?」

「たぶん、過剰防衛でしょ。ネアは」

 ティカちゃんがヒドイですよ?

「あと、私だって自衛くらいするわ」

「おもしろい子だわ。心配しないで。そーいう対象はちゃーんとオスで十中八九コイビトという名のモノになるはずだから」

 エイルさんは笑いながら髪をまとめて背に放り投げましたよ。くっきりと剥き出された青みがかった鰭耳がなかなかに綺麗ですよ。

 ぱちぱち瞬きしている私に「異形気にしない相手なら音拾いにくくする必要もないから」と告げてきましたよ。

 ……。

 異形。

 皮膚の光沢が硬質系だったり、琥珀色の目が魅了の魔力帯びてそうとか色々要素はありますが、気になる範疇では別にないですよね?

 試練をひとつこなして扉が開いているか確認に戻って確認するというちょっと時間のかかる探索がはじまりましたよ。

 検証は大事だとのことです。

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