第347話 燃やすのは得意です?
朝のお迎えは警備隊長さんが来ました。まだ薄暗い早朝からの運ばれ移動ですよ。南門ではきちんと着替えてしゃきしゃきしているティカちゃんがルチルさんとタガネさんとおしゃべりしていましたよ。あれ? タガネさんの荷車形変わってません?
「おはようさん、ネアちゃんもハーブ坊も警備隊のにーさん達も今回はよろしゅーな!」
「ネア。おはよう。ちゃんと起きれたのね」
「おはよ。ティカちゃん。タガネさんもルチルさんも。あと、私は朝起きれなくはないですからね!」
お寝坊さんではないネア・マーカス十歳ですよ。
横で弟君もご挨拶してますよ。
タガネさんの荷馬車は今回ルチルさんが錬金術で作ったという新しい荷馬車だそうです。前回のものもルチルさんが作ったモノだそうですよ。
「外見が単純過ぎる作りだからつっまんないわぁ」
「っうっさいわ。フツーの幌馬車タイプでええんや。変に目立ってもええことあらへんわ」
「商売なんだから目立ってもいいじゃない」
「阿呆が襲撃してくる可能性が上がるやろが。小売が主力やあらへんねん。ネアちゃんもハーブ坊もさっさとあがりぃ。ティカちゃんもなぁ」
ルチルさんとタガネさんが楽しそうにぽんぽん言い合ってますね。
「ほーら、のせてあげるわぁ。アタシの新作期待していてネ。揺れは少なく、速度は速めヨ」
ルチルさんのひょいひょいと軽やかな動きで荷馬車に乗せてもらいましたよ。自力で飛び乗ったのはトロちゃんくらいですね。
「ひくんはウチのんやけどな」
「あらぁ、きっと軽い方が嬉しいわよ。行きましょ行きましょ」
タガネさんとルチルさんは仲良しですね。
馬車の横を警備隊の人達がいろんな鳥馬で併走していますよ。この辺りの魔物退治は問題ないので安全らしいです。
ティカちゃんのお父さんが預けてくれたというおやつをもぐもぐしながらの移動ですよ。
「甘ーい」
思ったより甘くてびっくりですよ。
「星砂糖を練り込んであるんですって。限定販売品なんだから!」
おお。それはなんて素敵。
「干し果実の砂糖漬けも入ってる?」
弟君がもぐもぐしながらティカちゃんに聞いてます。
「ええ。すっごく小さく刻んでたのにわかるの?」
弟君は納得表情でもぐもぐ続行ですよ。
「好きなものやダメなものはわかりやすいわねぇ。砂糖の甘さと果物の甘さは少し質が違うしねぇ。お味見ありがと。美容にも良さそうね」
ルチルさんが解説してくれますよ。
「保持魔力の多いお肉もイイけど、やっぱり甘いものもいいわねぇ。果実は干すと甘味が増すものが多いし、迷宮ドロップとなると魔力も豊富でうれしいわね」
おやつを食べているうちに迷宮到着です。
一旦馬車をおりるとルチルさんが馬車を荷物袋に収納です。
「錬金術師ずりぃ」とかボソボソ聞こえてきますね。荷馬車突っ込める荷物袋とか密輸し放題ですもんね。
錬金術師ギルドはその関係もあってギルド員費は高いし、断りにくい公共依頼も多いそうです。めんどくさい人は大きい商家や貴族に雇ってもらうそうですよ。
迷宮内を鳥馬ではなく馬車で駆け抜けるというのはちょっと新鮮ですね。広い野外タイプの迷宮ならば可能だという特殊移動法だそうです。
広く伐採された道をある程度走行し、昼前ごろに私の出番は訪れました。
冒険者と思わしきグループがいてちょっと驚きました。ちょっとどこの野盗さんかと。
現在の探索最先端がこの先のフロアだそうです。
私が焼却したあとリポップした魔物を討伐しながら道を固定化する伐採を行う人達だそうですよ。
さぁ、焼却はじめますよ!
付き添いはタガネさんと警備隊長さんで、ほかの人たちはとりあえずこの付近の伐採と討伐だそうです。
ティカちゃんと弟君は冒険者のお兄さんお姉さんおっさん達に冒険ノウハウを教えてもらえるようです。う、羨ましいんですけど?
八つ当たりに燃やし尽くしちゃうぞ!
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