第444話 二人の差はどこ(目逸らし
数日が過ぎ、ティカちゃんの合格も判明し、基礎講座以外に治癒術の講座を入れたことで四番街、第四総合学舎への通学が楽な寮を学生ギルドから勧められているようです。学生ギルドが管理する寮は破格の安さ(一年間寮費の補助有り)で学舎に近いことが売りだそうです。学生ギルド管理以外の下宿は学舎に近く便利なほど高額ということだそうです。
一緒に暮らすことは合理的じゃないわね。とティカちゃんに言われてしまったネア・マーカス十一歳ですよ。
一緒に遊ぶのはもちろん、お互いに交友関係は広げる機会でしょ。と言われてしまうとその通りなんですよね。
「四番街とか五番街は術師が多い区画だけど、物価が高いから、一緒にいると気がつかないうちに依存してそうでイヤだし。それ以上に世間一般の常識基準は維持しておきたいんだから」
なんて言うティカちゃんは私をなんだと思っているんでしょうか?
講座内容を考えると私が受けるべき講座も三番街だけでなく、六番街に足を伸ばす必要性はありそうだなぁとはわかっているんですけどね。そうすると拠点を考える必要性があるわけですよね。
「ネアはさほど実務は必要ないから基礎薬学と基礎迷宮学を第三で学んでから第六、第五に移動したらいいんじゃないか? 夏の期いっぱいもそうやってれば移動体力もつくだろ?」
オリバーさんに通学体力を懸念されてましたよ!
「短い足でちょこちょこ遅刻ギリで学舎に向かうのもなんだろ? 力尽きて講義中寝落ちっても辛いぞ」
速度はともかく、疲労は魔力で回復させるので寝落ちませんから!
ここでティカちゃんの話題にならない理由はひとえに「ティカちゃんならどこの寮やルームシェアでもうまくやっていけそう。相談にはのる」とまわりの人たちに判断されているからですよ。私はダメだそうです。「え。やめとけ。判断できる家事手伝いを雇えるならまぁ、一人暮らしも?」とか言われましたが、それは一人暮らし、独立暮らしと言えるんでしょうか?
もとをただせば十一歳よりも長く生きているんですが?
世間?
知りませんが、なにか?
リリーお姉ちゃんが「私がいるよぉ」と言ってくれますが、「リリーじゃなぁ」「ハインツの影響は少ない方が……」と不評です。リリーお姉ちゃんも私もぶすくれますよ。もう。
なんというか、まぁ。
ティカちゃんは学生ギルドのおすすめ案にしばらくのることを決めて入寮体験と基礎教養戦闘講座を受けて講師による進路案内を受けていくコースだそうです。その時に寮の移動案内やおすすめルームシェア情報ももらえるらしいです。ぶん殴りも回復もしたいティカちゃんらしいコースかもしれません。
「何日かに一度は一緒にごはんか迷宮に遊びに行きましょ。お互い情報交換よ」
つーまーりー、私も話せるタネを拾っておかねばならないようです。
寮に移動するという日、口酸っぱく「一人迷宮探索はやめときなさいよ」と詰められました。資金稼ぎには一人探索有益なんですよ? たぶん。
そして私は四番街のちょっと上流層の居住区画にメイド付き家屋に住むことになるんですけどね。
いいんです。リリーお姉ちゃんとアッファスお兄ちゃんの恋人生活を邪魔する気はないですから。
まぁ、その住居関連ではなぜか天職の声さんの機嫌が損ねられた(そんなことはないの主張有り)のですが。
メイドさんの名前はグラシィ・ライツ。
透き通る銀髪が美しい細身美女メイド。濃紺のロングドレスに白いシンプルエプロン。
別名『玻璃の煌迷』でした。
あと、ペットに猫が四匹家中を徘徊しています。
もふもふぅ!
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