第442話 ドロップ率

「ま! わかっていることと行動できることは違うのよ」

 リリーお姉ちゃんがスッパリ言い切ります。

「学都にくればなんとかなるって思ってるし、学都にくる資金をなんとか出来ていれば『大金あるし、大丈夫』になりやすいし、それをなんとかしたのが自分か、お膳立てかによっても変わるわね。一人でやっていける万能感とかね」

 万能感?

「できないこと続きでも、なんでも簡単に出来る続きでも人は簡単に腐るのよ」

 リリーお姉ちゃんが楽しそうです。

「なんともなってないのになんとかなってる。自分はなんとかしているって思い込んじゃうみたいに?」

 ティカちゃんがなにか具体的なものを考えながら言っている雰囲気を醸し出していますよ。食堂のお客さん関係でしょうか?

「まぁそんな感じよね。ケイブさん」

「反省しているおれにふるんじゃねぇ」

『夏の丘陵地』にはウリボウが走り回っていてそれなりに警戒が必要なようです。色とりどりの木イチゴや花が元気で蜂などの虫も元気ですね。大型甲虫も結構出てきますよ。

 リリーお姉ちゃんとケイブさんがおしゃべりの片手間で狩っていますが。

 ティカちゃんは警戒しながら二人の会話を聞くことにしているようです。ぼそっと「これが慣れで対応できるようになること」と二人の様子を見ているようです。

「まぁ、つまり、アレね。出来ることは増えていったけれど、まわりに強過ぎる人が多かったからよかったんでしょ。わかったわ」

 ティカちゃんはなにがわかったんですか?

「あと、ネアの足手まといはイヤだしね。がんばるぞー!」

 え?

 何ひとりで解決納得してるんです?

「切磋琢磨は大事だぞー」

「テメェは喧嘩売りすぎなんだよ」

「喧嘩なんて売ってないしぃ。すごい道具は凄いからじゃあ、それを上回る物を創り出していきたいってあたりまえのよっきゅーだよぉ」

 嬉しそうなリリーお姉ちゃんにケイブさんのツッコミが入ります。リリーお姉ちゃん的には喧嘩は売ってないんですか?

 フェンネルさんにも?

 え。フェンネルさんがつっかかってくるからつい?

 あと、からかうと面白い?

 ……。

 フェンネルさん、ちょっとかわいそう。

 ウリボウの皮や肉小さな牙、甲虫の外殻。樹液の蜂蜜に蜂の縫い針。アオシマ蛇の皮、毒蛇の刺針(武器)『麻痺解毒』『解毒(食材限定)』『精製』『毒判定』『疾風』などのスキルギフトがドロップしましたね。

「一回の探索でこんなにスキルギフトが落ちるのはすごいな」

「そうねぇ。何百狩ってようやくギフトが落ちるっていうのが一般的だからネアちゃもティカちゃんも誰かにギフトは簡単に落ちるって思っているなんて思われちゃわないようにね。……あ、ネアちゃは『鑑定』が手に入らないで吼えてるから大丈夫かな?」

 あ!

 リリーお姉ちゃんがひどいですよ。ええ。手に入っているのは『鑑定』もどきばかりですからね!

「ネアはフロア全滅させる勢いで攻撃する時はするから例外ってすぐ認識されるでしょ」

 ティカちゃん、それは誤解だと思うんですけど?

「ギフトのドロップ率はお客さんたちの話と比べても気持ち悪いくらい多いと思ってる。適性はずしたスキルギフト来ないし。ジェンキンスさんは迷宮からの好意だろうって言ってくれていたけど、理由わかんないし。ただちゃんとティクサーに帰らなきゃって思ってる」

 ティカちゃん、迷宮忖度気持ち悪かったのか。一応、うん。いちおうはネア、とめてたんだけど。そっか。

 ジェンキンスさん、誰?


【ティクサーの警備隊長の名前ですね】


 天職の声さんも適性スキルギフト贈り過ぎでは?

 都合悪くなるとだんまりはよくありませんよ? わかりますが。


【気持ち悪いんでしょうか?】


 そこ?

 気にするポイントはそこなんですか?


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