第384話 お互い様
食糧(ティカちゃんとこの食堂メニューを引き換えてあった食糧)をかなり強引に買い取られました。
かわりに猪や熊肉毛皮(材木粘土などの資材も有り)を格安で押しつけられましたよ。
『偽造迷宮』に魔核を供えて、ついでに魔力も注いでおいたネア・マーカスです。
警備隊長さんは連れて帰る警備隊員さんに報告書をまとめさせたり、イゾルデさんの行動方針の確認を行なっているようです。不審な外国人は迷宮に捨ててきたとかイゾルデさんが不穏な発言してますね。
武装解除させて放り込んで追い立てたそうです。所持ギフトによっては生きているだろうと何度か頷いてらっしゃるイゾルデさんに警備隊長さんの眼差しが呆れていますね。
生きて出てくるのならお相手願いたいねと笑顔ですね。
「気温差がキツいから迷宮入る時はネアちゃんも気をつけな。凍死寸前から一気に『蒼鱗樹海』はキツいから」
なんてお兄さん達も苦笑いですね。
「一応さ。俺たちだって迷宮にこの寒さの影響何とか緩和してほしいとは愚痴ってるんだけどさ。魔力や貢ぎ物が気に入らないのか、寒いまんまなんだよなー」
あー。担当迷宮が違うからですねぇ。
「でもさ。毛皮のドロップは増えたよな」
「ああ。あと、辛い木の実とかもな」
対策品を提供するくらいはする感じ?
「国全体の確認調査は春からの予定でしてね。もし、この影響が『蒼鱗樹海』でも『たまちゃん』でもないのなら入り口を探さなければならないわけですね」
ちょっと困ったように警備隊長さんがため息ですねぇ。ところで『魂極邂逅』は『たまちゃん』が通称と化してらっしゃる?
たまちゃんかうさちゃん迷宮で通じるそうです。
『蒼鱗樹海』はやっぱり森とか樹海で通ってるそうです。
『ティクサー薬草園』は薬草園とか保養所とか呼ばれていることもあるそうです。迷宮なのに保養所。
ん。
つまり、他にも迷宮が存在する可能性はみなさん抱いている感じ?
「期限定で出現する迷宮もあるものですからね」
「あと短時間で消失する迷宮もよくあるんだよ。そんな弱い迷宮は周囲に影響はないけどね。だからここまで影響力があるとなるとすでに安定した迷宮ってワケ」
なるほど。
「教会や冒険者ギルドの基礎講義でやるだろ?」
え!?
お兄さん達に残念そうに「聞いてなかったんだな」とか「迷宮ないとあんま意識しないよなー」とか慰められましたよ。
くそぅ。少し悔しい。だからって王宮地下に入り口があるなんて地方に住む町娘が発言できませんけどね。
あとで園長にも苦笑いされましたよ。ただ、迷宮はなく外に向かう様子のなかった私には不要の知識として説明しなかった可能性も指摘されました。
迷宮のあれこれは講座などで習うことと冒険者同士の雑談こぼれ聞こえる情報を拾って自身で積みあげていくものだそうです。
伏せられた情報があると察することができて一人前だそうです。わかんない時はその辺の迷宮脅して聞き出すでいいそうです。助言感謝ですよ。園長。
支配していない場合虚言の可能性があると教えてくださるんですが、支配していても制限してなければ虚言はあると思うんですよ。あと自身が誤解している場合も。
そのあたりはきっと個体同士のお付き合いなんだと思います。
例えば、天職の声さんもですが、天水ちゃんだって行動自体は不可解さがたぶんに含まれていますからね。
私への悪意とかはなさそうなんですがちょっとよくわからない部分は多いですね。
まぁ、たまちゃんもちょっとアレですし。
それって結局個性なんだろうなと思うんですよ。
【お互い様という言葉が有用ですね】
ほんとに。
わからないからと言って嫌いじゃないんですよ。
私、自分のことだってちゃんとわかっているワケじゃないですし。
他の人のことなんてもっとわかりません。
本質的に私は私が嫌いですが、誰かが好きだと心を寄せてくれる私は大切にしたいと思っているんです。
だから、本当にお互い様ですね。
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