第343話 次の予定を決めますよ。
やはり人気は串焼き肉の露店でしたよ。行列が半端なかったのであえて他の物を探す子供ネア・マーカスですよ。香草と干し果物の練り込まれた厚焼きパンを私が。大鼠の塩焼きをティカちゃんが。弟君が鹿のもも肉漬け込みダレ焼きを仕入れてきてお昼ごはんですよ。
それぞれが大人の二人から三人前の量なので余る分は等分してそれぞれの荷物袋いきですよ。
「森で狩った鹿を捌いて熟成させたもも肉をブロック状に切って特製ダレに漬け込んだものなんだって。ちょっと濃いめの味付けだけど美味しいと思う」
弟君が雄弁でした。
旨味とも言われる魔力はタレに染み込んでいそうなところから迷宮産の果実とかを使用していそうですね。
大鼠の塩焼きは『蒼鱗樹海』の二階層で出没する魔物で大鼠の成形肉としてドロップするお肉ですよ。噛み切りやすく脂がのっているのが特徴といえます。口の中で解けるお肉は塩焼きにすることで肉体労働者に喜ばれるメニューですよ。
それらを私の買った厚焼きパンをカットしたものの上にのせれば素敵昼食です。
「甘さ控えめな栗だ」
弟君がもぐもぐして述べます。
私の食べた部分は干し葡萄でしたよ。
私達が買ってきた食品露店は残念ながら本祭には残れなかってようです。寝具一式を売っていたお店は功労賞をもらったそうです。冬にむけて防寒もできる寝具は大事ですからね。
保存食の露店もなんかご褒美もらったらしいです。買い占めたかった。と呟けばティカちゃんに叱られました。やりませんよぅ。
人が多いですね。ただやっぱり人が多いのは王都だそうです。南方に残っていた町や村の人が隣国(南の)に出稼ぎに行くより『蒼鱗樹海』に行く方が税金が少なく済むかららしいです。そうなると拠点は王都かクノシーが好ましく、クノシーより王都の方が人を受け入れる箱はあるそうです。
そういう人たちは一時的に『蒼鱗樹海』探索をして自分の町に帰る一時的出稼ぎだそうです。迷宮の葛を刈らないと町が葛にのまれそうという切実さもあるそうです。
冬までに一周刈り巡るべきですか?
ティクサーからクノシーまで片道七日かかるんですけど?
ちなみにティクサー方面は葛刈りいい感じで進んでいますよ。
【おそらく、『蒼鱗樹海』の入り口は増えると思いますよ】
あ。そうなんですか?
【『蒼鱗樹海』の前身の迷宮は複数の出入り口が有りましたから。そして『蒼鱗樹海』はその抜け殻に魔力を通し迷宮化しており、定めた出入り口以外は塞いでいる状況です。つまり複数の出入り口はいつでも再生できるはずです】
問題は複数から攻められた時にどこまで防衛できるかですよね。
やっぱり葛は有用?
多少はたまちゃんや天水ちゃんがフォローに入るんでしょうけど、たまちゃんも天水ちゃんもどこまで強いのかよくわからないしな。
【下階層に達する階段は現在ティクサー寄りにひとつしかないのですから問題はありませんよ】
一階層に行くつ入り口があってもティクサーまでの距離を歩かないと二階層に行けないのはかなりキツイのでは?
つまりティクサー方面の方が魔物強い?
【そうですね。その傾向はあると思われます】
へぇ。そうだったんだ。
「本番のお祭りでもいろいろ買えるようにギルドで依頼を確認しなくちゃね!」
ティカちゃんが荷物袋の余裕を確認しながら「ルチルさんに依頼するための魔核を手に入れなきゃ」と拳握ってました。
「『蒼鱗樹海』の二階層に遊びに行きましょうね!」
「し、しかたないわね。荷物袋は必需品だわ」
弟君はどうしますか?
「僕、二階層って許可おりる?」
あ、興味はあるんですね。
「鑑定具として連れていきましょうか?」
「鑑定具!? せめて鑑定士と呼んでよ」
ぷくっとほっぺたふくらませるのは年相応ぽくてかわいい弟君だと思いますよ。
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