第41話 $#&%126、2
[まえがき]
表記上
「
『~』
」
というのは、キーボード入力を表しています。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
謎の天体は謎の宇宙船となった。スカイスフィア2はその宇宙船の要望をきき、宇宙船に接近していった。真理亜も観測室から移動して操縦室内の座席に座って操縦席正面モニターを眺め成り行きを注視している。
「前方の宇宙船との距離1000。スカイスフィア2停止」
『スカイスフィア2、これより用水400立方メートルを転送機により当方に移送する』
「
『了解』
」
「用水タンクの残量が一瞬で400立方メートル減ったわ。残量は100立方メートル」
「転送というからにはそうなんだろうな」
『スカイスフィア2、用水400立方メートルを受け取った。ありがとう。
これに対して、正当な対価を支払いたい』
D4からの映像には、格納庫内にライトが一斉に
「対価を支払うとは律儀だな。その辺はあの宇宙船を作った宇宙人の性格なのだろうな。
明日香、まず先方の素性を詳しく聞いてくれるか?」
「
『まず、そちらの素性を教えていただきたい』
」
『わたしは@#+帝国探査艦$#&%126の管理頭脳。
名前は便宜上126としておく。
$#&%126は地球時間で13000年ほど前、@#+帝国で建造された広域宇宙探査艦でゲートの発見を主な任務としていた』
「13000年前とは想像を絶するな」
『この惑星に巡るゲートは、$#&%126が就役後3つ目に発見したゲートで、星系内を調査中に首都惑星より、乗組員に対して首都惑星への緊急帰還命令が出された。
ジャンプ機関未搭載の旧式艦である$#&%126でゲートを潜り抜けながら首都惑星に帰還するには、経路上の各星系内で加減速する必要があり、首都惑星に帰還するには1年近くかかるため、乗組員は$#&%126を捨て首都惑星から送られたジャンプ機関を搭載した最新型高速艇で首都惑星に向けて帰還していった。
首都惑星での任務が終われば乗組員は高速艇でこの$#&%126に戻り、探査活動を再開する予定だったが、乗組員は戻ってくることもなく、首都惑星との連絡も不通となり、わたしは待機命令に従い現在に至っている。
待機中、艦内維持のため、塔載燃料を温存しつつもほぼ塔載燃料を使い果たし、漂流状態でこの惑星を巡ってた』
「何だかすごいな話だが、13000年近くも命令をかたくなに守っていたわけか。
首都惑星と連絡が取れなくなったというところが気にはなるが、もう13000年も前のことだからな。
対価として具体的には何を支払えるのか尋ねてくれるか」
「
『126、対価として、具体的には何が提供できる?』
」
『スカイスフィア2に遭わず、このまま惑星の周りを巡り続けた場合、600年後にわたしは機能を停止していた。
この艦の所有権はもちろん@#+帝国にあったが、待機中、こちらからの問いかけに対して帝国のいずれの領域からも何の返信もない。首都惑星自身もこの位置から観測できなくなって久しい。逆算すると、乗組員が首都惑星に到着して数年後に首都惑星は何らかの理由で失われたものと考えられる。帝国が帝国として現存する証拠は既に失われている。
従って探査艦$#&%126の現在の所有権は強いて言えばわたし、126が所持していると考えられる。
わたしがスカイスフィア2に提供できる最大の対価はわたしを含めた探査艦$#&%126そのものになる』
一瞬、操縦室内の誰もがモニターに映し出された最後の文字を凝視した。
そこでいち早く再起動した圭一が、いささか興奮して、
「探査艦なんとか126をもらい受けるためにはどうすればいいか聞いてくれ」
「
『126、そちらをもらい受けるため、当方はどのようにすればいい?』
」
『そちらの小型艇D4のいる格納庫にスカイスフィア2が進入してくれれば、そのまま係留できる。
スカイスフィア2から私に指示を出せば、$#&%126は塔載燃料の許す範囲で指示に従うことができる』
「そこのゲートから地球に戻れるか聞いてくれ」
「
『現在スカイスフィア2の後方にあるゲートに進入し、ゲートの先の星系の第3惑星、地球まで移動することは現在の塔載燃料で可能か?』
」
『問題ない。
スカイスフィア2が望めば、係留中の重力を、いわゆる1.0Gに保つことも可能だ。
現在の塔載燃料でも、移動後、地球の表面まで降下して燃料の完全補給することも可能だ』
「圭一、いくしかないな」と、翔太。
圭一は頷き、
「明日香、頼む」
「了解。
『これより、スカイスフィア2はそちらの格納庫に進入する』
」
『126、了解』
スカイスフィア2は巨大宇宙船のハッチに向けて移動を始めた。
[あとがき]
これにて、第1部が終了しました。
次話から、第2部、第2部の名まえはご想像の通り。
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