第30話 ゲート再訪
スカイスフィアは組み立て工場から飛び立って木星のゲートに向け順調に飛行を続けた。地球を飛び立ち10日目の18時、ゲート近傍に到着予定である。
「ゲートがちゃんと残っていてほしいよな」と、翔太。
「絶対とは確かに言えないが、問題ないと思うぞ」と圭一。
二人は、スカイスフィアのリビングで映画を見ながら寛いでいた。
真理亜は望遠鏡を覗いており、明日香は操縦席のモニターにホラー系スプラッター映画を映して鑑賞中である。
「明日香さんが操縦席でホラーを見てくれて助かったな」
「全くだ。あんなののどこがおもしろいのか全く謎だよな」
「個人の趣味をとやかく言いたくはないが、俺も同感だ」
「この映画、次回作も製作中らしいが、期待大だな」
「ああ、俺はまだ原作は読んでないんだがなかなか深いな」
「原作は1960年代に出版されたと思うが、大作だよな。今まで何回か映画化されているんだが、やはりCGを駆使した新しいものの方が見ごたえはあるな」
「古いものは見ていないから何とも言えないが、俺たちのような素人だと、そう言ったところしか区別できないしな」
「その通りだ。しかし、この砂虫、迫力あるな」
「だな」
順調に飛行を続けたスカイスフィアは、10日目の船内時間で午後4時、木星の衛星ガニメデ近傍に浮かぶゲートを望遠鏡に捉えた。
「ちゃんと存在してくれてよかったな」
「予想通りとは言え、ホッとしたよ」
スカイスフィアはそれから3時間かけてスカイスフィアの赤道に3個取り付けられたスラスター用推進器だけでゲートに接近した。接近中の船内は、方向転換や細かい加速減速時以外無重力なので各自座席に座ってシートベルトを締めている。現在のスカイスフィアの速度はゲート=ガニメデの接線速度に同期しているため秒速11キロ。ゲート=ガニメデに対してスカイスフィアは相対的に停止状態となっている。
「前回と同じだな」
船内は無重力状態のため、操縦室で4人とも着席してシートベルトを締めている。4人は真理亜の天体望遠鏡が捉えているゲートの映像を操縦席のモニター越しに見ていた。
無重力状態が苦手な翔太と圭一だったが、今は興奮しているためか、無重力状態を気にしているようではなかった。
そんな中、明日香は
「
有線接続切断」
スカイスフィアから
「
明日香の操縦席正面の大型モニターには
ゲートの正面は周囲をガス状物質で囲まれてた平面をしており、色はわずかに赤味を帯びた黒。その平面に光の点がランダムに現れ、消えていく。
「
30秒後に突入。28、27、26、……、10、9、8、……、2、1。
信号喪失」
スカイスフィアは現在位置に10分ほど留まり
10分以内に
もちろんその間に
圭一はゲート通過に要する時間は無時間だろうと予想してはいたが、
この173時間というのは、接線速度秒速11キロから強制円軌道を描き木星を1周する接線速度秒速110キロまで加速する必要がある最初の1周と、減速する最後の1周は19時間弱、それ以外は17時間で最大8周木星を周回するためである。加速減速時と強制円軌道を描いて木星周回時のスカイスフィア内の船内加速度は1Gとなる。
7日を過ぎて
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます