第323話 試練はゆるめ

『浄化』『解毒』『石礫』とギフトスキル三種をゲットしてご機嫌無双のティカちゃんカッコいいと採取し続けたネア・マーカスです。

 オッさんの望む鉄材は少し違うポイントで採掘されました床にポンと丸い模様があったんです。それをじっとみてると弟君が「たまちゃんの足跡」なんてかわいいことを言い出したんです。

 私の視線が『なに言ってんの?」って感じのものだったからか「そのマークの鑑定結果だよ?」と弟君が答えます。

 オッさんの望む鉄材が採掘されました。

「戦闘が近過ぎるだろ! 採集場所は魔物の放浪頻度下げてるのにコレは特別かよ! チッ、しかたねぇ」

 オッさん、ひとしきり文句を吠えてから納得してましたよ。

「無理を言ったんだ。難易度が通常より高いのはいわゆる、そう、試練だ!」

 お子様方に迷宮に対してリクエストを出すことの危険性説明だそうです。オッさんにとって、この階層の魔物は言うなれば、ツルハシ一閃で瞬殺できるので難易度なぞない。が正直なところではないかと愚考します。

 年長者ほどギフトドロップがシブいと感じているらしく時々ぼやきが聞こえてきてました。

 ティカちゃんは三種ギフトをゲットしていましたが、二個目ドロップは『解毒』であとのドロップは『星砂糖』と『清め塩』だったようです。

「塩も砂糖も貴重な必需品だからいい収入だし買わなくて良くなるのは助かるわね」

 と言いながらゴーストやボーンアニマルにたまに塩ぶつけてました。(効果有り)

 塩と砂糖は小さくてそれなりの換金率です。

 次の転移陣もやっぱり個々で試練を受けました。

 それぞれがこの区画でとった行動に合わせた試練が用意されていましたね。戦闘訓練していた子には『清め塩を十個集める』とか『星砂糖を十個集める』とかです。私は『バターを十個集める』でした。弟君は『バターを使った料理』だったので「ここで、……料理?」と真顔で試練と向き合ってましたね。

 そして甘芋と苦芋を熱が通りやすい厚みに切ってもらってバターで焼き揚げて提出してましたね。

 余りは協力したお姉さん(十九歳)がウキウキと食べ尽くしてました。

 ちなみに試練のご褒美はやっぱり『帰還の銅鈴』でした。

 これで各自が今回と次回は迷宮に入って帰ってこれます。で、その転移陣を使用するとそこに居た人にびっくりされました。

「出口かよ!」

 吠えてオッさんが最初の転移陣に向かって行きました。

 ただ、転移陣から出た場所は最初の廃坑とはいえパーティごとに別れていました。

「ちびっ子組と疲れた奴は今日はこのまま出ていいぞー。少し休憩して町中で自分が担当できそうな業種を考える時間にするように。表での生産も居住区の手入れ要員も必要だし、もちろん、迷宮に入って物資調達も戦闘も大事だからな」

 ドンさんが宣言して二十人中十五人が今日の探索を切り上げることにしたようです。

「仮眠をとって先生方の講座を受けたいから」というのが理由だそうです。

 私はこのまま町周辺での伐採作業をくるっとしてきますよ。ドンさんが付いてくるそうですよ。

 イゾルデさんは迷宮探索の五人の指導護衛だそうです。

 弟君は小さい子なのでギルド併設のお宿でお昼寝後厨房でお世話されるそうです。

「まぁぬるいが初心者講習としてはこんなもんだろ。オッさんとイゾルデは先に行きやがるんだろうなぁ」

 ドンさんが私に愚痴りますよ。

 伐採で飛び出してくる大物をドンさんが、小物をティカちゃんとルルド君が捌いていきます。伐採した木材は通行の邪魔にはならないように寄せておけば、手隙の人が対処していくとのことでした。

「ティカは夜の講座、興味ないのか?」

「今のところは基本的な反復が大事で新しいものを取り入れていく時期じゃないの。狩りと解体と手に入れたギフトの訓練。ルルドくらいの歳だったら『夜の講座』も興味あったのかもだけど、春には学都行くしね」

「ああ、なるほど。そういえばティカとネア、同じ歳だもんな」

 ルルドくん、その物言いはどういう意味ですか?

 私も聞いてはいるんですよ?

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