第201話 クノシー四日目廃村復旧作業

 今日はざっくり伐採して廃村への道を復活させる野望を持つネア・マーカスです。

 一番近くの廃村を染織などの工房に使えないかと言う話があるそうなんです。一番近くの廃村はティクサーと砦の距離よりちょっと短いくらい。荷馬車で移動できる道を復活させればクノシーの警備隊の防衛範囲に入れることが可能だそうです。クノシーの外周をざっくり伐採して廃村への道を拓きますよー。

 狩人のおじいちゃんがぼそっと「バケモノか」と呟いていましたけど、聞こえなかったことにしようと思います。

 一番近い廃村は近くに沢も有り、少し涼しいらしいです。避暑地向きなのでは?

 桑の木や柑橘が葛に締めつけられていたので葛は刈り取ります。

「ああん。桑の実ぃ。ジャムにすると美味しくなるのよねぇ」

 とか言いながらルチルさんが桑の実を油化していますよ。食用油ですか?

「でも、染料よ」

 油化する前の桑の実を食べさせてもらいましたが甘くて美味しかったです。しっかり『清浄』をかけるように言われました。蛾の幼虫がよく毒針を残してるんだそうです。

 お昼までに町の外周伐採は余裕で終わり、冒険者や警備隊の人たちがワラワラと後処理をしていってくれます。魔物退治や伐採後の枝や倒木処理ですね。昼前に廃村への道を拓きはじめることができました。

 とりあえず荷馬車が通れる道を拓きますよ。

 獣道ってくらいに葛に汚染された道を復旧させていきます。

 この道は最終『魂極邂逅』に通じるのです。

 王都経由の岩山への街道もありますが、すこしずらした方がいいかなと思うのです。


【呪われし忌地と岩山からは思われていますが?】


 迷宮が復活してきていると知れば「もしかして」とか思うこともあるでしょう?

 ま、本音はサティアさんが気持ちよく作業できる環境があれば素敵な布が手に入りやすくてマオちゃんにかわいいお洋服用意してあげられると思うの!

 そして増産できれば、かわいいか、かっこいい服で学都で勉強できるんだ。

 強い人ってどこかおしゃれな人多かったから、私講座で違和感なく溶け込んでたいんだよね。


【無理では? 整えた衣装であれ、最低限装備であれ目立つことには変わりませんよ。すでに目立っているのですから】


 ……。

 ほぼ、一年の半分をあける訳ですから忘れられているかもですよね?


【希望も夢も自由ですね】


 天職の声さん、酷くないですか?

 この八つ当たりを私はお弁当食べた後の伐採にあてたんです。

「えぇ。ネア、魔力の増量半端なくない? 本当にガンガン使えってコトだよね。うん、が、頑張るわ」

 ティカちゃんがちょっと引き気味に意志表明してくれましたよ。

 うん。ただの八つ当たり。

 八つ当たりの結果、廃村ひとつを葛から解放しましたよ。

 狩りの時の野営罠置き場に使っていたという小屋は意外にきれいで雨漏りもないようでした。

「森という広大な採取地における廃村は貴重な安全圏よ。ここはクノシーからも近いし、魔除けがまだいきてるのよぉ。じゃあ、魔力増やしたいティカちゃんが注いでみましょうかぁ」

 ルチルさんが「そこまで」というまでティカちゃんが魔力を魔除けに注いで、続きは私が引き継ぎました。

 国や町の入り口で触ることになる水晶球ですね。

 犯罪歴チェックと同時に魔除けへの魔力供給になっていたことを今、知りましたよ。

 そこで安全に活動したければ、動力を寄越せってコトですよね。わかりやすいです。野営地では魔力供給すれば窯として使えたりしてましたが、すぐ葛に汚染されていたのは人の往来がなく魔力不足になりやすかったんですね。じゃあ、今は大丈夫なんです……冬の期は長く人の往来がなくなるんですが、大丈夫なんです?

「ルチルよぉ、どのくらいここは安全が維持できる?」

「そぉねぇ。陣の崩れがないか外周確認は必要だけどぉ、まぁ、七日くらいなら維持されるんじゃないかしら? 役所から管理できる村長をサクッと選んでもらえるといいんだけどネ」

 猟師のおじいちゃんがルチルさんとしている会話を聞きながらちょっと疲れた風のティカちゃんと魔力回復効果のあるプチスライムがドロップした魔力飴を口にしますよ。ちょっと苦酸っぱいのが難点です。

 井戸はつるべが壊れてはいるもののほぼ使えそうだったので、ええ。大技を大雑把にかけることにしました。

 村全域に『清浄』です!


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