第239話 雑談とティータイム
エリアボス蛇が潜り込んでいるなと認識して周りを見ると休憩の準備をしながらメモを見ているバティ園長とかお花を植えた鉢植えを飾っている白い(輝く光苔の花で)亀ちゃんとかを追加認識したネアです。
鉢植え持ち込めるのか。
「バティ園長よろしくー」
『はい。主人様。良きように』
「開錠される予想時期ってある?」
一応聞いておこう。
『そうですね。少なくとも秋いっぱいは『蒼鱗樹海』攻略の余暇、片手間攻略となるでしょうし、攻撃性の低いウズラ狩りを進んで狩る一定以上の実力を持つ冒険者がどこまでいるかです。冬になるまでに増えた新住人の越冬を可能にするだけの建材と食材確保が望まれるでしょうから』
ウズラ?
肉だよ?
『ウズラを食肉として活用するには効率がよくありません。ウズラ一羽を狩る労力と猪やウサギを狩る労力を考えれば、多くはウサギ狩りを選択するでしょう』
森や『蒼鱗樹海』でもたまごを抱える鳥の巣を見つけられるし、ドロップするので逃げ足特化のウズラを狩るメリットはあまりないそうです。
『ティクサー薬草園』は薬師ギルドや錬金術師ギルド。魔法使ギルドには専門で重宝されているようですが、(それぞれまだ役場に支部置いているくらいに人員はいませんが)戦力高めの人材にとっては『蒼鱗樹海』探索の休憩地帯。観光地のような扱いらしいです。
見習い冒険者の訓練所になっているのは確かですね。そういえば。
『その分魔核を還してくださる方が多いんですよ。現在我が『ティクサー薬草園』は狩場ではなく、安全な休息所。避暑地とも言えるでしょう』
一応、迷宮内なんですけどね。避暑地ですか。
『四季の変化で冬季がくれば雪で道が塞がれることもあるでしょう。その時に彼らがどう行動するかでしょう』
今年の冬は『蒼鱗樹海』の調査を重要視するのではないかと予測付きでバティ園長は微笑んでくださいました。
つまり、来年の今頃も現状維持なのかもしれないということらしいです。
『ウズラ狩りは避暑地の娯楽扱いでしょうね』
『挑発』で冷静さを奪って走らされるので怒ったまま狩っちゃう人も出るでしょうが安定して狩れる人員は少ないそうです。
『ヌシ様、『天水峡連』? 『魂極邂逅』?』
二冊の資料本を提示してくる天水ちゃん。
『アルジ、イマ、『蒼鱗樹海』確認中!』
不満そうに尻尾で床を叩くエリアボス蛇。
『あら。そろそろ休憩でよろしいのでは?』
そう微笑むバティ園長。
『……ヌシ様、休憩。是』
花を飾られ、お茶とお菓子を用意されたテーブルをずずっと押し動かす天水ちゃんはなんだろう。いい子だなと思います。休憩はエリアボス蛇も反対はしないようだ。
チョコレートのかかった林檎のパイとちょっと酸っぱい薔薇の実のお茶だ。
『迷宮主が異界からの迷い人である場合、この手のドロップ品が生じやすいそうですね』
んー。
「『天上回廊』の迷宮主は確かに異界からの渡人だったみたいだね」
まぁ。
「私もこの世界じゃない記憶は持っているけど。厄介な縁が多くて困るかな?」
それにドロップ品としてチョコレートは出さないよ?
『厄介?』
心配そうなエリアボス蛇を撫でる。
「だいじょうぶ。私には危害はないから」
どっちかと言えば周りに災害与えてもあまりにも興味を持たない方々なんだよなぁ。
マオちゃんが怪我するようなことになると嫌だな。
あと、異界からの渡人って結構多いよね。この世界仕切りガバガバなんじゃない? それだけ利用価値がなにかあるのか、それともこの世界元々の住人の能力が適していないのか。いや、適していないんならこの世界維持大丈夫かな?
「それよりは眠っている私が起きれば私は消えるのか統合されるのか、どっちなのかが少し気になるところかな」
私が渡人の枠に入るなら異物は私だ。じゃあ『私』が起きる時、『私』と迷宮はどうなるんだろう。
『主人様。私どもが契約しているのは貴女様であることをお忘れなきように』
バティ園長?
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