第353話 雑談ばかり
結論、迷宮移動の場合ティクサークノシー間の距離は鳥馬で三日に縮まりました。(魔物は出る)
「まぁ、騎乗強行すれば二日でも可能ですが」
「隊長! それは飛行種騎乗の時です! 飛行種は契約も調教も難易度が跳ね上がります!」
警備隊長さんの発言に部下の隊員さんたちがブーイングの嵐ですよ。
「荷物運ばん前提やったら可能やけどなぁ。情報も商品やしぃ」
タガネさんも強行は基本賛同しないそうですよ。
クノシーの警備隊長さんが苦笑いしながら「焼却感謝する」と金貨数枚くださるので受け取っていいのかつい周囲を見回しちゃうネア・マーカスですよ。
この辺りはクノシーと王都の管理下だそうで、受け取って問題ないそうです。
ティクサー予算とクノシー予算は連動しつつ別だとのことです。面倒くさいですね。
「あら。またクノシーに来て葛刈りして欲しいんでしょ。南方も北方も葛のせいで苦労してるおはなしはお客さんがしてるもの」
基本、草刈りが間に合っていないそうです。
住人国民が戻ってきて少しずつ草刈りしながらの迷宮探索が進みはじめたとはいえなかなかだそうで。道が一本通ったことで変化があるとの事です。
「あ」
気がつきました。
「どうしたの。ネア?」
「これで道が繋がると先のフロアが無人かどうかの判断がつけ難くなっていきますよね?」
つまり、フロア焼却し難くなるのではと思われるのですよ。
警備隊長さん同士がなにやらおはなしをしてその辺りの対応はするので私は気にしなくていいそうです。いやほんとは他に人がいるいないくらい把握できているんですけどね。
ふとティカちゃんに撫でられましたよ?
「ティカちゃん?」
「ネアがちゃんとまわりに思いをはせれて安心したわ。フロア焼却はあぶないものね」
あー。
ティカちゃん、ネアをなんだと思っているんですか。私は基本的には穏やかに平和平穏に生きていきたいと希望してる女の子ですよ?
学都に向かう春の期までに数回、大掛かりな葛除去協力を依頼されました。
おはなしによると迷宮では本人の魔力が少なからず徴収され続けるため弱い冒険者(見習い等)は日帰り推奨ですが、タガネさん、ルチルさんくらいになると十日とか二十日とか潜っていても平気だそうです。一般隊員さんは三日から四日が平均だそうです。つまり、強い冒険者はざくざく迷宮に潜って居住地をあけろという状況だそうです。けっこうひどいと思います。
施療院や宿、集会所などが優先的に作られたり改築されたりしているそうです。しかもティクサーでもその動きはあるそうですよ。
「迷宮前に温泉宿があるから小さな集落になりつつあるわねぇ。宿と雑貨屋、冒険者ギルドと商人ギルドの出張窓口に解体施設。今は職員通いが基本だけど、居着く人間は出ると思うわネ」
「迷宮出りゃ魔力回復は早いもんやしな」
「二日くらいあけて迷宮入りが理想よネ」
こういう大人の雑談で知識を蓄積していくんですよね。ちゃんとわかってますよ。
「つまり、総魔力高めなネアは時々フロア焼却で魔力消費する感じですね」
回復促進機能のある安全区画ではいくら使っても自然回復と促進される分で魔力が減りませんからね。
「あー、マーカス嬢。国外の迷宮ではやらないように」
「せやな。強制で権力者の嫁コースになるわ。気ぃつけや。実例あるやろ?」
クノシーの警備隊長さんが苦言を呈し、実例を知るタガネさんが追加で注意を促してきます。
「はぁい」
あら、モテモテね。なんてルチルさんは笑っていますが、アレ、鬱陶しかったんですよね。ほんと。
「我が国の王子たちはどうかね?」
クノシーの警備隊長さんがぽつっとティクサーの警備隊長さんに振り、静かにないという答えを貰ってました。
あー、まぁ印象は悪いですね。
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