第352話 主武器
二泊三日迷宮探索は伐採行ではありましたが、訓練とは繰り返し身につけてこそ。という基本を示された二泊三日だったとも思います。
狙いの付け方。
魔力の調整。
安全区画の見つけ方に使い方のマナー。
安全区画は何よりもまず綺麗に使うべきだと考えてますけどね。
「とりあえず、やってみて繰り返して体で覚えろって事ですね」
そう納得すると弟君がぼそっと「ノウキン」と呟いてたんですが、褒め言葉ではないと気がつくことはできるネア・マーカスですよ。
「でも二桁猪殴り殺していけば効率のいいやり方は確かに気がつくと思うんですよね。つまり、そのくらい繰り返して実力をつけろってことですよ?」
たぶん。
戦闘が戦闘じゃなく作業になる勢いでヤレって事ですよね?
「二桁も殴る前にコツは掴んで欲しいですねぇ」
隊長さんが厳しいですね。
「ですが、その心意気は大事ですね。迷宮の魔物は個体差が多少あるとはいえど、同一階層同一種であれば強さも誤差範囲ですしね。階層が変われば強さの幅は広がるのが、一般的ですから、気をつけてくださいね」
私じゃなく、部下の人達見ながらおっしゃってませんか? 隊長さん。
ルチルさんが笑いながら「あら、キビシ」なんて呟きながら薬草類採取なさってますね。
「まー、ネアちゃんは魔力頼りやなく、体力つけた方がええわ。動いて食べてよぉ寝とき、んで学都行くまでに主武器決めとき。オッチャンが用意したるから」
「え。主武器は槍にしますよ?」
ええ。もう決めてます。
剣より長く振り回す棒としての攻撃力に私は常に期待しているのです。振り回されるなら槍!
「基本は走り込みやな。あとは長い棒を持ち歩いて人にぶつけんようにしぃ。武器を持って自分殴っとったらわややしな」
「そぉね。軽いものからはじめて重くしていくのがいいわね」
「人にぶつからない場所で訓練をはじめるように。警備隊の訓練所はいつ使ってくれてもかまわないよ」
タガネさんもルチルさんも隊長さんも優しいですね。
「一番重要なところは他人や自分を殴るなってとこだと思うよ。姉さん」
そんなこと、知ってるもの。
「確かだがね。なにかあった時に人を殴れる。それもまた大事なのだよ。ハーブ少年は主武器は決めているのかな?」
ギフトスキル。つまり遠距離で殴ることとその手に手応えを感じて殴ることはやはり違うことだから。
迷宮で魔物を殴り殺しもした。あれは間違いなくいのちを壊す手応えで。重く考え過ぎるのも軽く考え過ぎるのも良くない事だと知っている。
作物につく害虫をむしるように。
守るべき子にたかる吸血虫を叩くように。
生きる循環の淘汰は結局のところ強者の意志だ。
迷宮が有り、攻略を目指す冒険者がいる。
つまり、強者が循環の管理を担っている。
「やっぱり剣? ハーブ、領主様の技に見惚れてたでしょ。ちなみに私は槌かメイスね。鈍器で足か頭を狙うのがいいと思うの」
迷宮以外での解体をどうする気ですか。ティカちゃん。……確かに弟君は領主様の技(本人得意げ、まわりから叱られ案件)にキラキラの眼差しを向けてましたね。
不意にティカちゃんが棍棒を持ち、片足を前に、腰を落として勢いよく棍棒で木をぶっ叩く。動きに慣れを感じますよ!
「これを数回繰り返すと木が倒せるのよ」
得意げにティカちゃんがおっしゃるのですが、いつの間にそんな技術を!?
「折るんが目的やのーて反動に慣れんのが目的やでティカちゃん」
「はーい。身体に負担を残さないように反動を流す訓練なんだって。いろんなやり方があるわよね」
痛いと体も力の逃し方覚えるよね。
「僕は、トロとカシリがいるから。ナイフくらいかなぁ」
調理用の?
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