第395話 予定と現実
『蒼鱗樹海』と『ティクサー薬草園』以外はしばらく伏せておくつもりだったのに現状は大違いだなぁと思う迷宮管理者ネアです。
「どーしてこうなったのか?」
『アルジ、心配スル、留守時対策不安。ナラ出来ル、見セル』
……。
納得の前倒し理由ですね。
天水ちゃんはああいう派手な真似しつつも『別に来なくていい』という方針な気はしますが。
つまり、私が心配している姿を見て安心させようと張り切ったというわけですね。
『それに『オマツリ』というよくわからない要素が追加されましたし、今後主人様のもとにくだる迷宮も増える可能性が少なからずありますね』
んー?
確かに情報は欲しいよね。
「支配後放棄できるとも限らないしねぇ」
『あまり、放棄などとおっしゃりませんように。ご存知のことと思いますが、私ども迷宮にも心があります。そして、根幹に『管理者を持つことへの愛着』が存在します。拒否否定されて嬉しくはないのです』
……。
つまり、心がある分。
「性格表現が捻れている感じの個体もいる。ってこと?」
例えば、『回遊海原』とか分裂症で拗れてそうな『天上回廊』とか?
『そうですね。年月を重ねてゆくほど自己防衛的なものは増えてゆくものです。年老いて老獪さを持つか子供がえりするかはそこに至る経験と向き合う心のハテですからね』
「難しいですねぇ。私がどこまで受け入れることができるかもありますし、それほど迷宮をぽいぽい増やしていいとは思えないんですよね」
だって、現状だって管理者として足りているかと問われれば、私は間違いなく「いいえ」と答えます。
様子見されているから突破されていないだけだと知っています。
確かに帰ってきた人が増え、迷宮を巡る魔力は種類が増えました。迷宮それぞれが経験をつんでいます。
私の迷宮はまだまだ幼く、『石膏瓦解』を迷宮核まで行くと平気に語るルチルさんやタガネさんが一階層、二階層でおさめているのはあくまでも手抜きの様子見だとわかっていることなのです。つまり、警備隊長さんたちは実力を出さぬままに迷宮に魔力という成長促進をしているわけです。
それって制圧できる実力を伏せたまま、実力を低く見積もらせつつ成長させてる感じがちょっとありがたいというか、気に入らないというか微妙なところでしょう。
バティ園長は冒険者とか強い人達を知っているので気をつけていってくれるでしょうが。
迷宮と人は一応相互成長ですからね。
人の活動から魔力を摂取し、人が強くなりうる食材試練を迷宮は提供するという。
現状、どちらかといえば。
「うちの迷宮たち舐められてませんか?」
気のせいですかね?
せん滅しなきゃならないとまでに危機感を抱かせる予定もないんですけどね。
『暗闇の通路を抜けることができないでいるのは現実なので、そこまで舐められてはいないと思いますよ。先日、イゾルデ嬢が来られましたが撤退しておりましたし。魔力切れで』
あ。そうなんですか。改築が進む?
それはいいことですね。
一定以上の魔力がなければ四階層には行けず、四階層はゴーレム主体(魔力抵抗高めの)なので物理が足りないと詰むんですよね。薬草園。
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