第453話 おゆーはんはカモネギウドン
部屋でひとつ息を吐いてから迷宮管理空間に入った迷宮管理者ネアです。
人の恋愛を見る、見守っているのは好きですが、ニエナさんのあの勢いと熱量には圧倒されて、はい。少し気疲れしているんですよね。
『今日はカモネギウドンの大好きメニューにゃよ? まだ食べに行かにゃいのにゃか?』
ひょっこりと赤にゃんこのボロネーゼちゃんがお伺いにきましたよ。
「美味しく食べるために気力補充中なの」
ぎゅっとエリアボス蛇を模したぬいぐるみをぎゅうぎゅうする。
『ざわめきの原』
支配しますか?
・はい
・いいえ
久しぶりの選択肢ですね。
『それは主さまが周囲の迷宮を威嚇してたからにゃ』
なにしてるんですか。天職の声さん。
とりあえず。
「保留で。また遊びに行かせてもらいますね」
浮かんでいたポップが消えた後にはなかなかに可愛らしい花が残されていましたよ。
『ざわめきの原は十五階層ほどの浅い迷宮にゃ。ほどほどに邪魔くさい採取物が多いのが特徴にゃ』
うん。遊びに行ったから知ってるよー。
「ティルケ様から近くお会いしたいとお手紙を頂いておりますよ」
そっとメイドグラシィにお手紙を差し出されます。
『ネア。基礎講座と選択講座も仮決めできたし、ちょっと遊びましょ。あと、拠点借りたわ。正直、バタバタしすぎだからネアのぼんやりが恋しいの。あきそうな日教えてね。ティルケ・ナーフ』
ティカちゃん、そんなに私はぼんやりしてないですよ!?
迷宮探索やギルド依頼も試そうと思っていた関係で冒険科の基礎講座と薬草初級講座(採取も込)くらいしかとってませんし、あとは単発の特殊講座を調べているんですよね。そこから良い講師の先生や先輩に出会うこともあるようですからね。
『ティカちゃんへ。明日から数日は学生ギルドか冒険者ギルドの依頼系を確認するつもりだったので、あいていると言えばあいてます。ネア』
お返事書きました。
持って帰ってくれるのは茶サバくんのようです。
よろしくと渡すと『げー』とちゃんとお返事してくれましたよ。
とても楽しみですね。
「ネア様、落ち着かれたのでしたらお夕食にお越しくださいませね」
「はぁい」
いつも通りだと思ってたんです。
人付き合いだってそんなものだと思うんです。
悪いことだとは思っていないんですが、たぶん、マコモお母さんやグレックお父さん、マオちゃんにティカちゃん、思っているより、私依存していますね。
人なんて簡単に裏切るものってわかっているのに。
信じたいと思っていても信じるのはこわいし、自分だって信じることなんてできるんでしょうか?
ぐるんと余計なことを考えてしまうのは余裕があるのか気が滅入っているのかが判断が尽きませんね。
甘さのあるお茶をひとくち飲んで、管理空間から出て食堂へ行きましょうか。
お夕飯は鳥肉とネギたっぷりスープでしっかりめの小麦麺。とってももちもちをいただきました。
ジーネさんとニエナさんは箸を器用に使い、マリアは短く麺を切ってもらってスプーンで食べてましたよ。
私はフォークで食べてました。お箸も使えるんですけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます