第120話 石見銀山支配と織田家と毛利家の婚姻

 永禄2年(1559年)4月、尼子家が有していた石見銀山を織田家の誇るガレオン船型戦艦の舷側に配備された21センチ砲の砲撃と毛利家と織田家の陸戦隊の攻撃により毛利家の手に落ちたのだ。


 後年この戦いは


『石見銀山の戦い』


と呼ばれた。

 その戦いの後、月も改まった永禄2年(1559年)5月再度、毛利家から尼子氏との最終決戦に向けての話し合いをしたいとの要望があった。

 話し合いの場には俺の親父殿は勿論のこと俺と弟の信包も代理などを立てず必ず出席して欲しいとの要望まで添えられたいた。


 場所は石見銀山を守る尼子家の砦が元あった所で織田家運営の三河屋が出店している高級割烹料理店である。

 その建物はプレハブ工法で建てられたものであるが檜の香りの高いもので、建てられると直ぐ織田家の面々がくつろいでいる。

 そのおかげで高級割烹料理店とは名ばかりで石見銀山の織田家の本丸のようなものである。

 その建物の一角でこの時代には珍しい畳敷きの広い大広間の上座に織田家がどっかと座る。

 そこで毛利家を待つこと暫くすると下座に毛利元就と同じく目付きの鋭い着飾った女性・・・7歳ぐらいだから少女が元就の横に同席した。

 その射るような眼が俺と俺の弟の信包を見つめている。

 毛利元就の嫡男毛利隆元が室内だと言うのに頭巾を被って、さらには6歳になる嫡男の毛利輝元が続いて入室してきた。

 当初毛利輝元と出会った時は大柄で10歳位と思っていたが天文22年(1553年)生まれなので永禄2年(1559年)では6歳である。・・・う~ん思ったとおり俊英である。

 毛利元就が口を開いた


「今回の戦で参戦した(吉川)元春から報告を受けて織田家の強さが分かった。

 その力を使えば毛利家ぐらいあっという間に殲滅する事が出来るであろう。

 毛利家は織田家の軍門に降る。

 儂の横に座っている儂の縁戚に繋がる養い子で千代乃という、この子を信包殿と婚姻させて毛利家を継いでもらえぬか。」


するとその時毛利隆元が頭巾を脱いで


「我は当主の座を引き、この通り頭を丸めて出家いたします。

 信包殿を我が妹と縁を結べれば幸いです。

 我が子輝元は織田家で預かって下され。」


と言うではないか!・・・史実にはないぞ!?まあ非業の死を遂げた秀孝の代わりに信興が今川氏真の娘と婚姻して今川信興を名乗り、今度は信包が毛利元就の養い子とは言え縁戚の娘と婚姻して毛利信包となるのか。

 史実では織田信包は慶長19年(1614年)7月17日大坂冬の陣の直前に片桐且元がもった毒・・・?・・・により吐血急死している。

 悪い話ではない。・・・信包、今回の戦で鉄砲隊の100人隊長に抜擢された結に気が合ったようだが側室という手もあるぞ。・・・何せ俺もハーレム一直線だからな、弟よ!同志になれ!!

 以心伝心では無いが信包は今回の申し出に同意、毛利信包となって千代乃と婚姻、さらには結を側室にもらった。・・・入り婿だが立場が強い。


 毛利家との条約が全て批准されて、信包と千代乃との仮祝言が出雲大社で行われることになった。

 出雲大社この当時は杵築大社きずきたいしゃと呼ばれ馴染なじみのある出雲大社の名称は明治なってからである。・・・本編では馴染みのある出雲大社でいく事にする。

 出雲大社は縁結びで有名であるが、それよりも神話の中で国譲りとしても有名である。・・・う~ん毛利家が織田家の軍門に下り国譲りをした。・・・現在の神話だね!


