第447話 二人目の下宿仲間
「ネア、今日の採集講座と基礎戦闘講座かぶっているから一緒に行きましょう」
紺色のローブのお姉さん、『赤煉瓦』下宿最年長のニエナさんはリリーお姉ちゃんと同じ年の十五歳だそうです。
初対面の時「あなたがあのハインツ様の妹分!」と手を握られた印象が強すぎるのですが、ご当人はいたっておとなしい採集探索者を目指している女性でした。私、ネア・マーカス十一歳と同じ目標ですね。先輩です。
基礎教養講座は私は免除されていますが、体力づくりのために戦闘講座の方には出ておくことになってます。
基礎戦闘講座では指導者が見ている場所で、走り込みや素振り柔軟体操などの基本的な体力づくり運動をする時間になっています。ついでに言えば指導は自主的に聞きにいく必要があります。(見かねたら声はかけてくれる)
一応、合格はもらっているのですがこの上位講座が少々キツイのでもう少し基礎を身につけるために継続中です。講師に「まぁ、小柄で回復はやいが体力低いよな」とか、「大雑把だからもう少し正確性を上げろ」とか言われてます。正確性あげると体痛いんですけど?
たまにティカちゃんとこの講座(実技のみの講座です)で会うこともあります。ここで準備体操してから棒術の講座だったり他の戦闘手法の人との連携訓練や護衛に必要な実技に行ったりしているようです。
魔法スキルにしろ戦闘スキルにしろ、一度は連携講座は受けるようにティカちゃんには言われましたよ。
ニエナさんは走り込みで四回くらいすっ転んでました。大丈夫じゃないですね?
ニエナさんに『清浄』をかけて、怪我に軽く薬をつけてから次の採集探索講座に向かいます。朝三番の時間から座学、昼を挟んで迷宮実技ですが、実技には基礎戦闘講座の『許可証』が必要だったりします。(全員に対してではなく、迷宮での活動に不安のある生徒に対しての処置)
私は魔法スキル主体とはいえ、途中で体力が不足、もしくは著しい速度遅延の可能性が予測される人物として基礎戦闘講座の講師から『許可証』と『評価表』の提出で実技の参加不参加が決定されるのです。
『戦闘可能許可証』が私の成果ですね。
他にも許可証のパターンがあるかと言えばあります。
ニエナさんの『護衛対象許可証』です。
採集に向かってもいいけれど、護衛担当者はいた方が良いとされる許可証です。
「ぅう。ソロが無理なのはわかっていたけど、そろそろ初心者用迷宮では護衛なしでも行けるようになりたい」
「ぇ。採集しながら魔物の接近に対応できるの?」
「ぅう。たぶん無理」
正直なお姉さんである。
先日も夢中で採集していてスライムに撲殺されるところだったそうです。溶かしてくるタイプのスライムじゃなくてよかったと笑顔でおっしゃるんですけど、撲殺されかかったんですよね?
「だって、毒消し薬にも回復薬にも使えるミトラヌスの実が採れる状態だったんですもの」
回復薬作成前に本人が死にかけてどうするんですか?
ニエナさんはもう少し先の講座を主にとっているのですが、実技を含む採集に関しては周囲の安全のために初級者用のものしか受講できないそうです。(例外は護衛講座と合同講座の時だけだそうです)
薬学講座も受講している(私はまだ資格を満たしていない)ニエナさんには指定調薬試験があり、素材を集めていくのも大変だそうです。
調薬施設を設置できる『赤煉瓦』はすごく助かるそうです。
ニエナさんが持っているスキルは『調薬』と『品質向上』(グラシィ情報)初心者用迷宮で薬草を集め、品質高めの薬を売って家賃や講座費用を捻出しているそうですから。
「先日アーマリア様が同行してくださったのでしばらくの受講料はなんとかなりそうです」
ニエナが語る情報からマリアは帝国富裕層というか、貴族のお嬢様だそうです。
ロッサ嬢といい自由ですね。帝国貴族。
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