第348話 葛刈りついでに迷宮授業

 タガネさんと警備隊長さんによる効率的伐採焼却研究は実行するのは私なんですが、あーだ、こーだと効率性安全性を語り合う二人主導でしたよ。できる限り要求に応える努力をしたネア・マーカスです。頑張ってみました。

「それぞれにキバるモンはちゃうからな。ネアちゃんはネアちゃんのキバるモンを、ティカちゃんはティカちゃんのキバるモンをな」

「有る者と無い、もしくは少ない者では学ぶべきは当然違いますからね。共にありたいならば長けている部分が異なっている事をよく理解しておく事ですよ。彼女は得難い友人でしょう」

 拗ねてたのバレバレですか!?

 ちょっと恥ずかしいですね。

 まずは自分が頑張るべきを頑張りましょうってことですね。でも、羨ましいことは羨ましいですよね。そういった気持ちを抑えて大人二人に訓練を受けることにしますよ。魔力消費の量とか回復速度とか操作性とか色々追求されましたよ。はい。

 あとはティクサーとクノシーの間にある野営地が一部集落を築きはじめているらしいという情報交換をぼんやり聞いていました。片道七日なんですから途中にお宿や雑貨屋あると便利ですよね。

 迷宮内伐採で葛が減ると集落が作りやすいそうです。そうですよね。基本王国内未だ葛の楽園ですよね。もう少し伐採頑張りますかね?

 ふたつフロアを焼いて安全区画を発見しましたので、ここで昼食休憩ですよ。

 鳥馬荷馬車ものすごく快適かつ高速ですね。

 魔物はトロちゃんと併走している警備隊のお兄さんたちが討伐していましたよ。

 冒険者の人たちはタイミングをずらして再生していく森に手をいれていくそうです。ルチルさんがにっこにこで林檎と栗の若木を地面に埋めてました。「この辺りは林檎。あっちには桃の並木道。やっぱり梅と桜桃も欲しいわ。ああ、少し距離も欲しいわネ。地表でどう反映されていくのかゾクゾクするわァ」と楽しそうです。

「迷宮は侵入者である我々冒険者の声を聞き行動を見守っているとされているんですよ」

 それは『石膏瓦解』でオルガナさんのおばあさまがおっしゃってましたね。

「せやでー。便利なもんほしーとか、安全区画ほしーとか食いたいのはコレや! とばかりに迷宮に移植するとかやな。ルルがあーやって勝手に植樹しとるんはこれ欲しーっつー請求行動やな」

「そーよぉ。あ、やっぱり椿と梔子も欲しいわネ。ああ、ほかの迷宮産なんだけど、これもいけるかしら? 太陽の花と月の花ヨ」

 木は二本か三本埋めてまた距離をあけて次の種類を埋めているルチルさんですよ。種をばっさーっと撒いてらっしゃいますが、太陽の花と月の花の種だそうです。それは咲くのを見たいですね。

「コレが地表で反映されたら位置関係がわかるはずだから、伐採優先方向を決めるのヨ」

 迷宮内の方向感覚は正しいかどうかが常に不明でしたね。フロアを移動すると前のフロアの様子を振り返れない。一種別空間を挟んでいる感じですね。焼却しても他のフロアまで延焼しないところから連続していないことがわかります。

 ふむ。

 迷宮知識奥深いですね。

「つまり、揚げパンがドロップすればいいのにとどこかにお供えする価値があると?」

「揚げパン……。ぅうん。どやろ? 深夜帯の不死系魔物人型系やったら持っとっても有りかもやなぁ?」

 タガネさんが頭を捻ってますよ。

「あら、町を模倣した遺跡部分なら本屋もあるんだし、パン屋だってあるかもデショ。魔核購入品として採用してくれるかもよ」

 ぉお。なるほど!

「欲しい物を魔力注いで登録してそこで安定して購入できたら便利!」

「あら、それ素敵だわ。魔力回復薬をがっつり登録しちゃうわー」

 ルチルさんの案は素敵ですね!

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