 仮祝言とは言え織田家と「西国の覇者」と呼ばれるようになる毛利家との婚姻である、あだおろそかには出来ない。

 そのうえ出雲大社の向こうには毛利家の宿敵尼子氏の居城月山富田城があるのだ。


 石見銀山の攻略は出来たとはいえ、尼子家は健在である。

 尼子家は島根県安来市広瀬町富田にある標高183,9メートルの月山に築城してある月山富田城を中心にした尼子十旗あまごじっきと呼ばれる支城とその間をつなぐ尼子十砦あまごじっさいと呼ばれる砦を防衛網として構築している。


 地図的に言えば出雲大社から西へ30キロ程向かっへば宍道湖そして中海の二つの湖によって眼鏡のように見える湖がある。

 その二つの湖の一つ中海に流れる込む飯梨川の上流に沿って南へ10キロ程行けば、その支流の一つ富田川が流れ込み分岐する場所がるそのほど近くに月山富田城

が存在する。

 その月山富田城を中心に尼子十旗が存在する。

 問題は中海から南へ10キロ程入った山中に月山富田城が存在するという事だ。

 主力のガレオン船型戦艦の舷側に備え付けられた21センチ砲は有効射程距離が5キロでとてもじゃないが砲撃する事は無理である。


 尼子家を討伐する。・・・問題はその距離である。

 攻略する際にはもっと強力なガレオン船型戦艦の甲板に設置した有効射程距離30キロを誇る主砲を放てば攻略は容易であるが・・・う~ん悩ましいところである?!

 あまり手の内を見せたくはないのだ。

 特に先の海戦でイスパニアのガレオン船を打ち破った際に多数のイスパニア兵を捕虜にしている。

 イングランドのキャサリン達は国際手配を受けており如何に望郷の念を募らせても国に帰れば投獄されて処刑される暗い未来しかない。

 それに比べて彼等イスパニア兵は宗教観も違えばそこから派生する思想信条も違い遠く異国で捕虜となっていれば望郷の念は増すというものである。


 彼等は織田家の誇るガレオン船型戦艦の舷側配備の鋳鉄製大砲の威力に驚きその情報をイスパニアに持って帰れば瞬く間に欧州各国がその危険性を察知して共同して青銅砲から鋳鉄製大砲を造り出し、日本に向けて牙を剝いてくるだろう。

 それ以上の威力の大砲をを見ればもっと日本人を危険視して、日本人などキリスト教を信じない未開の人種・・・いや違う黄色い猿として殲滅をはかってくるはずだ。

 暗い未来を予想したからと言って彼等イスパニア兵を殺しては同じ立場になってしまう悩むところだ。

 有能な人材もいるが基本的に考え方が違うあまり俺の手の内を知られないうちにご退場願おう!・・・え!殺すのかって俺がそんな乱暴者に見えるのか?

 そのうち機会を見て欧州・イスパニアに戻ってもらうのだ。

 しかし俺が早めに日本国を統一してアジア諸国と共同してヨーロッパ諸国と対抗する事まで考えなければいけなくなってきたようだ。


 その前に織田家と名にし負う毛利家との婚礼である。

 織田家各地から婚礼の引出物が集められ、その婚礼の引出物だけでなく俺と縁のある女性陣や親父殿右腕である平手政秀さん、それに巨大浮きドックの一つに造られた製鉄施設・反射炉等が出来上がったので鉄砲鍛冶集団等の技術者集団までもが集められた。

 毛利家の婚礼という名目で先ずは巨大な地方勢力である出雲大社との攻略戦・折衝である。


 巨大な浮きドックや集められた技術者集団によってイスパニアのガレオン船・ノボリクス号の艤装作業は出雲大社の手前で終わった。

 ここで舅のランジード・ノボリクスに船の引き渡し作業を終わる。

 舅のランジード・ノボリクスは織田家(日本国)の私掠艦隊として台湾や自国のインドを拠点に働いてもらう。

 船の引き渡しと共にイスパニア兵を集める。

 彼等にはここ日本国に残るかノボリクス号に乗って帰国するかを選択させた。

 イスパニア兵のうち7割が帰国を希望した。・・・残り3割はどうやらいつの間にか現地妻をもらってこの国に定住することを希望したようだ。

 その中でも優秀な士官や士官候補生が多いようだ。・・・船を拿捕されて有力な貴族の後ろ盾のない者は処刑される暗い未来しかないので残るようだ。


 士官候補生とは名ばかりで、士官の召使のようなものだ。

 その中でも銀髪の美少年が帰国を希望した士官・・副官に決闘を申し込んだのだ。・・・副官は大きな後ろ盾があるようだ。

 どうやら副官は銀髪の美少年に懸想して地位を盾にとり・・むごいことだ。

 俺は二人の決闘を認めた。


 婚礼の前に決闘とは・・・!

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