第387話 おゆーはんです
魔除けに魔力を注いでダスティンおじいさんの里長宅でお夕飯です。加工済み食糧の提供は私ネア・マーカスでした。
ダスティンおじいさんの語るには凍てついていくが故に森での狩りは出来なくなり、だからといって迷宮は遠く(日帰り距離じゃない)畑で栽培をするには寒さで難しく、保存食量を支度するには今年は期間が短過ぎ(これは国全体らしいです)ティクサーやクノシー発で食材運輸を国内循環させる必要性があるそうですが、これまた道があやしいそうですよ。今、ここに滞在している警備隊員さん達は正しくは巡回隊員さん。道を維持し、安全輸送が担当だそうです。もちろん、ティクサー、クノシー間は迷宮内定期商路もあるそうですが地上の街道の維持も必須だそうです。確かに。迷宮は内部変化あったりしますからね。
ティクサーまで迷宮を通り素材を集めつつ、商人を護衛して基礎能力を上げ、魔物を討伐してギフトを手に入れた上で町の警備隊員と混ざって町に残ったり、次の巡回部隊に混ざったりするそうです。
『たまちゃんチ』方面にも向かう必要があるのだそうで大変そうです。(あっちは道が悪く、その上で往来許可(王族不可)は警備隊員でも出たり出なかったりだそうです)
「商人が一緒だと容量の大きい荷物袋や収納ギフトスキルを持ってたりするからなぁ。建材を多く詰めるんだけど、俺らだけだとそうもいかなくてな。ちなみに俺らは街道保守隊。時々、ティクサーに買い出しに出て、クノシーまでの野営地、及び周辺集落の警邏がお仕事なのさ。でも荷物袋は私物使っても心許ないってな」
ふんふん。すごいですね。自分の食材が後回し気味のお荷物事情ですね。
「だから、ネアちゃん、格安で食材売って」
なにがだからなのかよくわからないですよ!?
現在は集落の構築で最低限の食糧を野営地優先。そして補強建材を運搬する事が重要視されていて巡回部隊自身の食糧事情は厳しめになっているそうです。ここはティクサーにもクノシーにも三日はかかるらしく、一番食材の備蓄が少なくもあるそうです。
「さすがに一期越える備蓄は難しくてな」
集落は里長宅と教会だけが現在建造されているものだそうです。それぞれの貯蔵庫にひと冬を越えるには少し厳しい在庫が詰まっているそうですよ。
しかも国外から帰ってきた避難民が流れてくることもあるので食糧事情と防寒事情はどこでも大変だそうです。ティクサーには辿り着いてないだけだそうです。明らかな冬の装いを表明した国に帰国を伸ばす人ももちろん多いそうです。国境でパッキリ風景が変わるそうです。
トルファームからは草原向こうにそびえる氷壁を眺める物見遊山客と留まる元失迷の国の国民が増えているそうです。迷宮『回遊海原』があるので食糧事情は問題ないそうですよ。
あと切り出した氷を安く買ってくれるそうです。確かあの国水不足だそうですからね。
「だから、少々おまけはしてほしいけど、ぼったくりでもかまわない。ネアちゃん、料理を売って」
「猪肉の腸詰。銀貨一枚ですね」
「っし! 大銀貨一枚分!」
十本ですか。いいですけど、なんか対応ムカつくんですけど? 別に暴利を貪っている訳じゃないですからね。
お兄さんに売却した後、今日の夕食と明日の朝食用にダスティンおじいさんにお肉と根野菜を差し入れますよ。グレックお父さんに促された到着時に渡した物とは別枠です。
残りの冬を越えるにはまるっきり足りないですが、数日をもたせる量にはなるかなって分量ですが。
「おお、助かるなぁ。やはり巡回隊員にはしっかり食べてもらいたいからな。時々獲れる蜥蜴や狼ではどうしても量がな」
雪蜥蜴と狼獲ってるんですね。ちょっとびっくりです。
そんなに襲いくるような魔物でもないんですね。
蜥蜴皮と狼の皮に含まれている魔力を活用して防寒機能をあげているとのことで快適ですよ。
地元の迷宮の物を使うと過ごしやすくなることが多いんだそうですよ。
ダスティンおじいさんが何人か引っ張って何処かに引っ込みました。私は自分とグレックお父さんに『清浄』ですよ。尼僧様がにこにこと温かいお湯をくださいました。
「お食事にしましょうね。グレック様もお嬢様もまずは一息おつきくださいませ」
スープの鍋は消えてかわりにたっぷりとお湯の入った鍋が火にかけられています。
天井から吊り下げられた金具に鍋が掛けられ、その下で火が燃えていますね。特になにかで囲ってあるわけでもないのでかなり不思議ですね。
「うん? お嬢ちゃんは囲炉裏が珍しいかね?」
囲炉裏……。
ちょっと不思議ですね。
「はじめて見たと思います」
ダスティンおじいさんがお湯の中に粗く編んだあみかごを沈めていきますよ。
あれー?
「防水の魔道具ですか?」
「そうそう。あったかいあっつあつを食べてもらいたいからな」
熱であっためるんですね。おもしろいです。
あと灰の中から芋が出てきました。加熱された芋は美味しいです。
カゴから出てきたものはお肉やお酒やお酒でしたよ。
ずっしりめのパンは冷えていたら硬そうだったのであっためてもらえてよかったと思います。ざっくり薄切ったパンに香草を混ぜたバターをたっぷりとのせて蜥蜴肉のみじん切り炒めをのっけていただきました。
雪蜥蜴は脂肪たっぷりでほんのり塩味でした。
美味しいはしあわせ。
気がつけば朝でした。ええ。記憶飛んでますね。
お酒は飲んでませんよ。
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