第53話 幕間2つ


 スカイスフィア3の放った攻撃機が撃滅した16隻からなる宇宙船団の中の1隻から脱出した1基の救命ポッドが、辛くも破壊を逃れ地球時間で36時間後、日本から見て地球の裏側に落下した。



 脱出ポッド内の生物は、ポッドの中から周囲の状況を確認し、ハッチを開き惑星の地表を踏みしめた。


 その生物にとってこの星の大気は致死性のものだったため、もちろん彼?彼女?はポッド内で気密服を着用してハッチを開いている。


 脱出ポッドは高機動の小型宇宙艦や迫りくる謎の巨大宇宙船からの攻撃を恐れ、艦から射出後一切の信号を送り出していない。当然救助は絶望的だ。そもそも救助信号を味方が受け取ったとして一介の乗組員のために組織が救助船を派遣することなどありえないため、その生物は自分の運命については諦めている。脱出途上自爆しても良かったが、自分たちが征服しようとした星の上に立って星を感じたかっただけだ。


 彼?彼女?が下り立った大地は致死性の大気に覆われているにもかかわらず、澄んだ大気の中、生命に満ち溢れ、彼?彼女?は美しいと感じた。


 周囲を十分眺めた彼?彼女?は、ポッドの中に戻り、ハッチを閉め、自爆ボタンを押した。



 アマゾンの奥地でキノコ雲が発生し、わずかに地震も発生した。


 後日ブラジル政府により派遣された調査団による調査の結果、高い強度の放射能が爆心地周辺で検出され、キノコ雲の原因は小規模の核爆発によるものと考えられた。しかし、アマゾンの奥地で核実験が行われたとなると、ブラジル政府だけの問題ではなくなるため、調査結果は地中から噴出した大量の可燃性ガスの大爆発が近くの小規模なウラン鉱床を巻き込んだ。という報告書に最終的にまとめられた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 とある情報提供者から有名資産家の屋敷の別棟に大型金庫が置かれているという情報を得た大陸系盗賊団は、その金庫を盗み出すため、大型重機パワーショベルと大型トラックを盗みだてあてした。


 敷地の入り口に立つ門扉をパワーショベルで踏みつぶし、情報にあった屋敷の別棟を、玄関から破壊しながら侵入したところ、目当ての大型金庫は簡単に見つかった。


 大型金庫はコンクリートの床に固定金具で固定されていたが、パワーショベルで金庫を数回押したり引いたりすることで金庫の固定金具は破壊された。動かせるようになった金庫はショベルで転がされ最終的に待機していたトラックに積み込まれた。



 盗賊団は盗み出した金庫を丸一日かけて破壊したものの中から出てきたのは、重さ10キロほどの小石だった。大きさの割にずっしり重いその小石は、切断面の光沢などからおそらくプラチナであろうと思われたが、とても今回の仕事に見合うような代物とは思えなかった。


 その後、情報提供者から盗賊団に接触があり、その小石は10億で盗賊団から情報提供者に買い取られた。





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