第407話 女狐迷宮にくる
「楽しかったですねぇ。アイスリザードは騎獣に良さそうな大きさで凄かったですねワインの樽がドロップするのもまた率先して狩りたがる先輩方が多そうです」
サーシオンお兄さんがにこにこ語るのを聞きながらテリハさんが雪蜥蜴大福を売り渋っているのを眺めているネア・マーカス十歳です。私とケイトさんはもう販売終了してますよ。
「ひとつくらい宿でぬくぬくと食べたい!」
テリハさんって本当に欲望に素直な人だなぁって思いますよ。足湯しながら食べた冷たい大福は美味しかったですもんね。わからないでもないです。ちなみに薄っぺらいチョコは大福より高額買取になりました。
入り口から出口までのコースを確定させて採集ポイントや狩場の確認にうろうろしたんですよね。騎士様たちは護衛も兼ねてますがもちろん深部への方向を探る役割も担っているそうですから。うろうろの範囲は広いものとなります。
『天水峡連』と『蒼鱗樹海』は同じだけの広さを誇っているはずです。その上で『天水峡連』の方が生存不適なんですよね。
まぁそれはさておき、なんでこんなに氷の層をつくってあるんでしょうかね?
【水質浄化の一環では?】
水質浄化?
【おそらく地上で人が使用した排水を取り込み氷壁を通すことで浄化しているのではないかと。氷中にスライムの存在を感じますし】
氷中にスライム。
では、氷を砕いてみましょう。ちょっと周囲を溶かしつつ、ゴンですよ。ごん。
「ネアさん!?」
ケイトさんが驚きの声をあげましたね。
コロリと残った物はスライムの魔核です。
「氷中に魔物が潜んでいるようだな」
きりりと騎士様がおっしゃいます。
「そうですね。氷中遊泳スライムというみたいですよ」
ケイトさんが鑑定されてます。スライム本体どこでしょうかね?
雪蜥蜴狩りはテリハさんが率先して『雷撃』祭りでやってきた雪狼をサーシオンのお兄さんが討伐してらっしゃいます。
つまり出る幕がない。騎士様とケイトさんがテリハさん達が狩りもらした魔物も掃討しちゃうので本当にすることがないので大人しく採集ポイント探ししてただけなんです。
【大人しく?】
大人しく。です。
採集品が氷だけは迷宮としてシビアでは!?
とまぁその辺りを軽く破砕してスライムの魔核や氷を採取しつつ、テリハさん達が戦っているのを見学していたんですよね。
ええ。ここまでで氷蜥蜴が出てくる余地は本来なかったようなので予定通りなら遭遇することなく終わるはずだったんです。ええ。遭遇したのはいわゆるあってはいけない事故のような犯人のいる事件のようなものですね。
入り口方面から弾けるような爆音と足下の氷の大地にビシリと刻まれた亀裂。この段階で私は騎士様に確保されましたよ。荷物のように確保。
確保されたたぶん安全な場所から慌てているテリハさんやソールカーナンさんの逃げまどっている位置をとりあえず把握ですよ。
「わたくしのネアを庇ってくださっているのでしたらお礼が必要でしょうが、わたくしのネアを不埒に抱き上げているのでしたら鉄槌が必要だと思われますわ」
間違いようのないマコモお母さんの声ですよ。
「この! 女狐! 幼児を迷宮に連れて入るんじゃないわよ!!」
知らない女の人の声。まぁ、グレックお父さんの妹さんだったんですけどね。
なんか嫁と小姑の争いが勃発していましたよ。
グレックお父さんとマオちゃんは何処ですか?
その後、いろいろぐちゃぐちゃになったんですがとりあえずマオちゃんはもこもこしてて可愛いが過ぎました。ネアが抱っこしてますからね!
あと騎士様がグレックお父さんのお父さんならさっさと名乗っておいていただきたかったと思うネアでしたよ。
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