第368話 『蒼鱗樹海』二階層をいく⑤
手出ししない条件でティカちゃんの戦闘のそばにいるネア・マーカスですよ。私は楽しくティカちゃんと連携とかやってみたいんですけどね。ティカちゃん本人に無茶言わないの。となぜかほっぺ引っ張られましたよ。痛かったです。
で、初接敵。地面から現れたのはモグラでした。
迷宮整備要員ですかね。地虫共々。
土を掘り起こす大きな爪をそなえた前肢。下半身は土の中っていうのもおんなじ感じですね。
一発、とりあえず殴った感想は「……兎より装甲硬めね。熊より薄め猪クラスかしら? まだ猪は倒せてないのよね。私の腕力だと」だそうです。
「とりあえず、削れるところまで削るわ!」
前向きティカちゃんですよ。
石礫をモグラの腹下から発動させるのはなかなかにダメージ通ったらしいです。
「手負い凶暴化ぁ!!」
ひぃんと声を上げながらもぶん殴るティカちゃんガンバです。
「もう一発『石礫』!」
モグラの頭上の壁を使って降り注がせる岩石片。そんなにダメージが通っているようには見えませんが、鬱陶しげに唸って振り払ってますよ。
おなか側からのダメージの方が高そうですが、最初の一発は不意打ち効果もあったらしく、モグラ下の地面は魔力干渉によりモグラの魔力支配下で下からの攻撃ができないようです。
警備隊のお兄さんから外部協力『回復』ならかまわないという許可を取り付け(第一地虫戦じゃないですしね)一定の怪我をしたと思ったらティカちゃんの回復ですよ。一回、おもいっきり睨んでから「ありがと。ネア」とお礼をもらいましたが、めちゃくちゃ悔しそうで申し訳なさが込み上げますが、怪我を放置なんてできませんよ!?
殴りあうことしばし、殴り勝ったティカちゃんはドロップ品、モグラの魔核とモグラの爪、ギフトスキル『穴掘り』を確保したようです。
ドロップは恵まれてますね。
「悔しい。時間かかり過ぎ!」
あと、明らかに疲労たまり過ぎですよね。魔力も回復させないと。
「地虫も倒せてない!」
「王子様も倒せてないからね。条件いっしょ」
弟王子の時も出て来たのはミミズだったとかで地虫は出てないそうです。というか、ミミズ追っかけてたのかも。モグラ。
「そうかもだけど。悔しいものは悔しいわ。あのモグラ、兎より少し大きなくらいなのに」
一階層魔物と二階層魔物じゃやっぱり強度は違うんですよ。ええ。たぶん、初手討伐経験した十歳冒険者は少数派だと思いますよ?
「ネアが回復してくれてたからなんとかなっただけじゃない。やっぱり一階層で猪くらい狩れなきゃダメなんだろうなってわかったわ。でも、たぶんなんだけど、熊よりモグラのほうが弱い気がするわ」
「間違ってはいないと思うよ」
警備隊のお兄さんが肯定してくれますよ。
「まずは一階層で猪が狩れるようになってから二階層にくるべきだと理解しました。猪の方がお肉多いですしね!」
力いっぱい肉の重要性を考えるティカちゃんカッコいいですね。好きです。
ところで掘れたこの塊は見覚えがあるんですが?
「あ、姉さんそれ」
うん。弟君よ。これはなに?
「葛の根塊だね」
こんなところにも葛の痕跡!
モグラ倒して葛の根塊集めをしたいという希望は叶えられましたよ。
葛はとりあえず根絶!(無理)
「一階層と二階層では葛の在り方が違うんだね。姉さん僕も『穴掘り』欲しいな」
「じゃあ、モグラ退治もう少しですね……」
私がよし、頑張るか。と気合いを入れたタイミングでトロちゃんがモグラ退治して『穴掘り』をドロップさせてましたよ。『ほめて!』と尻尾を千切れんばかりに振ってるトロちゃんは可愛すぎて何も言えませんとも!
弟君はさっさとほめてあげるべきですよ!
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