第202話 クノシー五日目迷宮探索へ

『清浄』をかけた村は狩りの拠点に使っていた建屋以外にも使えそうな家があることがわかりました。私ネア・マーカスとティルケ・ナーフのお子様二人組が魔力回復休憩中に狩人のおじいちゃんが周囲確認にルチルさんが村の外周の魔除け陣の確認に。ドンさんが私達の護衛、イゾルデさんが町への報告に走るというそれぞれの行動でしたよ。

 教会から道士様と尼僧様が警備隊員さん達と合わせて四人が派遣されて来ました。

 この四人がまず村の再建をはじめるそうです。

 教会の人たちって基本技術者なんですよね。

 いろんな技術が失われてしまわないようにどんな修行も黙々と行うことになっているそうです。スキルだけで伝達されてはそのスキルが失われた時になんのギフトから成長したスキルであるか不明となれば、簡単にその技術が失われてしまうからだそうです。

 あと、魔力枯渇症という病気が流行った過去があった記録が存在しているので保険だそうです。

 そんな病気……しかも流行病あるんだ。

 そして帰り道ももちろん伐採しながら帰りましたよ。

 いま。

 そう、今、私ネア・マーカスは『蒼鱗樹海』の入り口前にいるのです。ここまでしかも警備隊の荷馬車で送ってもらえたので、まだ早朝ですよ!

 ちょっとすごくないですか?

 うーれーしー。

 ……迷宮探索としては忖度される可能性物凄く高いのはわかってますけどね。

 エリアボス蛇すごく過保護ですから。

「すっごく、楽しみ!」

「ネア、落ち着いて。迷宮探索は命懸けだって忘れないでね?」

 ティカちゃんの注意に私はおとなしく頷きます。ティカちゃんのことはネアが守りますよ。

 むしろ、イゾルデさんがマズいかも?

 いや、エリアボス蛇は賢い子だから問題行動は起こさないはず、起こさないよね?


【エリアボス蛇は賢い子なのでしょう?】


 そうだよね。うん。すっごく不安。

 エリアボス蛇はとても賢いいい子なんだよね。

 そう、あの子は都合のいい子じゃなくてとても賢い子なんだよね。

「ネア、いくら学都で迷宮探索経験をつんだっと言ってもネアも子供だし、『蒼鱗樹海』ははじめての迷宮なんだから、ちゃんと気をつけておくべきだと思うけど?」

「うん。そうだね」

 ティカちゃんの言葉は正しい。

 少し距離のある場所からごぅごぅと勢いよさそうな水の音が聞こえる。あの入り口……流されたら死ぬんじゃないかな? 天水ちゃん。


【流れの中に大顎が潜んでますしね。致死性は高いかと】


 ……大顎ってつまり、ワニだよね?


【そうですね】


 天水ちゃん……。

 うん、『天水峡連』は準備中の迷宮だもんね。

「さぁ、行けるとこまで迷宮攻略するぞ!」

 イゾルデさんが元気に拳を振りあげる。

「日帰り距離よーぉ」

 そう今日行くのは迷宮『蒼鱗樹海』

「日帰り距離ってどこまで行けるのかな?」

 最初のフロア抜けれる?

 たぶん、次の階層の入り口は無理と思う。物理距離の関係で。

 次の階層への入り口はティクサーのそばだったはずなのだ。まだ砦側からの入り口の方が次の階層に近い。

「たいして進めないでしょうけど、どんな場所か楽しみだわ。……きっと、ネアに求められているのは葛の処理ね」

 ティカちゃんの返しに「ひどい!」と声をあげようとしたら大人組が「違いない」って頷くんですけど酷くないですか?

 今日の探索者は私達が一番で、探索に赴いている冒険者はいないので、葛を一掃して欲しいと言われた私の心境は超微妙でしたよ!

「ワンフロア焼き払って金貨一枚とか酷いですよね」

「うん。……酷いわね」

 私の嘆きにティカちゃんが肩をポンと撫でて宥めてくれました。

 ティカちゃん、優しい。

 こうなったら金貨を稼いじゃうぞ!

 帰りルートでリポップした採取物を採取するんだから!

 あ。落ちてる魔核はちゃんと全部回収しましたよ。ドロップ品も。

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