第334話 ティクサーに帰還

 肉岩石から肉を柱から銅インゴットと緋の玉石、銅板を採取し『星砂糖』や『清め塩』もドロップを集めます。余剰ギフト(既に覚えた物)は販売回しやギルドへの会費代わりの納品(緊急時用基金)に使ったりするそうですよ。『浄化』とかは冒険に出るには向いてなくても適性のあっている子供に低価格で融通することで子供の生存率を上げる試みだそうです。ちなみにまだ『鑑定』を手に入れていないネア・マーカス十歳魔法使い系冒険者ですよ。ティクサーへの帰路も遠慮なく伐採しました。

 崩れやすい道をがっすり削って打ち切った木で道を確保する感じですか?

「固定とか凝固とか束縛とかで安定させないと道が崩れて危ないと思うな」

 なんて弟君が冷たく言ってきましたよ。

 タッズさんを呼んでくるか、『回遊海原』で『束縛』を覚えた冒険者の人探すように依頼を出すといいんじゃないでしょうか?

「そのへんの補助ギフトスキルは意外と覚えきれないんだよな。使いこなせるほどにギフトは使わないと流れちまうからな。普通に数回使ったら使えなくなることもあるしな」

 え。

 あ。

 適性か。

 合わないと覚えられもしないって。

「合わなくてもよっぽど適性がないんじゃなければ一回はギフト使えるしな。まーぁ、適性の低いギフトを身につけるのにそのギフトを覚えるまで集めたイッちまった奴もいるけどな」

 遠い目でドンさんがしみじみしてますよ。

 ギフトって最低引き取り金額で五千ラビ、小銀貨五枚なんですよね。買うとなればどんなしょぼいギフトでも銀貨一枚からで、最高額は売りも買いも上限額なんかないそうで。

『鑑定』は今流通が少ないので大銀貨とか金貨とか言われてますね。実物がないのでなんともです。

 んー?

 もしかして適性がなければ『鑑定』覚えるのに複数の『鑑定』ギフトが必要な感じですか?

 魔物が類似でも名前が違ったりするように類似ギフトでも名前が違えば適性が違うという謎現象もあるんですよね。迷宮が違うことでたぶんなにかが違うんでしょう。


【構成主体属性が迷宮によって異なるので類似ギフトであれど発現現象が異なることも多くなります。同様に関連性の薄いギフトであっても類似機能を持つギフトも存在しますね】


 面倒くさいような何かの抜け道のようなうさんくささが感じられますよ。

 モノにしたギフトなら類似性を認識した時点で覚えやすいのでいいんですけどね。


【統合ギフトにすると枝葉的機能が消えることもあるので時折り確認することを推奨します】


 あー、制御的に不要と思う機能がなくなるのか。たいていできれば問題感じてないから消えてても気がつかなさそう。

「ま。適性がないから荷物袋に入っているコイツを使うさ」

 ドンさんがギフトをひとつ取り出しましたよ。

「まずは『融化』だ」

 これはモノにしているっぽいギフトスキルですね。もろもろ崩れる地面がどろっと溶けたようになってちょっと道っぽくなっていた伐採した倒木と溶けあいますよ。

 正直気持ち悪い光景ですよ。木の根の見えている崖っぽい斜面もどろっとしてますからね。

「で、『石化』だ」

 どろっとした部分がパシパシと石化していきますよ。

「これでどこまで補強できたかわかんねぇけどな」

 ドンさんがしみじみしてますよね。とりあえず言えることは道としては崩れないだろうけど歩きにくそうってことでしょうか?

「ギフトはこういう使い方もある。使い捨てになるが威力は意外にあったりするぞ」

 石化した部分ごと落ちていくとかないですよね?


【元々存在する剥離層の一部を貫いているので崩落はしないと推測されます】


 ふーん。

 大丈夫ならいいや。

「泥沼をつくって足場を悪くするギフト? すごいね!」

 弟君が既に石化した木や地面を足先で突いてからドンさんを見上げますよ。

「使用方法としてはそんな感じになりがちだな。固めるギフトを持っていないから使い勝手は悪いし、あんまり使わんがな」

 融化って違う物質同士を融合させるためのギフトでは?


【融化、圧縮を重ねると鉱石が生じやすいですね。石化してしまえばそんな事はなくなりますが。土地に魔力が多めに固定されますから安定はしやすいですよ】


 十年で失われた魔力を今じんわり循環させているわけですからそこにちょっと強化魔力を突っ込む感じですかね?

 夕方にはティクサーの冒険者ギルドに帰還報告しましたよ。

 ティカちゃんはいくつかギフトと鉱石系をギルドに売り払っていましたよ。これがギルドへの功績になり、出る許可が増えるわけですね。

 私も鉱石系と加工肉を少々ギルドに納めますよ。

 ギフトと魔核はありませんけどね。狩りしてませんから。

 ……暴れ蔓草は地表での討伐なのでドロップないんですよね。魔核も獲れてませんし。

 ちょっとムゥですね。



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