第70話 スカイスフィア3、本拠地?星系突入。
衛星軌道上の宇宙船組み立て工場では小型戦闘艦が予定通り竣工し、地球の衛星軌道を回り始めた。そしてスカイスフィア3は地球圏から宇宙海賊の本拠地らしき恒星系に向けて旅立った。
最初の土星ゲートを抜け、そこから10日かけて3度ゲートを通過し、目標の恒星系に通じるゲートの前に到着した。その間、スカイスフィア3の中での翔太たちの生活は特段変わってもいないし、波内女史以下の3人の生活も変わってはいない。
「いよいよだな。
敵情は正確には分からないから、偵察のため何か送った方がいいかな?」
「ゲートが封鎖されている以上、強力な船を送らなければ十分な情報を得られないんじゃないか? ドーラ、どう思う?」
「敵情を探るために送り出せるのは攻撃機だけだけど、
前回修正した敵の戦力評価だと、敵戦力がこちらが把握している数字の3倍なら、攻撃機50機で圧倒、5倍なら120機で圧倒。わざわざ敵情を探る必要はないかも知れない」
「圧倒というのは?」
「こちらにもある程度の被害が出るけど、敵は被害甚大で壊滅、ないし撤退する感じ」
「敵が前回の10倍の戦力でゲートを封鎖しているとはさすがに考えづらいから、このまま突っ込むか。
出し惜しみする必要はないから、多めに攻撃機を出した方がいいだろう。帰ってきた攻撃機の整備が特別大変じゃないなら、全力でもいいんじゃないか?」
「宇宙空間用攻撃機450機全力で戦闘させると、整備に丸1日かかるから、100機は残した方がいいんじゃないかな?」
「それなら。それでいこう。攻撃機隊に続いてスカイスフィア3が突っ込めば間違いないだろう」
「了解!
……。
攻撃隊発進!」
スカイスフィア3から、宇宙空間専用攻撃機450機のうち350機が発進した。順次10機単位の編隊を作りゲートに突入していく。
「スカイスフィア3、第1、第2スクリーン展開。
ゲートに突入10秒前、8、7、……、3、2、1、突入」
ブリッジ正面に映されていたゲートが消え、5秒後、通常宇宙空間が表示された。側方にガス巨星が見えていた。
「スカイスフィア3、X力場展開」
X力場がゲートに影響するか不明だったため、スカイスフィア3はゲートを抜け10キロ進んだところでX力場を展開した。
「副砲発射開始」
ブリッジ正面のモニターには、宇宙空間を背景に文字が表示された。
攻撃隊残存機数 350。
敵勢力
中型艦 8
小型艦(大) 18
小型艦(小) 8
戦果(撃沈)
中型艦 1
小型艦(大) 6
小型艦(小) 22
その数字は見る間に変わっていき、
攻撃隊残存機数 350。
敵勢力
中型艦 0
小型艦(大) 0
小型艦(小) 0
戦果(撃沈)
中型艦 9
小型艦(大) 24
小型艦(小) 30
「過剰戦力だったようだな」
「少ないよりよほどいいんじゃないか」
「まあな」
「スカイスフィア3、被弾なし。第1、第2スクリーン解除、X力場解除。
恒星系内の光学観測開始。
攻撃機を収容したら、作戦通り内惑星方向に向けてゆっくり移動するよ」
「そうしてくれ」
「本拠地かどうかは確認できないけれど、宇宙海賊の拠点を見つけたら、どうする?」
「破壊するつもりだが、他に何かあるかい?」
「拠点施設と思われる範囲限定で破壊する? それとも惑星の表面を根こそぎ焼き払っちゃう?」
「工場衛星とかの宇宙関連施設があるならそれと、地上の拠点施設だけでいいんじゃないか?」
「了解」
攻撃機を収容したスカイスフィア3は、宇宙海賊の本拠地ないし、拠点が存在すると考えられる内惑星エリアに向けて移動を開始した。
スカイスフィア3内では収容した攻撃機の整備が進められている。整備は1時間当たり20機のスピードで行なわれており、整備が完了した攻撃機はいつでも出撃できる。
移動を開始し2時間が経過した。すでに全ての内惑星についての光学観測は終了しており、宇宙海賊の本拠地ないし、拠点が存在する惑星も特定できている。惑星の衛星軌道上には多数の宇宙船および複数の大型人工衛星が周回していることも確認されている。おそらく大型人工衛星は防御衛星ないし工場衛星だろうというドーラの見立てである。
「惑星を周回していた宇宙船群が2群に分かれて動き始めた。
第1群
中型艦 16
小型艦(大) 24
小型艦(小) 24
第2群
大型艦 2
小型艦(小) 12
第1群はこちらに向かっている。
第2群は、恒星を挟んだ向う側にあるガス巨星に向かっているから、そこにゲートがあるんじゃないかな」
「まずは向かってくる宇宙船団だな」
「了解。スカイスフィア3加速。
敵第1群は乱数回避開始。
こちらは公算射撃を始めます。
全副砲発射!
今敵との距離は2AUあるから、詳細が分かるのは約30分後」
「ドーラ、逃げていく第2群は放っておいていいのか?」
「今からじゃ追いつけそうもないから。ここを掃除したら向こうのゲートをくぐってその先の星系まで進出するかどうか判断してね」
「そうだな」
スカイスフィア3が副砲による公算射撃を開始して30分が経過した。敵艦はスカイスフィア3に向けて
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