第33話 隕石
帰路の間、
星系の位置の特定については、研究所に戻ってから既知恒星のスペクトル分析結果との照合から始まる。ゲートの先の恒星がスペクトル分析済みの恒星ならすぐに特定できる。それで該当する恒星系が発見できなければ、既知の星系からの主要恒星の見え方から当てはまるものを探し出す作業となる。画像処理の問題なので、太陽系からそれほど遠くなければ特定可能、特定できなくても大まかな位置を掴むことは可能と考えている。
「15時間経過したところで起きたあの映像のブレは、何かが
「だな。
地球に帰って、
「焦っても仕方がない。落ち着いていこう」
「分かっている」
地球への帰路を急ぐスカイスフィアは中間地点で180度回頭を慎重に行い、予定通り
地球を出発して20日目。時刻は21時15分。スカイスフィアは、組み立て工場の架台の上に着陸した。
「ご苦労さま、今日はもう遅いが、まずは
「
4トンちょうどだわ。ということは、1.8トンも重くなってる」
「かなりでかい隕石が
明日香の前のモニターには
「それじゃあ、
荷重、3.5、3、2.5、2、1.5、1。
リリース。荷重ゼロ。このままゆっくり前進させて、
……。
ゆっくり下降。ゆっくりー。
架台の上に乗った」
「お見事」
「
発電機は動かしておいた方が良い?」
「データは転送済みだから停止していいだろう」
「了解。
ふー」
「ご苦労さん。
確認しにいくぞ」
「それじゃあ、スカイスフィアに外部電源を接続。発電機停止」
「わたしもいくから、待って!」
ハッチから飛び出た4人は斜路を走り下り、
「よくこんな大孔があいて帰ってこれたな」
「これも、一種の奇跡かもな」
内部は暗くて破孔からはよく見えなかったが確かに何かが内部に転がっている。
「どれ、ハッチを開けて中を確認してみよう」
翔太がハッチを開けると、
「おい、翔太。この大きさで1.8トン、しかもどこかで見たような輝き。
これってもしかして?」
「X金属によく似ている。プラチナに見えるのは確かだ」
「えっ! X金属なの? まさか!」
「少し削り取ってみるか。
そこらに工具があったはず」
格納庫内の隅に置かれたロッカーから、タガネとハンマーを持ちだした翔太が、ハッチに半身を突っ込んで、丁寧に隕石から試料を削りとり、ハンカチに包んでポケットに入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます