第272話 町に帰還!
ところでわいてきた魔物はクサハリザードを基にしているとは思うのですが、腐肉装飾なのはなかなかにインパクトが強いなぁと感想を抱いているネア・マーカス十歳です。
腐肉と言ってもそう見えるだけの泥混じりの鱗のようです。ただ、トロちゃんと同じくらいのサイズなのでそれなりに大きいです。『ティクサー薬草園』のウズラよりは大きいでしょう。つまりお肉がよくとれる。迷宮なのでドロップ品しか出ませんが。外でこのトカゲを出すには森を焼かなければいけないはずなので縁は無さそうです。
トカゲ形状の魔物が地面を引っ掻けばそこからざわりと新芽が生まれます。
「うわぁああああ! こいつの刻んだ痕地から葛生えたぁあああ!」
「なんだと!? その個体確実に滅殺しろ!」
阿鼻叫喚の乱戦状態ですね。こういう時、私には出る幕がないのです。戦っている敵味方の認識がブレるとあぶないですからね。乱戦に不参加なせいでギフト拾えないのがちょっと残念ですねぇ。機会はあるでしょう。
結論を言えば、お子様組は迷宮より退去決定でした。
森の復活にかかる時間を考えれば帰るのが夜遅くなるし、先に進むには腐肉トカゲ討伐に人が足りない惨状だからです。
つまり明日は迷宮焼却行脚ですね!
焼却して冷却すると腐肉トカゲが湧くのでちゃんと討伐担当部隊を用意せねばなと領主様が頷いてらっしゃいます。警備隊長さんに私たちの安全確保を指示されていましたが、早い話追い出されましたね。領主様。
ティクサー方面と思われる道に向けて目印のように一刀放ってらしたけど。(地面と腐肉トカゲが吹っ飛んで宙を舞っていました)
弟くんに「すっごーい」と見上げられたその顔は実に得意げでした。
「制御出来てるんならいいんじゃないの。先に人がいないってわかってなければうっちゃダメな奴だと思うわ。ネアも気をつけなさいよ。時と場合によるけど、いきなりぶちかまされてこわくない人なんて少ないんだからね」
そう、私に注意するティカちゃんの言葉にハッとしているうちにええ、警備隊長さんに私たちの追い出し(たぶん領主様がメイン)を依頼されていたんですよね。
上の人を危険地帯に置くのはよくありませんからね。いくら強くとも上の人はさいごに責任をとるのが一番のお仕事ですから。
責任とってもらうためには生きて意思を伝えられる状態でなければなりませんものね。知ってますよ。
とりあえず私たちは馬車に乗せてもらって町に帰還です。
森番のおじさんと子ども組は馬車の屋根の上に乗ってます。お弟子さんは御者台にまわりたかったようですが、領主様がサビシイとのことで引きずり込まれてました。かわいそうですね。
町に帰るまでの道のり、森番のおじさんの指示に従って伐採の風を回しましたよ。沸いた魔物は冒険者の人や警備隊の人が走り回っていました。
「明日以降は街道整備の護衛に回せる人員が減るのが見えているからなぁ」
焼いたら攻撃的な魔物大発生ですもんね。人員が必要です。
「人の手が足りないけど、開拓攻略していかないと食料が冬にむけて足りなくなるもの。人がいなくても今は進むしかないんでしょうね。能力不足でも今は人員増やすのが大事な時期だものね。でも、明日はパーティは組まないわよ。わかってるわよね。ネア?」
ふぇ?
なんで?
「ネアと同じ空間にいるだけでも経験魔力の流れ込みがあるのに、パーティ組んでたら余剰流れ込み以上に魔力に晒されて酔うからよ! 悪かったわね! まだまだ弱くて!」
あ。
もしかして今日もしんどかったのかな。ティカちゃん。
ティカちゃん。
「ありがとうーーー!!」
「ちょっと! ネア! 狭い場所でいきなり大きく動くんじゃないわよ! あぶないでしょ!」
だってティカちゃん大好きーーー。
「だーかーらー! 落ち着きなさいよ。まったく」
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