第223話 取引はナンカイ
商業ギルドと冒険者ギルドの買取りに捕まったネア・マーカスです。
グレックお父さんは「頑張れ」と手を振ってくれました。逃げられない!
大きな作業台のある部屋(判定室と呼ばれている部屋だそうです)に連行されました。ひと目を避けたそうです。連行されている姿はしっかり目撃されてますけどね。(まわりの目が生温い気がしました。気のせいです)
炭も木の種類ごとに分別されました。驚いたことに金額が違います。え? 同じ炭ですよね?
なんで?
あ、二人に残念なモノを見る目で見られましたよ。
ひどくないですか?
「鑑定ギフトが欲しいです」
どうしても抑えられない拗ねた声が出ます。
「簡易鑑定ギフトで大銀貨一枚か二枚だけど、ネアくんなら大丈夫だろうし、話がまわってきたら確保しておくよ。鑑定ギフトは希少かつ有用だからね流通制限がかかっているんだよ」
商業ギルドのお兄さんが申し訳なさそうに提案してくれました。
「ぷくぷくしてるのも可愛らしいけど、ギフトに頼りすぎてはダメなのよ。偽装っていうギフトやスキルをだますスキルギフトもあるんだから。物の価値は実際の価格と質を見極める癖をつけないとね」
ティカちゃんのお姉さんも笑顔で学べ方針ですね。さすが家族。
炭の種類と価格のリストは記憶しておくことにします。
焼きたて猪肉の腸詰も微妙な表情をされました。
量が多くて買い取り額が下がるのはしかたないと思いますよ?
「王国で暮らしてきた住人だと普通にこの肉を食べて体調を崩す人が出るだろうとわかっているものだからね」
「帰ってきた住人にはありがたい食材ではあるんだけど、あんまり量は買い取れないわね」
「保管の問題がありますからね」
マコモお母さんとグレックお父さんは食べて体調崩したのかな?
マオちゃんも?
「あ! マーカス主任は迷宮食材や増えた魔獣狩りで率先して肉とか食べていたから、、だいじょうぶよ。一度は魔力の受け入れ量をあげてからの復帰はそれなりに早いんだから。ちびっ子達も普通の迷宮食材ならもう食べても大丈夫なの。ただ、ネアちゃんが採ってきたドロップ品は魔力がすこし……、かなり高めなの。低階層で拾える魔力量じゃない感じかな」
ティカちゃんのお姉さんが説明してくれます。
「妹さんもいきなり分量を食べないなら大丈夫だと思いますよ。だってネアくん学都からの食材もお家で食べているでしょう?」
学都の素材とか、学都の屋台料理とかトルファームで食べた鼠の塩焼きとか干し果物とかいろいろ食べていますね。
「銀貨で買い取るような食べ物をね」
はい。
「売るとなるとね」
売るとなると?
「運搬費、仲介費、取引で動く金額の一割の納税、保管料を上乗せして販売するのよね。ここで個人じゃなくお店だった場合、お店はそこに手間賃、納税分利益を足して販売するのよ」
なるほど?
「納税分……」
「販売取引記録で商業ギルドの年会費は変動しますからね。税金はギルドが責任を持って納めるので取引記録は出来るだけ漏れのないように記録してくださいね」
年会費に納税分が含まれているの!?
苦笑いしたお兄さんが「複数国家を移動する場合各国に納税の義務が生じますから翌年の会費が高くなる場合がありますよ」と教えてくれました。
「一年目は、いろいろ判断ゆるいので大丈夫ですよ」
ありがとうございます?
「話を戻すわね。足される金額が大きくなるのはわかったかしら?」
「保管料その他経費」
「そう。つまり小銀貨二枚で買い取ったとするとね。お客様は銀貨一枚を払うのよ。もともとの町の人達も移住者もまだまだ物入りでそこまで食にかける余裕はないの。保管料がかかる時間に応じて値段は上がっていくわね」
銀貨一枚が適正価格? え? 情報料込みじゃなくて素の金額だったの警備隊長さん?
わからないって顔をしていたらしく、気になっていることを言うように促されたので警備隊長さんが猪肉の腸詰に銀貨一枚をくれたことを説明して情報料込みだと思ってたと告げれば「それの情報料は一フロア焼却の金貨一枚に含まれていたと思うわ」と教えてもらいました。
確かに一緒におやつをと思っただけで、思わぬ臨時収入だったんですが。
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