第222話 クノシー出張の報酬
ティクサーの領主補佐さんからお礼と報酬を受けとったネア・マーカスです。
領主補佐兼奥方様でディディア様とおっしゃるそうです。
大人貴族の方ですよ。すっごい。
ぽやっとしてるとティカちゃんに「頭を下げる」と軽くうながされました。
「また、お願いすることもあるでしょう。よろしく」
報酬は個々に袋を渡されました。
領主館で買取ってもらった迷宮物資の代金も入っているそうです。炭とか猪の腸詰とか蛇の蒲焼きとか羊草のふわふわの綿とかです。
大金貨一枚が入っていましたが、使いにくい奴ですコレ。
学都で住む場所(庭付き一戸建)を家事要員付きで借りることができそうな金額な気がします。
小銅貨が確か一ラビ、だから大銀貨で百万ラビ、小金貨で一千万ラビ。
ティクサーでは住居にかかる金額は大人が管理しています。クノシーでも遊びに使う分以外はお金を払った覚えがありません。
薬草は十本ひと束小銅貨二枚です。物価が上がっているので最近は買取り価格も上がっています。つまり変動中。
弟妹の留学費用もこれで確保ですね。
フロアひとつで金貨一枚って仰ったクノシーの隊長さん、予算問題で怒られていませんか? 大金です。よくわからないくらいの大金です。
【普段使いはしませんが、使えばするっと消える額です。人が増えれば少額貨幣の使用率は減るものです】
あ、はい。
クノシーで買ったお土産品も単価で言えば銀貨に届かない物ばかりでした。それ以上を使う客層がまだいないって事だと思います。
「報酬、おっきい金貨入ってた」
各ギルドの本部(たぶん、もうじきこっちが出張所になる)を兼ねる役場にある休憩室で呟くとティカちゃんに軽く叩かれた。
「ネア、そういう事を不用意に口にしちゃダメよ。フココロエモノはどこにでもいるんだから! ネアのその報酬は国としてその価値があったんでしょ。いくらかお家にお金入れても学費はなんとかなりそうな収入は私もあったけど」
個人個人報酬額は違ったようです。
「おー。羨ましいねぇ」
イゾルデさんがぼやいて髪をグシャリとしてきます。イゾルデさんは報奨金は出るらしいですが、年給に足されるので罰則金と相殺されるそうです。
「定住権と拠点になる宿装備費で消えちまうが、助かるな」
それって税金と必要経費で赤字なのが冒険者になりませんか?
「税金含む生活費と迷宮潜ったら得る収入で基本は儲かるから。初期投資大事だけどな。高額ドロップ品は基本強い魔物が持っているから貴重で、貴重だから高額になるんだが、生活必需品を集める冒険者だって生活があるからな。報酬はそれなりに設定されてんだよ。怪我してもそうだな、ゴミ拾いとかの雑用で最低限の生活はできるし、やばければ教会に駆け込みだなぁ」
教会が間に合わない。国観点で許されざる滞納借金の場合、強制接収・強制労働が待っているそうです。国によっては奴隷落ちという事態だそうです。私は『水』が、ティカちゃんは『治癒』が使える限り、よっぽどがなければ大丈夫だとドンさんが言ってくれました。ドンさん優しい。
それを聞いてティカちゃんはぎゅっと報酬の袋を握って「非常時用の費用はありがたいのよ」と。
今日はこのまま家族時間とお店のお手伝いをすると言った明日は家族で迷宮観光だとティカちゃんに告げると、「近いうちにハーブくん連れてウチに来るのよ。前に渡された穀物袋についても母さんが言いたいことあるそうだからね」できるだけ早くね。と言われたので了解して、今日は帰るのですよ。
あ。
その前に冒険者ギルドと商業ギルドに寄っておかないと。
帰還報告はグレックお父さんがしてくれたのでいいかと思っていたのに、各ギルドの受付け、ティカちゃんのお姉さんと商業ギルドのいつものお兄さんが「ウチが先!」と睨み合っているので思い出せました。
「じゃあ、またね」
ティカちゃんに見捨てられた!?
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