第333話 お昼まで遊ぼう
夕食前にタッズさんがおはなしを、夕食後にも入れ替わり立ち替わりで大人が何かをおはなししてくれましたよ。
気がつけばいくつかの集団に別れてそれぞれのおはなし会になっていました。眠くなっただろうと判断された子供は寝室に追いやられます。ただ、今日は雑魚寝でひとり尼僧見習いのお姉さんが寝物語を聞かせてくれるそうです。
食堂でおはなしを聞くか、雑魚寝部屋で寝物語を聞くかとてつもなく悩ましいネア・マーカスです。
ティカちゃんと弟君に拉致られて所定の寝室に来ましたよ。ただ、ティカちゃんと一緒に寝ますよ。おしゃべりしながらですよ。
寝床に上がろうとしたトロちゃんに弟くんが「ダメ」と指示してますよ。人のベッドに上がらないことは徹底的に教えておかなければならないそうです。
寒い日には一緒に寝たら温そうなのに。なんて思わなくもないです。汚れを気にするなら『清浄』で綺麗にしちゃえばいいんじゃないとかね。
ティカちゃんとおしゃべりしながら夜ふかし……気がついたら朝だったんですが、どういうことでしょうかね!?
「おかしい」
「あら、おはようネア。伐採やっぱり疲れちゃうのかしら? すぐ寝ちゃったわね」
くすくす笑うティカちゃんはすでに着替えてゆるふんわりした髪に櫛を通しているところでしたよ。
弟君はトロちゃんの毛繕い……。私が一番遅かったですね。
「おはよう姉さん。たぶんおはなしを聞いて興奮疲れしたんじゃない?」
んむー。
そうかもしれませんが、出遅れた感がありますね。
「銅鉱石がさほど危険性の高くない二階層で見つかったから鉄製品よりまず銅製品を作っていく方向性にするってオッさんが言ってたわ。鉄鉱石に関しては安定供給には遠いんですって」
どこでそんな話があったのか、ティカちゃんが教えてくれますよ。銅鉱石っていうより精製済みのインゴットで採掘されるので確かに扱いもしやすそうですよね。
純度を上げるには含まれている別成分を排除するので採掘した鉱石鉱物より精製後のインゴットの方が量が減るのが普通ですからね。お薬だって薬草十束からひとつのお薬ができるのかって言われれば薬師ギルドのジジで鼻で笑われましたとも。ええ。昔の話ですよ。
ドンさんが言うには「この迷宮、二階層までは冒険者を殺す気はないらしい。まぁ、事故はあるらしいが。敗北しても一階層入り口に放置してくれるらしい。その処置を解除するときは『たまちゃんと人間たちが敵対した時』らしいからアドレンス王家の人間とか、たまちゃんに無礼を働く者だけ要注意な!」でしたね。
ドンさん、それなりに『たまちゃん』と会話の機会を探ったそうですよ。
オッさんと違ってちゃんとできる大人って感じですよね。
気を緩めてはいけないけれど、迷宮主が自分も冒険者も育てあっていこうという方針ならば、冒険者ギルドとしては冒険者の調整をしつつ、拠点を充実させていく方向に舵を切るそうですよ。
食材に関しては自給自足できるし、採取しやすい塩と砂糖はティクサーから王都へと運ばれていく予定だそうです。赤系の鉱石というか緋玉も採れるわけですが、コレ、錬金術や魔道具で導力に使われるものらしいので安定供給ありがたいそうです。
ふんふん聴きながら朝食してたんですよ。
「じゃ、昼には出るぞ。ティクサーに報告に戻らねぇとな」
伝えられましたが、訓練期間いいんですか?
「んー、イゾルデがいるし、今日帰っておけば、交代要員の装備が多少変わるんだよ。鉄は少ないっつっても銅インゴットから扱えるなら見習いとかが練習しやすいしな。二階層も転移移動のせいで正確な広さはまだわからねぇが広い。いや、まぁ、前迷宮広かったしな」
あと肉岩石が大きいらしいです。加工肉がいきなり手に入るのでティクサーの食糧不足解消と人材育成不足の解消に。
薬草園は戦闘訓練に不向きなスライム主体迷宮だし、樹海は初心者にはすこしきつめの難易度かつ、人の集落から距離がある(安全保持の面では正しい)。そこに生存保証に近い処理を行ってくれるそれなりに戦闘できて食材の落ちる迷宮は良いらしいです。
「整備要員追加を要請しておきたいしな」
面接の方向性用のお話を冒険者ギルドを通して領主様に通すそうですよ。
強い権力を持つ人がくればいいのでしょうが、そーゆー方は八割王族関連になるので問題発生らしいです。
よくわからないなりに大人は大変だなぁと思いました。
「昼には出るぞ。迷宮で遊ぶならそれまでな」
ドンさん、これを言いに来たらしいです。
「はい。マオちゃんへのお土産を確保せねば!」
肉岩石を掘りまくりたいですね!
「マオちゃん『星砂糖』喜ぶかな」
弟君、いいこと言いますね。あのドロップする砂糖ちょっとかわいいですよね。いろんな色の星型の砂糖なんですが、味とかは色関係ないんですが口に含むとぱちぱちなんか弾けるんですよ。おもしろいです。
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