第454話 ティカちゃんと愚痴りあい
朝早い三番街の冒険者ギルド前でティカちゃんと落ち合った「おはよ。練習お手紙が消えて返事がくるってどういうことよ。ふざけてんの?」挨拶もそこそこにまくしたてられて挨拶が返せません。わざとじゃないですよ? ネア・マーカス十一歳です。
「茶サバちゃんがお届けしてくれたんですよ? 練習お手紙だったんですか。お手紙うれしかったのに。今日は一緒にギルドでいいの。ティカちゃん。あとおはよー」
「私も自分で受ける範囲の依頼も土地勘もつけたいし、必須の講座はないから大丈夫よ。四日に八コマある何処かで受講すればいいのは助かるわね」
そう、基礎講座は十日に二十五コマ教室が開放されてその講座で合格したら次の講座への時間表を貰えるんですよね。復習に今までの講座に戻ることも可能です。
「基礎講座は毎回講師の先生も補助の人も違う気がするから相性大事っぽいですよね」
「まぁ、人に教えることは大きな理解への一歩だとかで補助員は基礎講座を修了した学生の復習試験にして上級講座学費免除チャレンジなんですって」
ぉお。
「ティカちゃんも受けるの?」
「講座の受講費が少しでも免除されるのは嬉しいかな。治療師の講座は受講料無料だけど、技術科と薬学科は受講料いるしね。あと素材費や教材費も考えておかないと」
十一歳の子供がそこまで悩まなくてはいけないのも辛いですね。
「あと! 帝国に対する貢献費と滞在税の納付金!」
あー、滞在一年目は大丈夫じゃなかったですか?
「違うわよ免除されるのは試験を受けた期だけ。受講すれば受講料を払う訳だからそこから納付されるんだけど、貢献費も同時に支払うことを推奨されるんですって。払い方はギルドで仕事をすることがオススメだって聞いてるわ。働きたくないひとは貢献費と滞在税をちゃんと払う必要があるのよ」
あー、迷宮出稼ぎ対策ですね?
講座受けずに迷宮ばかりじゃ困るってことですか。
でも迷宮探索も冒険者ギルドやら学生ギルドやらで許可証がいったりしますよね。有料無料入り混じりで。
つまり、目的は税徴収。
「冒険者ギルドか学生ギルドで一定依頼をこなせばいいとはわかっているけどね。冒険者ギルドは一期に一定数の依頼を受けることを推奨してるし、学生ギルドもそれは同じ。というか講座割引きとかあるでしょ。優先してしまいすぎると冒険者ギルドがおざなりになりそうだし、困る!」
「はーい、私はそれに商業ギルドの商取引実績も求められまーす」
「ネアは、迷宮探索で拾った物を販売してその実績を商業ギルドに提出すればいいんじゃない。冒険者ギルドも学生ギルドも物集め依頼をその無限荷物袋で」
えー。
ティカちゃん、それでいいと思う?
「でも、やっちゃうと迷宮探索で難易度高いと判断される迷宮への侵入許可がおりないと思うけど」
「それ、ダメなヤツでは?」
「そうよ」
朝食の屋台がぽつぽつあきはじめたので、飲み物と朝ごはんをそれぞれに買いにまわります。
私はちょっと甘めの捻り揚げパンと見たことがない焼き果実を。お店の人曰くあっさりした風味で朝食向きだそうです。
ティカちゃんはお芋のスープとお皿みたいなパンを。
「あら、パンがかぶったわね。どっちを今食べる?」
「揚げパンは甘めだそうです」
「皿パンはしっとり薄塩でスープに合うってオススメされたけど?」
ティカちゃんと顔を見合わせて頷きます。
「皿パンでスープ」
お飲み物はそれぞれの携帯コップに茶サバが淹れてくれました。
ティカちゃんが困ったような表情で。
「茶サバちゃんに慣れちゃってちょっと困る」
「使い魔はそばにいて当たり前で、当たり前は当たり前なので慣れるしかないんでは?」
「うーん。でも契約した記憶ないんだよなー」
押しかけ使い魔ですからねー。
押しかけ迷宮よりマシだと思いますよー。
「消費魔力が辛いとかですか?」
「うーうん。そのへんはヘーキ。むしろ魔力向上に繋がるならよしこいって感じ?」
「私はお手紙運んでもらえて美味しいお飲み物をもらえるので不満は特にないですよ?」
「あー、うん。ネアはそうね」
お芋のスープはちょっととろみがあって芋の甘さとじんわりと維持された熱でぽかぽかする感じでしたよ。
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