第430話 受験と学ぶ講座
「回復系使えるのね。基礎講座を終えたら治療師系の講座がお勧めだよ。治療師系の講座を受けていると講師が施療院や診療所に紹介状書いてくれるからね。もちろん、学生ギルドの治療室での仕事もあるよ」
入試の申し込みに行ったら受付けてくれた学生ギルドのお兄さんにそう案内されました。
「ただ第三総合学舎は基本錬金関連特化だからね、治癒術を専門としている第四総合学舎の講座も確認しておくといいよ」
「ありがとうございます」
「試験日は明日だから今日はゆっくり旅の疲れを癒すんだよ」
「はい。ありがとうございました」
どこの学舎で受験するのも自由ではありますが、平民留学生は第一総合学舎を受験することが多いらしく、申込みはすんなり終了し、かつ助言までもらえました。
「お疲れ様。帰ろうか」
にこりとアッファスさんが手を差し出してきます。
宿泊先はアッファスさんがリエリーさんと暮らしている工房です。
ネアは付いてきたがったけれど、自分で対処できるようになるために一人で行くと言い張りました。アッファスさんが迷子対策についてきてくれるのは阻止できませんでした。
「数日は単独行動は控えた方がいいよ。まずは道を覚えないとね」
聞いているとやはり『ものなれない子供』を見かけて圧をかける人がそれなりにいるそうです。どこにでもいますね。そういう人。
「ネアはだいじょうぶかしら?」
「ネアはリリーのお気に入りの妹分ってこの辺りでは定着しているからね」
リエリーさんはルチルさんの妹さんで明るく屈託のないかわいいお姉さんです。うちの姉とは違いますね! お片付けや家事はすこし苦手なので宿代替わりにそちらを担当させてもらうと相談してます。
「私とネアが泊まることでアッファスさんが他で宿をとっているのはちょっと申し訳ないです」
「ああ、気にしないでいいよ。荷物は置いているし、それなりに稼いではいるからね。ネアが君の宿泊先とか心配してそわそわしちゃうよりは気分的に安上がりかなぁ。タガネさんにいろいろ聞けるしね」
アッファスさん、いい人です。
「第四総合学舎はすこし遠いけれど、一度行ってみるかい? 第三総合学舎の学生街も入り組んでいるけれど、第四総合学舎の学生街も入り組んでいるからひとりで出掛けてはいけばいよ。ちょっと良識がおでかけしている偉い人達の住んでいる区画もあるしね」
良識っておでかけするものなんですか。
ただ単に『ホンモノ』は一般常識を理解しない案件じゃないんですかね?
ネアみたいに。
私もネア以外の理解が苦手な人と関わるのはごめんだなぁ。
名前が書ければ合格と言われているけれど、できることを増やして遊び資金を稼いでネアと遊ぶにはまず適切な講座を決めてちゃんと拠点となる寮も選ばないとな。入寮無料は一年間。節約は大事だわ。
アッファスさんに近所の冒険者ギルドの出張所と教会には連れて行ってもらいました。四区画か五区画にひとつ冒険者ギルドの出張所と教会、警ら詰所があるそうです。
冒険者ギルドは本部以外に十二の出張所が。多いとも思うんですが、地区の依頼を回すにはそのくらい必要だし、その上で料理屋や酒場で極地域の依頼斡旋もしているそうです。
「窓口はそれなりにあるんだよ。月に一度は冒険者ギルドにも学生ギルドにもちゃんと行くべきだけどね」
総合学舎は第十総合学舎まであって、それとは別に各王族貴族のみが通える貴族院、成績優秀かつ帝国籍者のみの上位総合学舎があるそうです。
帝国で就職を望む他国民でも帝国に忠誠を誓うことで学べるようになるそうです。お給料も出るんだとか。
学ぶ講座を眺めている限りよくわからない講座ばかりで私には縁がなさそうだなと思います。
私に必要なのは基礎戦闘と治療術、商業講座と基礎礼法でしょうか?
ちょっと裁縫と料理も興味があると言えばありますね。
ネア、食いしん坊さんですからね。
「帰ったらお茶にしましょう」
てぃーさーばーふろっがーに名前もつけなくてはいけませんからね。
あれ。
魔物使い講座も受けなくてはいけない?
講座はある?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます