第345話 同行メンバーの予定
「私のネアは今、『蒼鱗樹海』二泊三日探索と伐採行に向けて準備中ですわ。それに、『薬草園』の三階層は十五歳以下の子供は立入りを禁じたはず。私のネアはまだほど遠い十歳ですよ。そのような例外認めるものではありませんでしょ?」
玄関先でマコモお母さんが誰かとお話ししていましたよ。相手の声は流れてこないのでマコモお母さんが防音結界でも張っているんだと思います。
薬草園の三階層に仕込んだら面白そうですね。
「ハーブ君は知ってましたか? 二泊三日の伐採探索」
そんな重要そうな予定をこれっぽっちも聞いたことがなかったマコモお母さんの娘ネア・マーカスです。
確かに『蒼鱗樹海』はあんまり奥に行くことは十五歳未満には推奨されていませんが、同行者に十五歳以上がいるなら特に問題なく探索ができますからね。たぶん、誰か大人はついてくると思うんですよ。予想するにルチルさんかドンさんあたりがあり得そうですね。まぁ、警備隊の人かもしれませんが。(その場合イゾルデさん以外でしょう)
「初耳。誰と行く計画なんだろう?」
「王子さま達とお泊り計画はイヤだなぁ」
「ああ。強制的に『婚約者』とか『花嫁』とか言われそうだもんね」
っく!
岩山の国の新領主を思い出したんですけど?
あっさり能力目当てで嫁においでって言ってきた幼女趣味。ん? 能力目的なんだから、幼女趣味ってわけでもないのかな? ひっそりオルガナさんに熱のある視線送ってたし。確か乳兄弟だったらしいけど。脈はないよね。脈は。
オルガナさんはたぶんルチルさんが好きで、ルチルさんも憎からず思ってそうなんだよね。でも、ルチルさんふわふわしててよくわからないんだよねぇ。
『ない』っていう派と『そっと見守りましょう』派がいるんだよね。なんか『よけいな後押ししたら拗れるからネアはおとなしくなさい』とティカちゃんが辛辣でした。
人様の恋愛は興味あるんですよ。人様の恋愛は。
ルチルさんとオルガナさん、美人同士でいいと思うんですけどー?
まぁ、お手入れできないでいると熊に化けるのがルチルさんですが。
急なお泊り探索はティカちゃんのご都合もありますしね。十五歳未満のお子様探索者は基本夕暮れには出るのが一般的らしいです。たまちゃんチの冒険者ギルド食堂のお話会で聞きましたよ。
迷宮内で一日の時間が把握できる場合、子供が安全区画にいるとその安全区画は何があっても維持されるらしいのであえて子供を攫っていく奴がいたらしいんですが、無茶苦茶迷宮からペナルティ喰らって冒険者用のステータスカードに迷宮出禁と記帳されちゃった事例があるそうです。
まぁ、私、こっそり書き込めるサイドの人ですから。
「では、ごきげんよう」
マコモお母さんが誰かを追い払いましたね。
うずうずしますね。
「マコモお母さん、お泊り探索の話が聞こえました!」
わからないことは聞いてしまうのがいいのです!
「ええ。領主館の方から少し遠方まで伐採して欲しいというお話なのよ。クノシーまで迷宮内で道ができるか確認したいとか」
迷宮内でですか。
もちろん、繋がってますね。
そのルート間を葛処理すれば街道の保守が楽になるはずですね。
「同行者はルチルとタガネ、あと警備隊からも人を出すと聞いているわ。ですからね、ティカちゃんのご都合、確認しておいてね。タガネは数日内にティクサーに着くらしいから出発はそれからね」
「え。タガネさん、戻ってくるの!? はやくない?」
春前の学都に向かう前に来るんだと思ってたのに。
「今は『魂極邂逅』の散策しているらしいからそれほど遠くないと思うわね」
ぉお!
「それははやくティカちゃんに話しを通しておかねばなりませんね」
ティカちゃんに話をしたところ、「え。迷宮内で寝泊まり?」と普通にありえないとばかりの表情を見せてくれました。
ティカちゃんのお兄さんは「学都でいきなり本番より、手慣れた冒険者の技を見ておけるのは利点だって。旅の野宿と似たものだから行っとけ行っとけ」と言って後押ししてくれましたが、同行はしないそうです。
来ればいいのに。
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