十一歳になりまして
第414話 成長してるのです
大越の期(期間として十日ほどです)を越えて十一歳になったネア・マーカスです。
ティカちゃんは「魔力と体力が増えたわ。学徒に向かうのが楽しみね」と得意気でした。
私は、そうですね。特に変化はありませんが魔力はたぶん、増えていますね。日々、迷宮たちに注いでいる成果でしょう。ただ、実感はありません。
「ティカちゃん、身長も伸びましたよね?」
「ん? 本格的な成長期は多分まだね。胸部が成長し過ぎると動きにくくなりそうでイヤよね」
お互いに身長と胸部を見合います。
マコモお母さんはお胸大きいですよね。いえ、血のつながりはないんですけどね。ティカちゃんのお姉さんもお母さんもそれなりに視線を集めるお胸ですよね。そういえば。
「……ネア、縮んだ?」
!!
「縮んでません! ティカちゃんの背が伸びたんです! ズルい!」
悔しがる私を見ながらにやにやしているティカちゃんのいーじーわーるーぅ。
「あー。ごめん。でも、ほら。魔力高い子には良くあることだからって尼僧様やギルドのおじーちゃんたちが言うじゃない? それにかわいいし」
「小さくて?」
「うん!」
「つまり十歳ですって主張が今度はもう十一歳なんですけどって主張していかなきゃいけないんですか?」
ネアが小さい子じゃないと主張しなくてよくなるのはいつだというんですか?
「聞いてくる人は見る目がないんだし、気にしないでかまわないんじゃないかしら?」
けっこうそーいった扱いしてくる人多いんですけど?
あ。視線を逸らしましたね。
わかっていて言いましたね?
「ネアが可愛いのは私嬉しいもの」
「私はティカちゃんの妹でも妹分でもないおともだちだと思いたいし、まわりの人にもそう認識してほしい部分があるんですよ。わ、背伸びしておねえさんに甘えている子みたいな扱いされるのヤですからね」
「おともだちでしょ。私だって魔力が高くていろんなことのできるネアに寄生してる雑魚とか言われたくないんだから。ん。あれ? えー。もしかしたら私、そうだからぷんぷんしてるネアを見ててちょっと嬉しいのかな? ちょっとイヤな子ね」
なにかに思い当たったのかティカちゃんが急に表情を曇らせますよ。わけがわからないですよ。
「私が一緒に過ごしているのが嬉しくて楽しいからなので他の人の判断は関係な……ティカちゃんもちゃんとわかっていることでしたね」
二人でへらりと笑いあいますよ。
「わかっているんだけど、気になっちゃうの!」
「それはネアもですよー」
「んっもー! にやにやしてぇ!」
私のほっぺたをティカちゃんのてのひらが挟んできてフニフニされましたよ。なんだかちょっと痛いですよぅ。
でも、とめようとか何故か思えなくてたぶん、ずっと笑ってました。
ティカちゃんのコレ照れ隠しですよね?
なんだかかわいくて好きです。
大越を終え、冬の期が終わればすぐに春の期です。
旅支度を終えた留学予定者は一度王都に向かいます。
王都から護衛を伴って学都に連れて行ってもらえるそうです。ただ、今年は向かう人数は少ないので時期だけあわせて小グループごとらしいですよ。グレックお父さんがそう言ってました。
タガネさんの馬車で行くんだと思ってたと伝えれば、タガネさんに国から報酬が支払われているという話が聞けましたよ。
小グループは五人から十人くらいになるかもしれないとのことでした。
そういえば、タガネさん、あの時は断っていたようですが他の同行者を受け入れることもあると言っていたような気がします。
やってきたタガネさんに「『草原の国』コースと『岩山の国』コースどっちがええ?」と聞かれるまであと少し。
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