第273話 管理確認です
魔力の蓄積度を確認する迷宮管理者ネアです。
『蒼鱗樹海』はやはり人が入っているだけあって充実している感じです。だからこそ他への分配も可能なのでしょうが。
次は『ティクサー薬草園』町中にある安全性の高いアトラクション的な避暑地迷宮として人を集めています。魔力の貯まりはありますが、効率的に高魔力を使用する機会が現在ないためほどほどです。それでも順調に現状維持魔力と下層構築用魔力の蓄積が進んでいます。四階層以降には初級魔法薬素材より必要とされる中級魔法薬に使用される条件を満たした植物を園長がリストアップしてくれているのです。
葛も好きですが藤も好きなんですよね。するっと蔓が支柱に絡む風景は結構好きなんですよ。壁に這う蔦とかも好きですねぇ。庭師の方が望むように蔦を這わせるのが難しいとよく言ってらっしゃいましたね。あと、レンガ壁に食い込む蔦は扱いが難しくもあるそうです。根がレンガに食い込み壁の劣化に繋がるそうです。
支柱にと絡んだ木が日照不足栄養不足で弱ってしまうコトも意識から外してはいけないと異世界でパイの成る植物を育てていた上司がほざいてましたね。あの人にはなにかとよくしてもらったんですが、なぜか少し邪険に扱ってしまわせる空気を持つ人でした。
調味料の実を持つ植物を創造する事はコストさえ掛ければ難しくはありません。それはおそらく『そうあるべき』という概念の問題の気がします。
今は置いておきましょう。
用意されている問題のないこの世界にある薬草シリーズからティクサー薬草園に相応しいと思える薬草を選んでいきます。
遺跡型である四階層には調薬錬金レシピや関連資材も入手可能に設定していきます。
マッドゴーレムが四階層以降を徘徊し補修とウズラの飼育を。一部のカッパーゴーレムが警備を。アイアンゴーレムと一部のカッパーゴーレムが陶器の器を造ったりガラスを作ったりしています。
ベティ園長によれば器用度の上昇に伴って調薬錬金が可能な個体が発生するかも知れないらしいです。一部のカッパーゴーレムは交代で『蒼鱗樹海』の二階層で迷宮拡張補佐に入っているそうですよ。つまり経験値稼ぎですね。
通常魔物が他迷宮に潜り込む事はないのですが、『ティクサー薬草園』を頂点にして子迷宮扱いの為、『ティクサー薬草園』を通過しての魔物の交換留学的なものが成立しているんですよね。
『ティクサー薬草園』でポップして五日以上経った個体は他の迷宮に移動して他の迷宮を学び五日以上経って帰ってきてまた五日以上経ったら他の迷宮に行ったりしているようです。自由だな。魔物たち。
ちなみに『蒼鱗樹海』でポップした魔物も『天水峡連』でポップした魔物も『魂極邂逅』でポップした魔物も条件は同じそうです。
えっと、魔物さんたち、もしやオヒマ?
現状は人の侵入する迷宮、『蒼鱗樹海』、そして『ティクサー薬草園』のふたつをメインに魔力を回して育成しつつ、余剰魔力で『天水峡連』『魂極邂逅』も整備している感じだそうです。『魂極邂逅』は『石膏瓦解』と繋がる道もあるので『天水峡連』より優先的に育成整備中だと聞いています。坑道型迷宮なので、薬草園生まれのゴーレムたちが少し多めに手伝いに行っているらしいです。
金属鉱石鉱物が豊富な『魂極邂逅』にいるとゴーレムたちはその自己成分比率を優良化できるそうです。
迷宮同士仲がよくてなによりですね。
バティ園長レイスなので『魂極邂逅』と仲が良いらしいんですよね。誰も入れない夜の『ティクサー薬草園』は死霊系の魔物で溢れているそうです。超効率整備だとか。うん、園長ワイルドだと思います。
『魂極邂逅』
元々存在する迷宮跡地を整備拡張して迷宮育成中。入り口の階層から上下どちらにも進める迷宮ってどうなのかと思っていたら階層転移を駆使した先に迷宮核の間を配置しているので問題ないらしいです。入り口のある階層にある迷宮核の間には上でも下でも一番奥にある転移陣からしか行けないそうです。しかもその一番奥から繋がる陣の間には五つの陣が待っていて迷宮核が待つ守護魔物が待つ陣は五分の一で乱数配置だそうです。
主に坑道迷宮なので階層が曖昧なところも多いそうです。
熟れた食材素材が溢れすぎると勿体無いのでいつ人を招きいれてもいいように入り口近辺中心に整備中だそうです。
もう少し『蒼鱗樹海』の攻略が進まなければ人の住む集落がほぼ全滅した山側の開拓は無理じゃないかなとは思いますよ?
そういえば、老人だけが住む集落があったような気もしますね。
【住民が戻ってくる手筈は整えているでしょうから第二団が岩山の国を経由して戻ってくれば必然的にある程度の整備、そして宿場町が構築されると思われます】
山の周辺は葛と薔薇蔓が繁茂中ですからねぇ。
戻ってくる途中の国で迷宮探索して資材資金を稼いでから戻ってくるものらしいですよ。資材資金がないと冬を越せませんしね。
ティクサーのように町中に入り口が有り、最低限の燃料と食料が獲れるならともかく。
雪が積もれば子供は迷宮には行けないでしょうからね。荷馬車送迎使える余裕がなければ。
いきなり学都帰りの冒険者が来て『魂極邂逅』は大丈夫なのでしょうか?
迷宮核の間は入り口のある階層にあるんですよね?
【迷宮の壁は破壊不能ですから問題はないでしょう】
そう。
ならまぁいいんでしょう。
徘徊しているエリアボスは白黒羚羊さんですからねぇ。
……あれ?
薬草園の二階層、何処かに温泉と頼んだお話はどうなっているんでしょう?
話題にはなってませんよね?
あれ?
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