第366話 『蒼鱗樹海』をいく休憩長い2
「それは確かだけど、ノーティは魔力発揮に癖が強いからね。魔力の循環が内側に向いていて武術スキルを通してしか発動消費されない分、感知系に向いていないだけだよ」
兄王子、ソレ弟王子を宥めてるというより突き落としていませんか? ひたすら未熟者宣言ですよね?
「ノーティ王子様は実力者じゃないんですね」と言ってしまった私への兄王子の答弁になお安全区画の空気が地味に居心地悪くなった気がするネア・マーカス、一般市民なので上位者には関わっていきたくないを再確認中です。
大人達が『蒼鱗樹海』か『ティクサー薬草園』のどちらかか両方と王家が契約してくれればいいのにと噂しているのは噂にうといと言われる私ですら知ってますからねぇ。
実際、他の王家や豪商だったり王家乗っ取っちゃおうという勢力がないわけではないらしいですよ。
そういう様子見戦力は警備隊や冒険者の一部の人が排除しているらしいです。エリアボス蛇的には実に参考になる戦闘が繰り広げられ、かつ、迷宮に多くの魔力が補充されるそうです。人同士の同士討ちはいいぞもっとやれってことのようですね。
警備隊と地元冒険者が負けそうな時は猪を投入とかしているそうです。実力者に本気で奥まで来られたらまずいとのことですからね。今はまだ王国の意志を優先して甘えているそうです。
参考にしつつ観察した個体。その時の技術と魔力出力を参考にして対応可能な魔物を構築するそうです。つまり、ちょっと強い猪とか、ちょっと再生能力の高い蛇とか、毒性を上げた蜂とかが一階層の奥と四階層に循環しているそうです。
ポップしてから同胞と戯れあうことで行動力を馴染ませて、戦闘技術を磨きながら可能なら一階層で見学することでなお対応力を上げてるそうですが、たまに狩られると聞いてるんですよね。なんていうか、ダメじゃん?
たぶん、警備隊の人たちの基礎能力が迷宮学都で十階層くらいまでなら進める実力者なところもあるんだと思うんですよ。
つまり、どの迷宮も階層と強度が足りていない。
『蒼鱗樹海』の広さと王国に帰還している総数の少なさと受け入れ力の低さが迷宮核にたどり着く事を阻止しているに過ぎないんですね。
【迷宮の広さは力ですよ】
その分、魔力循環が薄くなって強化がゆっくりなんだと思うんですよね。
毎晩魔力は追加してますけどね。
「才を認められたなら王族に召しあげられる栄誉も得れるんだぞ」
得意気に弟王子様が胸を張りますよ。
「お断り案件ですね。岩山の国の王族だという方に求婚されましたがそちらもお断りしましたからね」
うんうんと弟君が頷いていますよ。冗談ともとれるかっるい感じかつ能力目当てを隠さない求婚……あー、弟王子様もおんなじですね。はい。『石膏瓦解』は裏も表も二十階層ある二重迷宮でしたがオルガナさんの家系がいわゆる迷宮神子やってた感じですよね……オルガナさん、こっちにいていいんでしょうかね?
【姪御さんが居られましたし、『石膏瓦解』は近いですから】
そーいう問題でいいんですか。そうですか。
「ちゃんと兄上はあの地虫を討伐したぞ!」
ん?
「兄上になんの不満があると……んがっ!?」
兄王子に口を塞がれましたよ。
素早く布を持った手で口元をバフッと抑えて引き寄せて拘束です。意外に動けるんですね。兄王子。警備隊長さんは困ったように目を逸らし、警備隊のお兄さん達は安全区画の入り口付近を警戒に行きましたよ。わざとらしく。
「ノーティ。自分には荷が重いことだ。ノーティがわかるようになった頃に彼女を射止めればいいよ」
「え! 俺様は明るくて可愛くて気立てのいい令嬢がいい」
身分差で言い返せないこちらに対してずいぶんと勝手な事をおっしゃっておられませんかね?
あ。
でもエリアボス蛇はステイですよ。ステイ。
「地虫の一匹も倒せないノーティ殿下ですものね。かれんなご令嬢がよろしいですよね」
ふぅんと言いそうなティカちゃんですよ!?
「ティルケ嬢とて倒せないではないか!」
「あら、どちらが先に地虫を討伐できるようになるか競いましょ。殿下は刃を通せるんですから有利ですよね」
え?
なにが起こってます?
「……俺様の寵愛が向かないゆえの嫉妬か? まぁティルケ嬢も我が寵愛が……」
ぶんと振り込まれた棍棒に弟王子沈黙ですね。いやぁ、私が刈り取ってもよかったんですけど、なんか兄王子がむちゃくちゃ見てきてるんで動きとりにくくて。不本意ですよね。
「私、今のところ自分の実力上げで手いっぱいでくっだらないことには興味がありません。庶民をからかってないで相応しいお嬢さまの心を射止めてくださいね。国のために」
あー。ティカちゃん、結構怒ってるなぁ。
「ネアも手ぇ出しちゃダメよ。ハーブもね!」
私も戦闘したかったりもするんですけど?
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