第328話 『魂極邂逅』次の階層へ行こう
今回の転移陣は少し広い場所の奥にあるようですね。
「階層移動の転移陣か」
グッと拳を握るオッさんを見つめるネア・マーカス含む子供陣営です。オッさん、戦闘に数回乱入し採掘するものですから子供陣営から不人気ですよ。たしかに物知りで強いんですけど、自由すぎましたね。うーん。つまり自由すぎると反感を買うってことですね。
「いいことネア」
ティカちゃんに声をかけられましたよ。
「なあに?」
「迷惑以上の恩恵を示せばたいがい人は問題はないと流しやすいわ。もちろん、モノにもよるし、致命的なものもダメね。ただ、オッさんの場合、致命的な怪我やとりそびれをおこしていない分、マシね。あとやっぱり慣れた大人の安心感はあるわね」
「ま、イラつくけどしょうがないか範囲だよなぁ。オッさん、今度格安で武器作ってよ。いい鉱石掘れたらオッさん用にとっとくからさ」
「次の階層でなにが採掘できるかによるなぁ」
致命的な怪我、そうだよね。戦闘乱入ってそういうことだよね。
ほら、私は戦闘参加しちゃダメって言われたらすみっこの邪魔にならない範囲で採取に勤しんでるからさ。
「ネアの場合、外れた場所にいるっていうのも安全性的に不安なのよ。大丈夫でしょうけど」
あれ?
そうなの?
「だって、ふらふらどっかいっちゃいそうなんだもの」
「あ。わかる。姉さんそのタイプ」
弟君!?
『たまちゃん、登場です』
は?
転移陣の前にたまちゃんが現れましたよ。青いワンピースがかわいいですね。
「たまちゃん、鉄鉱は?」
『ニンゲンからもらった鉄鉱は魔核分設置済みですよ』
ふんすッと胸を張っているたまちゃんは愛らしいと思います。
『ここは階層移動の転移陣! 相応しく試練ですよ! そして個人試練ではなく、パーティ試練です! 乗りこえるがいいのです』
消えようとしたたまちゃんをオッさんが引き留めます。
「たまちゃん、鉄鉱あんまり量が……」
あ。望むほど採れてないんですね。
『たまちゃん、一階層から四階層まで設置してます。掘り尽くせば当然『たまちゃんの足跡』は消えます。すぐ掘らずに魔力が充填されると採れるものは増える傾向があるとだけ教えといてやるですよ。さらばです!』
仕組みを教えられて膝をつくオッさんがいますよ。すぐ掘るんじゃなかったとぼやいてますが一階層なので他の人に採られると思うんですよね。一階層ですし。
「四階層まであるんだ」
ルルドくんが拳を握り、たまちゃんが消えた転移陣を見つめていますよ。
「あー、少なくともそこまではあるんだな。屍女や骨狗がまだ出てきてないってことはそいつらが本来活動している階層があるはずだからな」
「ルルドくん嬉しそうですね」
「そりゃ強くなれれば狩場に困りにくいってことだからな。今の住人全員が参加しても一階層内で十分に狩りも採取も被らずにできると思うんだ。でもさ、先に行けるなら強くなれるならそれが、その方がいい。稼ぎたい。行けるなら、おれの目標は春までに四階層到達、かな」
おー、がんばれー。
転移陣に現れた試練は二体のボーンボア。お肉のない猪でした。
綺麗に黄ばんだ骨だけでお肉も毛皮もないです。おっきいのに。
戦闘はルルドくんティカちゃん中心でオッさんが補助。私達姉弟は待機でしたよ。
まず、ティカちゃんが『浄化』をかけてふらついた(つまり抵抗された)ところをルルドくんが剣で斬り殴ります。
流れてきたボーンボアをオッさんが携帯鉄板(フライパン)で弾いて二人の元へ送り返します。ボアは直進突進なので方向操作しやすいらしいですよ。オッさんにヘイトが向かう前にティカちゃんによる『浄化』そこにルルドくんによる『火矢』で一体終了。『火矢』を放ち終えたルルドくんが勢いのまま剣でぶっ叩いて戦闘終了でした。
あれは意外にフライパンダメージがデカかったんでしょうかね。オッさんは「相手に肉が残ってなかったからできた」とか言ってました。
腐ったお肉は嫌ですね。たしかに。はい。
ご褒美ドロップはパーティ人数分の『階層移動符(個人登録済み)』と『浄化』『防御』『火球』のスキルギフト、そして『魔力回復薬』五本と『鉄鉱石』四個でした。
鉄鉱石はオッさんへのサービスですね。わかりやすいです。
そして全員一致で『浄化』は販売『防御』はティカちゃん、『火球』はルルドくん『魔力回復薬』は二本ずつをティカちゃんルルドくんに。一本を用心のため弟君に。鉄鉱石は全部オッさんに。私に配分されたのは『階層移動符』だけですが、不満はありませんよ。戦闘参加してませんからね。弟君は鑑定してましたから報酬はあるべきだと思います。次は一緒に戦いたいと思います。ボヤいたら「無理ね」とティカちゃんに冷たくあしらわれました。
「次の階層で安全区画に着いたらおやつにしましょ」
!
「おやつ!」
楽しみですよね。なにがいいでしょうか?
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