第34話 隕石2
翔太は隕石から削り取った試料を持って組み立て工場を飛び出し、工場から研究所に向かう坂道を駆け下りていった。途中、スカイスフィアの帰還を知り組み立て工場に向かって歩いていた圭一の屋敷の3人にすれ違った。
「こんにちはー」
「翔太さん、お帰りなさい。圭一さんたちは?」
「圭一たちはあとから。それじゃー」
そのまま翔太は走り去って研究所のドアを開けるのももどかしく研究所の中に入っていった。
研究所内の明かりを点け、さっそく翔太は試料を洗浄して試料ケースに詰め、構造解析装置を使い原子配列の確認作業を始めた。
そのころには残りの3名も研究所に入り、構造解析装置を操作する翔太の手先を見つめている。
「やっぱりX金属だ!」
「ほんとか!」
「間違いない。X金属だ」
「おいおい、X金属が1.8トンだぞ。どうする翔太?」
「スカイスフィア2は間違いなく大型化できるな」
「一気にスカイスフィア3まで作れそうだぞ。まあそれは冗談だけどな」
「ねえ、X金属の隕石があの星系にあったってことは、地球に落っこちてきたX金属の隕石って、向うの星系からゲートを越えて太陽系にやってきたってことかな?」
「おそらくそうなんだろうが、よく木星に落っこちずに地球までたどり着いたな」
「向こうのガス巨星の周りを回っていたわけだから、それなりの速度を持ってゲートに突入したんだろうし、ガニメデとかの影響もあったのかもしれないがそれでも奇跡だ。
あの星系の位置が分からなくても、向うにいく理由が増えたな」
「あの星系の恒星が太陽系に近いかメジャーな恒星なら、スペクトル分析するだけで特定できるし、なんとなく見たことあるような恒星も何個かあったから、その恒星の明るさからどの辺りに存在している恒星系かある程度わかると思う。そのつもりで
でも、あれだけ
「真理亜、そこはわたしを褒めてよね。
「なによそれ。でも本当に幸運よね」
「翔太、お前今まで宝くじとか当たったことないか?」
「いや、買ったことがないから当たったことは当然ない。でもお年玉付き年賀はがきは何度か1等に当たったことがある」
「お前のところに毎年何枚年賀状が届けられるのかは知らないが、1等の確率は確か100万分の1だったと思うぞ。それが、何度も当たったってことはとんでもないことだと思うぞ」
「そうは言っても。毎年出すのも受け取るのも年賀状は20枚くらいあるわけだから、5万分の1の確率が20年くらいで4、5回あっただけだから」
「こんな人がいるからわたしたちが当たらないのよ」
「あら、わたしは1回だけだけど1等に当たったことあるわよ」と、真面目な顔をして真理亜。
「もう、なんなのよあなた達」
「それはそうと、明日には業者を呼んで
保管場所もそこの金庫では入りきらないし、取り回しを考えたら、専用の建屋を作った方が良いだろう。この研究所を建て増ししてやるか」
「そうだな。カットして研磨するにも大掛かりになりそうだものな」
「今日は遅いから、うちで休んで、それからだ。もう遅いから明日香と真理亜さんはうちにくるだろ?」
「そうする」「お邪魔します」
「翔太はどうする?」
「俺は、自分のアパートで寝るよ」
「分かった。明日8時ごろ朝飯を届けてやるよ」
「サンキュウ。
それじゃあ、そろそろ解散するか」
「「おやすみなさい」」「おやすみ」
圭一たち3人が研究所を出ていったあと、翔太は研究所を消灯して、裏にあるアパートに帰っていった。
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