第434話 予定を立てましょう(明日の


 アッファスお兄ちゃんとリリーお姉ちゃんに報告するとアッファスお兄ちゃんとティカちゃんが「はぁあ」って揃って息を吐きましたね。

「え。封鎖迷宮!? 人があんまり探索していない迷宮!? それは潜らなきゃいけないわよね。なにか探査道具あったかしら? 明日にでも行ってみましょう! ……待って。領主様の家のお嬢様が関わっていたのよね、……。アッファスくん! 今から行きましょう! 閉鎖されちゃう前に調査よ!」

 リリーお姉ちゃんは大興奮でした。

「調査と閉鎖はされてるんじゃないかな。あと、ティルケとネアだけに夜の留守番はさせられないよ。リリー」

 アッファスお兄ちゃんがなれた様子でリリーお姉ちゃんをたしなめてますね。

「わかった! じゃあひとりで行ってくるわね」

「未探索の迷宮に単独探索は無謀だから! 悪い見本を示さないの!」

 流れるように次案をダメだしされる姿はとても手慣れた日常っぽくもあります。

「んんもー。アッファスくんたら心配症さんなんだからぁ。そーゆートコ好きよ」

「はいはい。リリーも今夜はネアから迷宮の話をティルケと聞いてから明日様子を見にいけばいいだろう? ティルケは発表までに講座をとってたりは?」

 あんまりにもアッファスお兄ちゃんはさらりと流しましたよ。そのままティカちゃんに合格発表までの予定を確認していますね。リリーお姉ちゃんがちょっぴり流されて不満そうですよ?

 ティカちゃんは発表までの期間に薦められた第四総合学舎の方にも行っておきたいそうです。

 薬学や医療系の講師は第三にも第四にもいるそうですが、直接の回復系スキルについて詳しい講師方が第四総合学舎に多いそうです。第三総合学舎には知識を持ってその役に立つ機材を開発する系の講師が多いとか。リリーお姉ちゃん曰く、特性の差であってどちらも有用よ。くっそ貶し合い気味だけど。だそうです。

 リリーお姉ちゃんの解説に頷くティカちゃんに「まぁ、もうちょっとで私が万能薬つくって膝をつかせちゃうんだけどね!」追い討ちをかける姿がアッファスお兄ちゃんに「そういうところだろ」とぼやかせるようですよ?

「じゃあ、今夜いっぱいおはなしして明日迷宮があった場所行ってみよ。草原の国のお姫さまが襲撃された現場だから様子見に」

「え。それ確認に警備の人達が規制してたりしない?」

 ティカちゃんにそう言われて「そうかもな」と思うネア・マーカス十一歳ですが、アッファスお兄ちゃんを常識人と想定して見つめてみる夜ごはんの食卓です。(屋台の持ち寄り飯)

「あー。揉み消されている可能性もあるかなぁ?」

 大人の世界ってそういうところありますよね。

 力のある子が都合よく事実を事実として広めるんですよ。知ってます。そういう独特の決まり事を知らない人が悪いってことで大概まるく収まるんですよね。被害は小さい方がいいらしいですから。

「じゃあ、なにもなかったんだから規制されることもないわね!」

 リリーお姉ちゃん、強い。うん。知ってた。

「なかった事になっても封鎖迷宮が入り口をあけたのは変わらないから調査はあるんじゃないですか?」

「おお! ティカちゃんよく頭がまわるわねぇ。素敵! あり得る話だと思うわ。よし。オリバーくんに相談しよう。あいつ情報通だから」

「あー、宿に行く前に酒場に寄っておくよ。ケイブも来てればヘンリーが何か言ってたか聞けるしな」

 リリーお姉ちゃんがティカちゃんを褒めながら思いつきを口にし、アッファスお兄ちゃんが事前に話を流すつもりらしいですね。この若夫婦ぅ! 

 にやにやしちゃいますね。

 ところでヘンリーさんて誰ですか?

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