第327話 『魂極邂逅』の試練
「え。姉さん、ちゃんと自分でも判断できる情報は集めるべきでは?」
弟君に方向性を注意されましたね。
一応はティカちゃんや弟君の情報や接した人が話している情報は六割くらいは聞いているネア・マーカスです。だって最近情報源多過ぎで処理しきれてませんからね。管理空間は管理空間で情報量多いですしね。ちょっと困っちゃいますよ。
「えー。一応聞いてるよー。興味持てる部分中心に」
ティカちゃんが私の答えに「そうよねー。そんな感じよねー」と頷いてくれていますよ。ね。そんな感じ。
「姉さんのために言ってくれてると思うんだけどなぁ」
うーん。そりゃあ、そんな気はするんだけどさ。
「ハーブ。なにバカなこと言っているの? 私が言ってるのは私が受ける苛立ちを減らすためよ」
え?
苛立ってたんですか。ティカちゃん。
「だって、情報とかそーいったコトガラをネアが覚えていてくれたら当然私は楽だわね。それで、私がちゃんと要求しているのが日常です。ってみててわかればウザい他の連中のタワゴトを流しやすいのよ。わかる?」
えっと、それって。
「……処世術っ」
そう、それそれ!
弟君、なにげに語彙多いよね。
「しょせーじゅつ? んー、よくわかんないけど、めんどうごと減らしていくってことならあってる、かな?」
「処世術っていうのは世の中をうまく渡っていくってこと。良いように生き抜く手段かな?」
「お! いい師匠のとこに弟子入りするようなもんだな。腕が悪くても相性が悪くてもうまくいかねぇからなぁ」
オッさん的にはそういうことらしいですし、ルルドくんもなんとなく理解したらしいですね。
「つまり、俺が枝拾いの時に頼みにいってティカがうまくネアを誘導してみせた感じか」
あれ?
そんな感じでしたか?
「かなり勢い強いけど、ネアはちゃんと魔力を操って怪我人出さない伐採をしてたでしょ」
ん?
どゆこと?
「ま。ネアに声をかけるのは勇気がいってもティカにならまだ声かけやすいっていうのは周知されてるよな」
え?
なにそれ?
「ネア、怖がられてますか?」
ええぇ。ちょっとショックかも。
「こわがられているっていうより、扱いがわからないって思われてるんじゃないの。姉さん」
「あつかいがわからない」
ちょっとショックが追加されますよ?
「あ。ありそうね。ネアが気にすることじゃないわよ。別に誰とでもともだちになりたいって希望は持ってないでしょ」
軽やかに笑われて、断言されましたよ。
「ティカちゃんの私理解がとても正しい」
「あー、なに言っても八割くらい聞き流してそうとか?」
「もう少し聞いてるよ?」
「まぁ、いいのよ。なんとなくのお願いを時々聞いてくれたら。私だってネアのお願いを全部聞くわけじゃないもの。ほら、次の転移陣に行きましょ。難しい試練じゃないといいけど!」
「あ、暴れ蔓草十体とか?」
「無茶振りされるのはできるネアだけでイイわよね!」
ティカちゃんがひどいと思います。
でも、ほんとうにそうなんですよね。
それとなく仲良くはしていきたいと思っていますが、特に親交を深めたいかと言えば否なのです。ゆっくりと利害関係ありきで友好を探っていくのはかまわないと思っています。いつ、利害関係が壊れても、利害関係成り立たなくなったという理解があれば気にせずにすみますからね。
「『銅鉱石十個』だって」
「『ボーンスネークの魔核十個』あ。二個足りない」
「銅鉱石十個ならあるよ。ぇえ『肉を使った煮込み料理』ぃ?」
「ハーブ君なら美味しいの作れるね。えっと『薬草十種』? 迷宮内薬草『癒し苔』と坑道入り口に『麻痺蔓』ぐらいしかないのに!?」
十個じゃなくて十種!
魔力草と薬草(体力回復系)と薬草(傷塞ぎ系)と癒し苔(体力回復系)……。
「十種?」
あ。眠り草とか葛の根とか山芋も薬草と言えば薬草!
いろいろ出したりして探しましたよ。ええ。途中で弟君が、「姉さん柑橘系もらうね」とか「あ、タマネギだ。使うね」ってかっぱらわれましたよ。いいんですけど。
一階層部分はほんとうにポップしている魔物に変化がありませんでした。今回探索している総人数が少ないこともあるせいでしょう。他のパーティに遭遇しなくなっていますね。
二パーティが『十種系試練』に敗退し、一旦帰ってリベンジするらしいという報告をこっそりたまちゃんから聞かされました。他にも出してたらしいです。
持ってる元の資材を出させようとするのはどうかと思いますよ。たまちゃん。サンプル欲しいのはわかるので、正直に『増産してほしい物の見本よこせ』でいいと思いますよ。もちろん、試練とは別に。
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