第419話 そんなに長くない旅程
『蒼鱗樹海』を三日焼きながら進み、そのフロアに人がいた場合出るように誘導するんですが、その間は採取やティカちゃんの狩り時間ですよ。
まぁ、なんと言いますか技能は上がらないなりにひと財産築いちゃったんじゃないかなぁと思っているネア・マーカス十一歳女児ですよ。王都側からの入り口からグレックお父さんのお父さまがお迎えに来てくださいましたよ。お暇ですか?
わんだりんぐふろっげーが『来ないのでござるかー』とソールカーナンさんにごねたらしく半日ほど迷宮探索が組まれましたよ。タガネさんはダメだそうです。
というわけでティカちゃんと『天水峡連』散策です。
ティカちゃん『耐寒』『氷結』『ストレージ』のスキルギフトを取得していましたよ。あと大福はいっぱいドロップしました。『ストレージ』に関しては即使用後沈黙を守っていたようです。天水ちゃんからの忖度スキルギフトかも知れません。
わんだりんぐふろっげーという魔物のガイドあり散策にティカちゃんがものすごく微妙な顔で「たまちゃん、みたいなものね。迷宮は人の常識にとらわれないんですものね」まるで自分に言い聞かせているようでした。
ソールカーナンさんがにこにことわんだりんぐふろっげーに声をかけ、グレックお父さんのお父さまがティカちゃんと私が遊ぶのに不都合ないように場を整えてくれますよ。これはこれ以上ない接待探索! 役に立たないどころか害がある奴では?
「初心者を見学させてついでに耐性スキルギフトを取得させたいなら正解じゃない? 耐寒スキルはきっとすごく役に立つわ。……どうしようもない野宿の時とか」
雪蜥蜴大福をお城で売るわけですが自分たちで食べる数個はこっそり残しましたよ。
あ。『天水峡連』の中でどこまで氷を溶かせるかで思いっきり試しておきましたよ。魔力放出って奴です。(これで次の階層への入り口があった場合門番が倒されるまでそこへ至る道が確保されるらしいです。一度氷に閉ざされると地図が変わるそうですよ。けっこう鬼仕様では?
翌日のお昼には『草原の国』のトルファームに着いてギルド事務員のタタンさんと再会です。『回遊海原』が定着し、冒険者が押しかけているのと、『失迷の国』に帰国するにも氷壁を恐れて留まる難民でとても人が多く賑やかでした。宿は空いていないのでタタンさんの自宅に招待されました。九歳児(もう十歳ですね)は帝都の新年祭をとりまき引き連れて見物に行ったそうです。
軽くご用事があるとのことでタガネさんがはなれている間に軽く水を売って、『回遊海原』の探索許可をもらってティカちゃんと一緒に遊びに行きました。五階層まで行って「もうちょっと行けそうかも?」と言うティカちゃんに「もう少し行く?」と聞けば、「いいえ。夕食より遅くならないようにってタタンさんもおっしゃってたでしょ」と迷宮を出ましたよ。もちろん、イエスはタップしてませんから。
唐黍の揚げパンは美味しかったとかネズミの串焼きは少し筋っぽいんだけど、猪肉を食べ慣れたせいかしらとか。潰したたまごを詰めた揚げパン美味しいとか話題は尽きない道中でした。
旅程は時々タガネさんが現地で頼まれごとをして時間がかかるくらいで春もまだまだはじめといえる頃に学都に着きました。
変わることのない城壁都市。
帝国といいえ。ロサ家と契約を結んだ数々の迷宮の侵入口のひとつが集められた街。
私、ネア・マーカスは留学生としてこのまちで学ぶために逗留するのです。
「え!?」
ティカちゃんが入国申請している場所から声が上がりましたよ? ティカちゃん?
「荷物に魔物が混じってたなんて。え? なんで?」
え?
様子を見に行くと、ちょこんと白い置き物……。白い蛙の……。
天水ちゃん!!!
おしかけ使い魔はダメだと思います。
お役人の人がティカちゃんに「この魔物飼うのなら従魔届けを出して。危険度は低いと鑑定で出ているけど、放棄するならちゃんとこちらで討伐しておくよ?」などと聞いていますね。
「茶サバちゃん、魔物?」
ティカちゃん、すっとぼけつつ従魔契約について教えてもらっていました。門をくぐる時にぽそっと「資金……」と呟いてました。
茶サバちゃんはたぶんにーとくんやふろすきーより上位種のはずなので弱くはないはずですよ。鑑定結果が謎ですよね。
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