第203話 クノシー五日目『蒼鱗樹海』1
むかう方向としてはティクサー方面だよねと思っていたネア・マーカスですが、逆方向に進むことになるようです。次の階層への入り口はティクサー方面なんですが?
「むこうの方向にお城が見えるでしょ?」
ルチルさんが方向としてはティクサーの逆。つまり王都を指します。
たぶん地上の王都の再現だと思います。
『蒼鱗樹海』の本分は森で有り都市型迷宮とはまた違います。だからたぶん、アレ飾りですね。ランドマーク的な。
そう考えると『蒼鱗樹海』は森林型のフィールドタイプ迷宮。二階層からは地中迷宮的なところもありますが、人工的なというよりは基本は自然の洞窟仕立てだそうです。モグラやアリの巣みたいなイメージだそうですよ。
『天水峡連』もまた自然を主体とした水源型迷宮。地底湖や地下水源が主たる形状で有り、水路エリアはついでのおまけっぽいんですよね。できたから、やった。という感じを受けました。
『魂極邂逅』は鉱山型の迷宮ですが、メインに据えているのは呪術、死霊、呪い。遺跡型迷宮として成長中ではあるっぽいんですよね。
『ティクサー薬草園』は本当に薬草園ですし。
都市型迷宮つくれるメンバーいないのでハリボテだと思うんですよ。ゾンビくらいいそうですけど。
あからさまに「えー」と不満も訴えられず、困ってしまいますね。
あと、王都の王城再現ってわけではないようなんですよ。高い塔なんてあの王都ありませんでしたから。
「意外と近いのかしら? 王都までの距離くらい?」
ティカちゃんがたぶん当たっているであろう疑問を口にします。
「たぶんな。本物の王都にあんな小洒落た城はねぇけど」
ドンさんが小鼻を掻きながら肯定しますね。
「王都までの葛をなんとかして進みたいのよ。各フロアが葛のせいで進めないらしいからねぇ」
ルチルさんが苦笑いです。
「看板があるのよ」
看板?
あ。ありました。ちょっと曲がった先に木製の方向看板です。
『城』『砦』『山』ですね。
つまり正解は『砦』なんですが、うん、確かに『城』って気になってしまうかも。
「王都再現だと思うのよねぇ。だから日帰り距離のはずよー」
あ。それが選択理由なんですね。
「あとねぇ、王都の葛を根本的に減らせる可能性かしらぁ?」
そこ!?
うーん。確かに今回の依頼目的そこかぁ。じゃあ頑張ってフロア焼却していくかぁ。
入り口からこの分岐の看板まででワンフロアだとドンさんが教えてくれましたよ。
「ちょいと振り返って見な」
そんなドンさんの言葉に振り向けば、深い森が再生しています?
「っ早っ!」
「少し戻ってみな」
ティカちゃんと顔を見合わせてから二人でさっきまで歩いた焼け跡に戻ります。
ジャリっと炭化した枝が水に濡れてグズグズですが、入り口の方向は木々がリポップしはじめているのがわかります。早いには早いんだと思います。
って、ワンフロアがかなり広いですね?
金貨一枚って、あれ?
ドロップ品でそのぐらい換金できそうですよね?
「ドロップ品の分配ってどうなるんです?」
猪肉の焼きソーセージとかうさぎステーキ塩味とか。
「んー? 個人討伐個々管理でいいんじゃない?」
イゾルデさんが興味なさげに看板を突き、ドンさんはからりと笑って「護衛の依頼料は出てるからな。なんか旨そうなもんでも出たら食わせてくれ」と。
ルチルさんはイゾルデさんと同意見でした。
「つまり、ティカちゃんと折半ですね!」
「は? 自分で拾った分でイイわよ。分不相応な分配は人間関係腐らせるのよ。覚えておくことね!」
ティカちゃんが厳しいと思います。
「じゃあ、おやつに猪ソーセージ食べよ?」
数十本単位でドロップしたあっつあつのソーセージですよ。だいじょうぶです。串に刺さってます。
「いつの間に?」
「さっきのフロア焼いたでしょ? 当然魔物も焼けたの。ドロップ品だよ」
だから、分配確認したんだよ?
あと、炭がむっちゃドロップしてた。たぶん、炭はまだ増えるな。
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