第282話 教会の学習会
今日は教会の学習会に参加なマーカス姉弟です。
みんなでお歌を歌ったり、ダンスを踊ったり、自分の名前を書けるよう練習したり、ギフトスキルの使い方、というよりは魔力の使い方を習う学習会です。あと、それぞれの職能ギルドへの登録条件の説明会もしてくれます。なんの条件もなく(健康であれという条件はある)登録できるのは冒険者ギルドだけですからね。
住民が増えて参加可能な子供(十四歳まで)も増えたので参加日は五日に一回から十日に一回になってます。マーカスのおうちの場合マコモお母さんがちょくちょく勉強を見てくれているのでひとつの期に二回くらいの参加で免除されてるのですよ。あと、私も弟くんも学徒への進学が確定していますから参加義務があるのはマオちゃんだけなんですよ。本当は。
えへ。
お遊戯するマオちゃんはかわいいんですよ。
で、なんで鳥頭の子に睨まれているんでしょうか?
初対面……、ですかね?
茶色いの頭に黒い嘴、目元の黒いラインがなかなかスッとして見えます。頭から下は普通の人のもののようで飛べなさそうですね。なんて感想を抱いてしまいます。
『天上回廊』の鳥人種とはまた違う鳥の人分類なんでしょうね。
まわりの子がおろおろと鳥頭の子の手をひいています。その時に「ワズ」と呼んでいるのが聞こえましたよ。聞き覚えのある名前ですよね?
そう。
「危険喚起してくれた子だ」
ティカちゃんの知り合いの。お友達かな?
なんか敵意たっぷりに睨まれるんですけど、本当に嫌われてるっぽいですよね。素直でかわいいなぁとちょっと思っちゃいますよ。
孤児に無料学習会(食事付)を行うことは教会と行政の方針らしいですからね。子供すべてに屋根と食事を用意できはしない状態のため、せめて、何日かに一度でも通ってもらって自助の助けになればという苦渋の選択だそうです。
教会に寄進することで多少、彼らの環境が良くなるらしいですよ。
我らマーカス姉弟は基本生活は両親によって保護されているので学習会には授業料払っています。本来、教会の学習会は無料なのですが、教会を援助し、幼い者や弱い者の援助に力を入れるのは当然の相互扶助なのだとグレックお父さんは語ります。私もマコモお母さんも教会に助けてもらっていますからね。できることはしていく方針です。
現金系は両親の判断にお任せして、物納専門ですが。
薬草園(地上)で育てた芋だとか迷宮で採取した果実だとかですよ。あとお水と氷と魔物の魔核ですね。
今は迷宮へ至る道の整備まわりで子供達の雑務も多く、幼い子達と子守り担当の尼僧様とお手伝い要員で人が少ない予定だったんですよ。ええ。
鳥頭くんは今日の子守り担当だそうです。尼僧様が鳥頭くんにマオちゃんの誘導を頼んでましたからね。
子守り担当をすることで鳥頭くんは学習会に参加してごはんを食べれるわけです。併設の孤児院も施療院も現在空きがないので身体の弱い人や小さい子が優先されているんですよね。
夏なので教会の敷地内の屋外でごろ寝宿泊している人たちも見逃されている現状です。
人はいっぱいいますが、人手が足りていないという困った状況であるそうです。
迷宮探索にも手は足りていないし、町の再建にも人手が足りていないし、病人怪我人に対する人の手も足りていないし、指示する人と情報をまとめていく人も足りてないそうですよ。
大丈夫ですか? 町の運営。
「山方面に別の迷宮があるらしい報告があったらしいから、また人員配備で揉めているらしいわぁ。ネアとハーブは写本作成の後、施療院で奉仕活動よろしくね。マオちゃんは、ワズお兄ちゃんとみんなのとこいこうね」
「はーい」
馴染みのお姉さんに返事を返す。
写本して、奉仕か。
「写本……」
弟くんがジッと自分の手を見つめている。書くことだけが求められている作業じゃないから大丈夫と思うよ?
あれ?
山、方面?
魂極ちゃん?
「マオちゃん、おねえちゃんとハーくんといっしょぉ」
あ!
もじもじしてるマオちゃんがかわいい!!
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